日頃のおこない

　　　　　　焼き芋みたいな
　　　　　　エッセイ・シリーズ①
　　　　　　
　　　　　　　　『日頃のおこない』


　　　　　　　　数年前、オッサンライダーだけでキャンプをした夜、
　　　　　　　　（ま、いつもそうですが。むはは。）

　　　　　　　　どんよりと平野一帯を覆う分厚い雲が切れ、
　　　　　　　　我らのテントの真上だけキラキラと輝く星空が開けた。

　　　　　　　「おおっ！奇跡だ！」と誰かが叫んだ瞬間、
　　　　　　　　皆でその丸く開けた美しい星空を見上げながら、
　　　　　　　「こんな事ってあるんだなあ。奇跡的だわなあ」と口々に言い合った。

　　　　　　　「きっとこの中に、日頃の行いの良い者がいるに違いない」
　　　　　　　　と僕が言ったら、
　　　　　　　「俺じゃないね」「私も違うナ」
　　　　　　　「アッシもまったく違いますな。いやはや」と、結局、
　　　　　　　　日頃の行いの良い者は誰もいないという結論になった。

　　　　　　　　それでもナンダカンダと今日を生きていれば、
　　　　　　　　こんな素敵な天からの贈り物は時々あるものなのだ。

　　　　　　　　我らのテントの真上だけポッカリと開けたその星空は、
　　　　　　　　焚き火を囲み酔う呑気なオッサン達を、
　　　　　　　　それはそれは優しく美しく大らかに、その夜ずっと照らし続けた。
　　　　　　　　隣のキャンプ場は雨だったらしい。

　　　　　
　　　　　　　　



　　　　　　　　　　　　　星空Cafe、それじゃまた。
　　　　　　　　　　　　　　　　　皆さん、お元気で！







　

　　　　　　　♪「遠くまで」 s,y （詞・曲・歌：s.y　編曲：ジャック・伝ヨール）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　     　　　　　　　　　　　　　　　　　        富士・本栖湖キャンプ２０１６より