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麻生のおばさん

2021年01月22日 | 焼き芋みたいなショートエッセイ

          焼き芋みたいな
          エッセイ・シリーズ⑬

            『 麻生のおばさん』


       不思議とはっきりと、本当にはっきりと覚えてる。
       おそらく僕がまだ2歳くらいの時だったんじゃないか。
       母親に抱っこされてる僕を見て

       「あらぁ可愛い。どこ行くの~?」と笑っていた麻生のおばさん。               
     

       麻生のおばさんの呉服店の前の歩道で、
       まだ若かった頃の母と麻生のおばさんは
       仲良く立ち話をしていた。
      
       店の前には、町を横断する幅広の道路と、時おり行き交う車。
       曇り空にも陽が射していた。
      
       母が危篤になった日の夜は病室に駆けつけてくれて、
       息を引き取る間際の母に、

      「しっかりしなさい!しっかりしなさい!」と
       大声で呼び掛けていた麻生のおばさん。

       それから数年して、僕が高校入学を控えていたある日、
       おばさんは僕を呉服店に呼び「合格祝いだよ」と学生服をプレゼント

       してくれた。
       「2年生頃まで着れるようにサイズ少し大き目だからね」と。


       最初はブカブカで恥ずかしかったが、その内だんだんとピッタリして来た。
       この学生服を着ての入学式。

       高校生活、ヘタにグレたりしたら麻生のおばさんに申し訳ないぞと
       思ったものだ。

       今はもう、麻生のおばさんも母もこの世にはいないけど、
       昔この通りのこの場所で、
まだ若かった母と麻生のおばさんが
       赤ん坊の僕を見ながら仲良く立ち話をしていたんだ。


                  


              星空Cafe、それじゃまた。
                  皆さん、お元気で!







      母の年齢を越えた日・・
           2017.Recording 作品
       











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2 コメント

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Unknown (kinntilyann)
2021-01-22 22:56:42
もしかして?
HAPPY BIRTHDAY?
だったらおめでとうございますなのです(#^^#)
今日の歌もお話しもとてもとても素適です。
少し泣きそう。
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kinntilyann うさぎさんへ (S.Y)
2021-01-23 01:02:30
>もしかして?HAPPY BIRTHDAY?
えっ?あ、まだ先の、春のど真ん中あたりです。
うおー、まった1つ年をとるのかあああ・むはは
(姫はいっつも泣きそうと言う・笑)



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