「任命に衆参両院の同意が必要な政府人事案について、事前報道があった場合は受け付けない」という西岡武夫、笹川尭両議院運営委員長合意が実行されようとしたことから、上記合意(西岡ルール)が改めて問題視された。もちろん、取材規制につながるような西岡ルールを認めるわけにはいかないのは当然だ。しかし、他方で、西岡ルールは、政府主導の事前リークによって、衆参両院の同意が形骸化されことを危惧したもので、その狙い自体は理解できないわけではない。両院への提示に先立ち、いかにも、確定したかのような人事報道がなされれば、同意の主体である両院議員は白けてしまうだろう。
事前報道の弊害は、①事前報道によって、人事が確定したものという流れができてしまう、②政府は、観測記事的な事前報道によって関係者や世間の反応を確認しようとする、という二つが考えられる。
西岡ルールは、政府関係者がメディアに一斉に流すことによる弊害、すわなち、主として上記①の弊害に対応するために、作られたということができよう。
狙いは分かるが、このルールが厳格に適用されたら、書いたとたんに誤報になるのだから、結果的に各社とも、事前報道を差し控えることになり、事実上、報道規制がされたことになる。
したがって、この西岡ルールにマスメディア各社や市民が反対するのはよく分かる。
しかし、あえて、問いたい。メディアは、自らがプロパガンダの道具になるとの自覚をもって記事を書いているかと。
そもそも、事前に人事情報を報道する意義は、事前に報道することで、その人事の是非を問うことにある。
しかし、現時点の報道はそのような問題意識をもって書かれているだろうか。単に早く情報を入手してそれを伝えることのみで満足しているのではないだろうか。
知ったから伝えるというだけの姿勢では、プロパガンダの道具とされることを避けられない。なぜ、伝えるのかを常に自問しなければならない。
もちろん、読む側のリテラシーの問題もあるが、メディアはリテラシーに本気で取り組んでいるとは到底言えない。したがって、「伝えた後どう評価するかは読者、視聴者次第。客観報道こそが全て」というのは、言い逃れに過ぎない。それでは、メディアは報道業で利益を得ていることに伴う社会的責任を果たしているとは言えないだろう。
現実は悲惨だ。たとえば、古森氏がNHK経営委員会委員長になるだろうという観測記事に関しては、①古森氏が放送関連商品を取り扱っている会社の責任者であることの問題点、②経営委員として選出されてさえないのに委員の互選で決まる委員長に内定したという情報が流される手続き上の問題点、という2つの問題点があるはずだが、①②を両方するどく批判した記事があっただろうか…。単に、古森氏に決まったという情報を垂れ流しただけではないだろうか…。
自らがプロパガンダとして利用されるおそれがあることを常に自覚していたら、単なる垂れ流し報道はできないはずだ。もちろん、巨大広告主に対してどこまで頑張れるかという問題はあるだろうが…。
今回の西岡ルールをめぐる騒動は、マスメディアが本来の機能を発揮していないときには、弊害論に基づくメディア規制論に対抗しにくいことを示している典型例といえるかもしれない。
…で、ここでこのブログのローカルルールについて少し触れたい。これまで個人的に受任している事件も取り上げてきました。その際、代理人であることを示唆する情報を紛れ込ませ、読めば分かるようにはしていましたが、あえて、代理人であることを明示することはしていませんでした。それは、このブログが匿名で運営されていることに伴うものです(匿名にしないと依頼者にブログ書く暇があるなら、事件の処理をしろってお叱りを受ける)。その点、ご理解ください。
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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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事前報道の弊害は、①事前報道によって、人事が確定したものという流れができてしまう、②政府は、観測記事的な事前報道によって関係者や世間の反応を確認しようとする、という二つが考えられる。
西岡ルールは、政府関係者がメディアに一斉に流すことによる弊害、すわなち、主として上記①の弊害に対応するために、作られたということができよう。
狙いは分かるが、このルールが厳格に適用されたら、書いたとたんに誤報になるのだから、結果的に各社とも、事前報道を差し控えることになり、事実上、報道規制がされたことになる。
したがって、この西岡ルールにマスメディア各社や市民が反対するのはよく分かる。
しかし、あえて、問いたい。メディアは、自らがプロパガンダの道具になるとの自覚をもって記事を書いているかと。
そもそも、事前に人事情報を報道する意義は、事前に報道することで、その人事の是非を問うことにある。
しかし、現時点の報道はそのような問題意識をもって書かれているだろうか。単に早く情報を入手してそれを伝えることのみで満足しているのではないだろうか。
知ったから伝えるというだけの姿勢では、プロパガンダの道具とされることを避けられない。なぜ、伝えるのかを常に自問しなければならない。
もちろん、読む側のリテラシーの問題もあるが、メディアはリテラシーに本気で取り組んでいるとは到底言えない。したがって、「伝えた後どう評価するかは読者、視聴者次第。客観報道こそが全て」というのは、言い逃れに過ぎない。それでは、メディアは報道業で利益を得ていることに伴う社会的責任を果たしているとは言えないだろう。
現実は悲惨だ。たとえば、古森氏がNHK経営委員会委員長になるだろうという観測記事に関しては、①古森氏が放送関連商品を取り扱っている会社の責任者であることの問題点、②経営委員として選出されてさえないのに委員の互選で決まる委員長に内定したという情報が流される手続き上の問題点、という2つの問題点があるはずだが、①②を両方するどく批判した記事があっただろうか…。単に、古森氏に決まったという情報を垂れ流しただけではないだろうか…。
自らがプロパガンダとして利用されるおそれがあることを常に自覚していたら、単なる垂れ流し報道はできないはずだ。もちろん、巨大広告主に対してどこまで頑張れるかという問題はあるだろうが…。
今回の西岡ルールをめぐる騒動は、マスメディアが本来の機能を発揮していないときには、弊害論に基づくメディア規制論に対抗しにくいことを示している典型例といえるかもしれない。
…で、ここでこのブログのローカルルールについて少し触れたい。これまで個人的に受任している事件も取り上げてきました。その際、代理人であることを示唆する情報を紛れ込ませ、読めば分かるようにはしていましたが、あえて、代理人であることを明示することはしていませんでした。それは、このブログが匿名で運営されていることに伴うものです(匿名にしないと依頼者にブログ書く暇があるなら、事件の処理をしろってお叱りを受ける)。その点、ご理解ください。
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