http://www.youtube.com/watch?v=ZaIT3CFRaf4
今日はヴァン・ダー・グラフ・ジェネレイターのアルバム"Still Life"(1976)から"Pilgrims"を取り上げてみます。
再結成後二枚目のアルバムということもあり、充実の内容で彼らの音を初めて聞くという人に特にお薦めです。
デビュー作"The Aerosol Grey Machine"(1969)から"Pawn Hearts"(1971)の四作までどちらかと言えばとっちらかった印象でしたが、
再結成後初のアルバム"Godbluff"(1975)は全四曲ながらとてもまとまった内容となっていました。
前年に発表されたハミルのソロアルバム"Nadir's Big Chance"がパンクっぽいシンプルな音だっただけに
"Godbluff"がメタルっぽい荘厳な音だったのが意外に感じたものです。
それをうけた本作はまたガラリと音を変えてきています。
聞き易いというのがもちろん第一印象としてはあるのですが、他のアルバムと比べると顕著なのはその「静謐」さ。
それでいて狂おしいまでの生命の発露を感じさせるというのが彼らの音楽と言えます。
アルバムの冒頭に置かれたこの曲はVDGGの曲としては一、二を争う名曲であろうと思います。
ピーター・ハミルの日本におけるオフィシャルファンサイトのブログにNHK-FMで昨年流された「今日は一日プログレ三昧、再び」で
この曲を聞いた森田美由紀アナウンサーの感想が書かれています(http://inverse.exblog.jp/16419542/)が、
僕も最初に聞いたときはかなり衝撃を受けました。
こんな真っ当な曲が書けるのかと。
そして歌詞も良い。
僕には訳詞の才能がないのでどんな内容かは各自で確認してほしいのですが、
多少英語を勉強してきていれば何となくニュアンスはつかめるくらいの自然な内容になっています。
pilgrimというのは「巡礼者」と訳されることが多いのですが、内容からするとそれほど宗教的な意味は強くないようです。
旅人あるいはもっと意訳して何かを求めて歩き続ける人、というような意味に訳してもよいのではないでしょうか。
一時流行った「自分探し」なんてものよりはもっと根源的な人の生を語たる力強さを曲全体から感じます。
ファンサイトのほうにも歌詞が載せられているので意味を噛み締めながら聞いていただければと思います。