焼き芋みたいな
エッセイ・シリーズ (32)
『オーロラ見たっしょ』
高校2年の夏も終わりの頃だったと思う。
僕は友人3人と、地元の山奥にあるダム湖へ自転車で出かけた。
皆でダム湖の周りをあちこち探検しているうちに道に迷い、
山を降りる頃にはすっかり陽が落ちていた。
その時、山の麓の夜空の一角に、
何やらぼーっとした明かりが浮かんでいる事を、
先頭を走っていたデンスケが気付いたのだ。
「あれUFOじゃないか?」
急ブレーキをかけて止まったモリタも
「おおっ!UFOだ!UFOだ!」と声をあげた。
僕とフジオも慌てて夜空を見上げた。
「間違いないっしょ!UFOっしょあれ!うわ、初めて見たわ!」
ぼんやりとした青色と、鮮やかな緑の帯が折り重なったようなその光は、
やがてどんどん長く延びて行き、
巨大なカーテンのようにゆらゆらと揺れはじめた。
実際はこんな感じだったと思う
「ん?あれUFOじゃないなあ」
「ンだね。なんだろあれ?」
「まさかオーロラじゃないよな」
「北海道にオーロラは出ないっしょ。しかも夏だし」
「じゃ、何あれ?」「ナンだろな?」「けど、綺麗だなあ」
自転車に跨りながら僕ら4人は、
しばらくぼんやりとその正体の知れない光の帯を眺めていた。
光の帯は、緑や青やらがゆらゆらと揺れるように重なり合い
夜空を華麗に舞ったあと、やがて息を吸うように
ゆっくりと消えて行ってしまった。
天を仰いだままそこに置いてきぼりにされた僕らの結論は、
あれはやはりオーロラだったという事になった。
しかしその夜、家族に話して信じて貰えた者は誰もいなかった。
翌日、学校のクラスの連中の反応も冷ややかなものだった。
「んなわけないっしょ」「北海道でオーロラなんか出ないべさ」
先生さえも「うーん」と首を傾げニガ笑いを浮かべた。
次第に僕ら4人は、皆からからかわれる様にさえなったのだった。
「いんや、あれはオーロラだった!」
星空Cafe、それじゃまた。
皆さん、お元気で!
UFOでも、オーロラでも、何かを見たのが確かなら、どちらであれ、すごいことだと思うよ!素晴らしい!
いんや、あれはオーロラだった!(むはは)
僕らが高校生の当時は、北海道にオーロラは出ないと言われていたけど、最近よく観測されているらしいよ。
だからきっとあれもオーロラだったに違いないと
自信を持つようになったのである。
しかも、最近の研究によって分かったのは、
オーロラは条件が揃えば冬に限らず一年中出るらしい。益々確信を持った。
きっと我らは北海道のオーロラをみた最初の人かも知れないのだ!(むはは、大袈裟な)