第六章 国民投票の期日等
(国民投票の期日)
第三十一条 国民投票は、国会が日本国憲法の改正(以下「憲法改正」という。)を発議した日(国会において最後の可決があった日をいう。)から起算して六十日以後九十日以内において内閣が定める期日に行う。ただし、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の期日その他の特定の期日に行う旨の国会の議決がある場合には、当該期日に行う。
(国民投票の期日及び憲法改正案の告示)
第三十二条 内閣は、少なくとも国民投票の期日の二十日(衆議院議員の総選挙の期日に行う場合にあっては十二日、参議院議員の通常選挙の期日に行う場合にあっては十七日)前に国民投票の期日及び国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第六十八条の五第二項の規定に基づき内閣に送付された憲法改正案を官報で告示しなければならない。
第七章 投票及び開票
(一人一票)
第三十三条 国民投票は、一人一票に限る。
(投票管理者)
第三十四条 国民投票の投票区ごとに、投票管理者一人を置く。
2 投票管理者は、国民投票の投票権を有する者の中から市町村の選挙管理委員会が選任する。
3 衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の期日のいずれかの期日に国民投票を行う場合においては、当該選挙の投票管理者を同時に国民投票の投票管理者とすることができる。
4 投票管理者は、国民投票の投票に関する事務を担任する。
5 投票管理者は、国民投票の投票権を有しなくなったときは、その職を失う。
(投票立会人)
第三十五条 国民投票の投票区ごとに、投票立会人を置く。
2 市町村の選挙管理委員会は、各投票区における投票人名簿に登録された者の中から、本人の承諾を得て、二人以上五人以下の投票立会人を選任し、国民投票の期日前三日までに、本人に通知しなければならない。
3 投票立会人で参会する者が投票所を開くべき時刻になっても二人に達しない時又はその後二人に達しなくなったときは、投票管理者は、その投票区における投票人名簿に登録された者の中から二人に達するまでの投票立会人を選任し、直ちに本人に通知し、投票に立ち会わせなければならない。
4 同一の政党その他の政治団体に属する者は、一の投票区において、二人以上を投票立会人に選任することができない。
5 投票立会人は、正当な理由がなければ、その職を辞することができない。
6 前条第三項の規定は、投票立会人について準用する。この場合において、同項中「当該選挙の投票管理者」とあるのは、「当該選挙の投票立会人」と読み替えるものとする。
(投票用紙の様式)
第三十六条 投票用紙には、憲法改正に対する賛成又は反対の意思を表示する記号を記載する欄を設けなければならない。
2 投票用紙には、憲法改正案を掲載しなければならない。
3 投票用紙は、別記様式に準じて都道府県の選挙管理委員会が調製しなければならない。
(投票の方式)
第三十七条 投票人は、投票所において、憲法改正に対し賛成するときは投票用紙の記載欄に○の記号を、憲法改正に対し反対するときは投票用紙の記載欄に×の記号を、自ら記載して、これを投票箱に入れなければならない。
2 投票用紙には、投票人の氏名を記載してはならない。
3 第一項の○又は×の記号の記載方法その他投票の方式に関し必要な事項は、政令で定める。
(点字投票)
第三十八条 投票人は、点字による投票を行う場合においては、投票所において、投票用紙に、憲法改正に対し賛成するときは賛成と、憲法改正に対し反対するときは反対と、自ら記載して、これを投票箱に入れなければならない。
2 前項の場合における投票用紙の様式その他必要な事項は、政令で定める。
(投票の秘密保持)
第三十九条 何人も、投票人のした投票の内容を陳述する義務を負わない。
(投票録)
第四十条 投票管理者は、国民投票の投票録を作り、投票に関する次第を記載し、投票立会人とともに、これに署名しなければならない。
(開票管理者及び開票立会人)
第四十一条 国民投票の開票区ごとに、開票管理者一人及び開票立会人を置く。
2 第三十四条二項から第五項までの規定は開票管理者について、第三十五条第二項から第六項までの規定は開票立会人について準用する。この場合において、第三十四条第三項中「当該選挙の投票管理者」とあるのは「当該選挙の開票管理者」と、同条第四項中「国民投票の投票」とあるのは「国民投票の開票」と、第三十五条二項中「各投票区」とあるのは「各開票区」と、同条第三項中「投票所」とあるのは「開票所」と、「投票管理者」とあるのは「開票管理者」と、「その投票区」とあるのは「その開票区」と、「投票」とあるのは「開票」と、同条第四項中「投票区」とあるのは「開票区」と、同条第六項中「当該選挙の投票立会人」とあるのは「当該選挙の開票立会人」と読み替えるものとする。
(投票の点検及びその結果の報告)
第四十二条 開票管理者は、投票の点検を終えたときは、直ちにその結果を国民投票分会長に報告しなければならない。
(投票の効力)
第四十三条 国民投票の投票で次の各号のいずれかに該当するものは、無効とする。
一 所定の用紙を用いないもの
二 所定の○又は×の記号の記載方法によらないもの
三 〇又は×の記号のいずれも記載していないもの
四 〇又は×の記号のほか、他事を記載したもの
五 〇又は×の記号を自ら記載しないもの
六 〇及び×の記号をともに記載したもの
七 〇又は×の記号のいずれを記載したかを確認し難いもの
(開票録)
第四十四条 開票管理者は、国民投票の開票録を作り、開票に関する次第を記載し、開票立会人とともに、これに署名しなければならない。
(投票等の保存)
第四十五条 投票は、有効無効を区別し、投票録及び開票録と併せて、市町村の選挙管理委員会において、第五十五条の規定による訴訟を提起することができる期間又は同条の規定による訴訟が裁判所に係属している聞、保存しなければならない。
(投票及び開票に関するその他の事項)
第四十六条 この章に規定するもののほか、国民投票の投票及び開票に関しては、公職選挙法中衆議院比例代表選出議員の選挙の投票及び開票に関する規定の例による。
第八章 国民投票分会及び国民投票会
(国民投票分会)
第四十七条 都道府県ごとに、国民投票分会長を置く。
2 国民投票分会長は、国民投票の投票権を有する者の中から都道府県の選挙管理委員会が選任する。
3 国民投票分会長は、国民投票分会に関する事務を担任する。
4 国民投票分会長は、国民投票の投票権を有しなくなったときは、その職を失う。
5 国民投票分会長は、当該都道府県の区域内における選挙人名簿に登録された者の中から、本人の承諸を得て、国民投票分会立会人三人を選任し、国民投票分会の期日前三日までに、本人に通知しなければならない。
6 国民投票分会は、都道府県庁又は都道府県の選挙管理委員会の指定した場所で開く。
7 国民投票分会長は、都道府県の区域内におけるすべての開票管理者から第四十二条の報告を受けた日又はその翌日に国民投票分会を開き、国民投票分会立会人立会いの上、その報告を調査しなければならない。
8 都道府県の選挙管理委員会は、あらかじめ国民投票分会の場所及び日時を告示しなければならない。
9 第三十五条第三項から第五項までの規定は、国民投票分会立会人について準用する。この場合において、同条第三項中「投票所」とあるのは「国民投票分会」と、「二人」とあるのは「三人」と、「投票管理者」とあるのは「国民投票分会長」と、「その投票区」とあるのは「その都道府県の区域」と、「投票」とあるのは「国民投票分会」と、同条第四項中「一の投票区において、二人以上」とあるのは「二人以上」と読み替えるものとする。
(国民投票分会録)
第四十八条 国民投票分会長は、国民投票分会録を作り、国民投票分会に関する次第を記載し、国民投票分会立会人とともに、これに署名しなければならない。
2 国民投票分会録は、第四十二条の報告に関する書類と併せて、都道府県の選挙管理委員会において、第五十五条の規定による訴訟を提起することができる期間又は同条の規定による訴訟が裁判所に係属している間、保存しなければならない。
(国民投票分会の結果の報告)
第四十九条 国民投票分会長は、第四十七条第七項の規定による調査を終えたときは、国民投票分会録の写しを添えて、直ちにその結果を国民投票長に報告しなければならない。
(国民投票会)
第五十条 国民投票ごとに、国民投票長を置く。
2 国民投票長は、国民投票の投票権を有する者の中から中央選挙管理会が選任する。
3 国民投票長は、国民投票会に関する事務を担任する。
4 国民投票長は、国民投票の投票権を有しなくなったときは、その職を失う。
5 国民投票長は、投票人名簿に登録された者の中から、本人の承諾を得て、国民投票立会人三人を選任し、国民投票会の期日前三日までに、本人に通知しなければならない。
6 国民投票会は、中央選挙管理会の指定した場所で開く。
7 国民投票長は、すべての国民投票分会長から前条の報告を受けた日又はその翌日に国民投票会を開き、国民投票立会人立会いの上、その報告を調査しなければならない。
8 中央選挙管理会は、あらかじめ国民投票会の場所及び日時を告示しなければならない。
9 第三十五条第三項から第五項までの規定は、国民投票立会人について準用する。この場合において、同条第三項中「投票所」とあるのは「国民投票会」と、「二人」とあるのは「三人」と、「投票管理者」とあるのは「国民投票長」と、「その投票区における投票人名簿」とあるのは「投票人名簿」と、「投票」とあるのは「国民投票会」と、同条第四項中「一の投票区において、二人以上」とあるのは「二人以上」と読み替えるものとする。
(国民投票録)
第五十一条 国民投票長は、国民投票録を作り、国民投票会に関する次第を記載し、国民投票立会人とともに、これに署名しなければならない。
2 国民投票録は、第四十九条の報告に関する書類と併せて、中央選挙管理会において、第五十五条の規定による訴訟を提起することができる期間又は同条の規定による訴訟が裁判所に係属している間、保存しなければならない。
(国民投票の結果の報告及び告示等)
第五十二条 国民投票長は、第五十条第七項の規定による調査を終えたときは、国民投票録を添えて、直ちにその結果を中央選挙管理会に報告しなければならない。
2 中央選挙管理会は、前項又は第六十一条第四項後段の報告を受けたときは、直ちに有効投票の総数、憲法改正に対する賛成の投票の数及び反対の投票の数並びに憲法改正に対する賛成の投票の数が有効投票の総数の二分の一を超える旨又は超えない旨を官報で告示するとともに、総務大臣を通じ内閣総理大臣に通知しなければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の通知を受けたときは、直ちに同項に規定する事項を衆議院議長及び参議院議長に通知しなければならない。
(国民投票分会及び国民投票会に関するその他の事項)
第五十三条 この章に規定するもののほか、国民投票分会及び国民投票会については、公職選挙法第八十二条、第八十四条及び第八十五条の規定を準用する。この場合において、同法第八十二条中「選挙人」とあるのは「投票人」と、同法第八十五条中「選挙会場及び選挙分会場」とあるのは「国民投票分会場及び国民投票会場」と読み替えるものとする。
第九章 国民投票の効果
第五十四条 国民投票の結果、憲法改正に対する賛成の投票の数が有効投票の総数の二分の一を超える場合は、当該憲法改正について国民の承認があったものとする。
2 内閣総理大臣は、第五十二条第二項の規定により、憲法改正に対する賛成の投票の数が有効投票の総数の二分の一を超える旨の通知を受けたときは、直ちに当該憲法改正の公布の手続を執らなければならない
第十章 訴訟
(国民投票無効の訴訟)
第五十五条 国民投票の効力に関し異議があるときは、投票人は、中央選挙管理会を被告として、第五十二条第二項の規定による告示の日から起算して三十日以内に、東京高等裁判所に訴訟を提起することができる。
(国民投票無効の判決)
第五十六条 前条の規定による訴訟の提起があった場合において、国民投票についてこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反することがあるときは、国民投票の結果に異動を及ぼすおそれがある場合に限り、裁判所は、その国民投票の全部又は一部の無効の判決をしなければならない。
(訴訟の処理)
第五十七条 第五十五条の規定による訴訟については、裁判所は、他の一切の訴訟に優先して、速やかにその裁判をしなければならない。
(訴訟に関する通知)
第五十八条 第五十五条の規定による訴訟が提起されたとき若しくは裁判所に係属しなくなったとき又はその訴訟について裁判が確定したときは、裁判所の長は、内閣総理大臣及び総務大臣を通じ中央選挙管理会に対し直ちにその旨を通知しなければならない。
(訴訟手続に関するその他の事項)
第五十九条 第五十五条から前条までの規定に定めるもののほか、第五十五条の規定による訴訟については、公職選挙法第二百十四条及び第二百十九条第一項の規定を準用する。
(国民投票無効の告示)
第六十条 第五十五条の規定による訴訟の結果、国民投票の全部又は一部の無効の判決が確定したときは、中央選挙管理会は、直ちにその旨を官報で告示しなければならない。
第十一章 再投票及び更正決定。
第六十一条 第五十五条の規定による訴訟の結果、国民投票の全部又は一部が無効となった場合においては、第四項の規定に該当する場合を除いて、更に国民投票を行わなければならない。
2 前項の規定による国民投票の期日は、中央選挙管理会が定め、少なくとも当該期日の二十日前に官報で告示しなければならない。
3 第五十五条の規定による訴訟を提起することができる期間又は同条の規定による訴訟が裁判所に係属している間は、第一項の規定による国民投票を行うことができない。
4 第五十五条の規定による訴訟の結果、国民投票の全部又は一部が無効となった場合において、更に国民投票を行わないで国民投票の結果を定めることができるときは、国民投票会を開き、これを定めなければならない。この場合においては、国民投票長は、国民投票録を添えて、直ちにその結果を中央選挙管理会に報告しなければならない。
第十二章 国民投票に関する周知
第六十二条 都道府県の選挙管理委員会は、政令で定めるところにより、憲法改正案、投票用紙の見本その他国民投票に関し参考となるべき事項を掲載した国民投票公報を発行しなければならない。
2 前項の国民投票公報の配布については、公職選挙法第百七十条の規定を準用する。この場合において、同条第一項中「選挙」とあるのは「国民投票」と、「選挙人名簿」とあるのは「投票人名簿」と、同条第二項中「選挙人」とあるのは「投票人」と読み替えるものとする。
3 前二項に規定するもののほか、国民投票公報の発行の手続に関し必要な事項は、中央選挙管理会が定める。
第十三章 国民投票運動に関する規制
(特定公務員等の国民投票運動の禁止)
第六十三条 次に掲げる者は、在職中、国民投票に関し憲法改正に対し賛成又は反対の投票をさせる目的をもってする運動(以下「国民投票運動」という。)をすることができない。
一 中央選挙管理会の委員及び中央選挙管理会の庶務に従事する総務省の職員並びに選挙管理委員会の委員及び職員
二 裁判官
三 検察官
四 会計検査官
五 公安委員会の委員
六 警察官
七 収税官吏及び徴税の吏員
2 投票管理者、開票管理者、国民投票分会長及び国民投票長は、在職中、その関係区域内において、国民投票運動をすることができない。
3 第四十六条の規定によりその例によるものとされる公職選挙法第四十九条の規定による投票に関し、不在者投票管理者は、その者の業務上の地位を利用して国民投票運動をすることができない。
(公務員等の地位利用による国民投票運動の禁止)
第六十四条 次に掲げる者は、その地位を利用して国民投票運動をすることができない。
一 国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第二項に規定する特定独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員若しくは職員
二 公団等の役職員等(公職選挙法第百二十六条の二第一項第二号に規定する公団等の役職員等をいう。)
(教育者の地位利用による国民投票運動の禁止)
第六十五条 教育者(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に規定する学校の長及び教員をいう。)は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して国民投票運動をすることができない。
(外国人の国民投票運動の禁止等)
第六十六条 外国人は、国民投票運動をすることができない。
2 外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織(以下この条において「外国人等」という。)は、国民投票運動に関し、寄附(金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付及びその供与又は交付の約束で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。以下同じ。)をしてはならない。
3 何人も、国民投票運動に関し、外国人等に対し、寄附を要求し、又はその周旋若しくは勧誘をしてはならない。
4 何人も、国民投票運動に関し、外国人等から寄附を受けてはならない。
(国民投票に関する罪を犯した者等の国民投票運動の禁止)
第六十七条 この法律に規定する罪により刑に処せられ国民投票の投票権を有しない者及び公職選挙法第二百五十二条の規定により選挙権及び被選挙権を有しない者は、国民投票運動をすることができない。
(予想投票の公表の禁止)第六十八条 何人も、国民投票に関し、その結果を予想する投票の経過又は結果を公表してはならない。
(新聞紙又は雑誌の虚偽報道等の禁止)
第六十九条 新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌は、国民投票に関する報道及び評論において、虚偽の事項を記載し、又は事実をゆがめて記載する表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならない。
(新聞紙又は雑誌の不法利用等の制限)
第七十条 何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者に対し、財産上の利益を供与し、又はその供与の申込み若しくは約束をして、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載させることができない。
2 新聞紙又は雑誌の編集その他経営を担当する者は、前項の供与を受け、若しくは要求し、又は同項の申込みを承諾して、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載することができない。
3 何人も、国民投票の結果に影響を及ぼす目的をもって新聞紙又は雑誌に対する編集その他経営上の特殊の地位を利用して、当該新聞紙又は雑誌に国民投票に関する報道及び評論を掲載し、又は掲載させることができない。
(放送事業者の虚偽報道等の禁止)
第七十一条 日本放送協会又は一般放送事業者は、国民投票に関する報道及び評論において虚偽の事項を放送し、又は事実をゆがめて放送する等表現の自由を濫用して国民投票の公正を害してはならない。
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