今国会で成立されようとしている放送法の改正で、電波監理審議会が番組内容に関する調査権限を得ようとしていることについてはすでに触れたが(※1)、なんと、インターネットが「放送」とされることがわかった。【●訂正●すみません、ここがそもそも、違うようです。】その結果、ニコニコ動画やUstreamなどの事業者が放送法に触れるようなことをしたと総務大臣が判断した場合、大臣が業務を停止する権限を持つようだ。これって、総務省が気に入らないメディアをつぶせるってことでは…。危険な放送改正について情報を共有し、総務大臣にいったいどうなっているのか聞いてみてほしい。
◆改正法案:http://www.soumu.go.jp/main_content/000058204.pdf
改正の問題点その1は、放送の定義だ。
改正後、2条1項は次のようにされる予定だ。
【「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。)の送信(他人の電気通信設備(同条第二号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)を用いて行われるものを含む。)をいう。】
そこで、電気通信事業法2条1号をみると、【電気通信 有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることをいう。】とある。改正後には、テレビ、ラジオだけでなく、ケーブルテレビやインターネットなども「放送」となるわけだ。
【●訂正●直接受信とは、プロバイダーを経由するようなものは含まない、ようです】
【したがって、以下の文章は後日、全面的に訂正・修正をします。しかし、大臣による業務停止がケーブルテレビで実現した場合、「放送」と「通信」が融合する際には、ケーブルテレビとほとんど類似の機能を有するインターネットTVも同じような規制をかけられる可能性が大きくなることは間違いないでしょう。】
【また、電波監理審議会に関する懸念は、この点とは関係ないです】
よって、ニコ動やUstも「放送事業者」となる。場合によっては、一定以上のページビューのあるサイトの運営者も「放送事業者」となりかねない。
そして、具体的に何が起きるか、それが第2の問題だ。
改正後の174条1項は次のようにされる。
【総務大臣は、放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。)がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、三月以内の期間を定めて、放送の業務の停止を命ずることができる。】
ねっ、ニコ動などが放送法に触れたら、業務停止を命じることができるわけです。本当だったでしょう。
行政がインターネットサイトの業務を停止するってことは、活字でいえば出版差し止め、ってことだ。裁判所で公正に審理してもらってようやくなしうるもんだ。
ところが、これを裁判所の手続きではなく、大臣の独断でできるようにしようっていうわけだ。
大問題だ~。
でも、なぜ、テレビが騒がないんだ???
よ~く条文を読むと、【特定地上基幹放送事業者を除く。】とある。なんだ、特定地上基幹放送って? 改正法2条2項をみると…。
【「基幹放送」とは、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の規定により放送をする無線局に専ら又は優先的に割り当てられるものとされた周波数の電波を使用する放送をいう。】
…う~ん、なんだかよく分からないが、既存のテレビ局が含まれるのだけは間違いないようだ…。
え、ということは、テレビ局は、業務停止の例外なんだ。じゃぁ~テレビが騒ぐはずがないわな~。
と、ここまで来ると、皆さん、改正後放送法174条1項の「放送事業者」とは何かが気になるでしょう?
2条26項【「放送事業者」とは、基幹放送事業者及び一般放送事業者をいう。】
2条23項【「基幹放送事業者」とは、認定基幹放送事業者及び特定地上基幹放送事業者をいう。】
2条21項【「認定基幹放送事業者」とは、第九十三条第一項の認定を受けた者をいう。】
93条1項【基幹放送の業務を行おうとする者(電波法の規定により当該基幹放送の業務に用いられる特定地上基幹放送局の免許を受けようとする者又は受けた者を除く。)は、次に掲げる要件のいずれにも該当することについて、総務大臣の認定を受けなければならない。】
2条22項【「特定地上基幹放送事業者」とは、電波法の規定により自己の地上基幹放送の業務に用いる放送局(以下「特定地上基幹放送局」という。)の免許を受けた者をいう。】
2条25項【「一般放送事業者」とは、第百二十六条第一項の登録を受けた者及び第百三十三条第一項の規定による届出をした者をいう。】
126条1項【一般放送の業務を行おうとする者は、総務大臣の登録を受けなければならない。ただし、有線電気通信設備を用いて行われるラジオ放送その他の一般放送の種類、一般放送の業務に用いられる電気通信設備の規模等からみて受信者の利益及び放送の健全な発達に及ぼす影響が比較的少ないものとして総務省令で定める一般放送については、この限りでない。】
133条1項【一般放送の業務を行おうとする者(第百二十六条第一項の登録を受けるべき者を除く。)は、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書類を添えて、その旨を総務大臣に届け出なければならない。】
はぁ、はぁ、読むだけで疲れる…。
基幹放送事業者っていうのは、どうもテレビやケーブルテレビを差すようだ。
そこで、一般放送事業者とは何かを確認すると、これは…なんと、【総務省令で定めるところ】とされている。つまり、何が一般事業者かは、総務大臣が決める総務省令で決められるということだ。
以上のことから、今回の法改正で、総務大臣が勝手にインターネット事業者(あるいは場合によっては、一定数以上のページビューのある発信者)を「一般放送事業者」と定義づけたうえ、その者に、登録もしくは届け出をさせ、何らかの法違反を理由にして、事業停止にできる、発信停止にできるっていうことだ。
が~ん、民主党になって、記者会見開放など、情報が公開される方向に進んでいると思ったのに…。
たとえば、改正後も放送法には、「公安および善良な風俗を害しないこと」(新4条1号)、「政治的に公平であること」(同2号)という規定は残る。
したがって、それらに触れるぞ、って、ニコ動、Ust、2ちゃんねるなどを業務停止にすることも可能なわけだ…。
いやいや、あなたが運営するサイトも、一定数以上の訪問者があれば、それをもって一般放送事業者とされ、業務停止を命じられる可能性もある…。
そして、それを無視した場合、【六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処】せられる(185条)。
この恐ろしい制度を仮に政府から独立した「独立行政機関」が担当するならまだしも、総務大臣が直接担当するわけだから。
そして、それを監督するはずの電波監理審議会も結局、何らの独立性も担保されることなく放置…どころか、※1で述べたとおり、権限強化の方向だ。
ひどいのは、改正概要に(http://www.soumu.go.jp/main_content/000058201.pdf)、上記のことがまったく説明されていないことだ。
もしかしたら、官僚が忍び込ませて大臣にまできちんと報告されていないのかもしれない。
全国のインターネットユーザー、いまこそ、立ち上がる時。マスメディアは、優遇されており、まったく当てにはならない。
いまのところ、声を挙げているのは、民放労連くらい?→http://www.minpororen.jp/
アワープラネットTVも発信中→http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/505
★追記★
放送法改正してもニコ動などは、放送事業者にはしないと、総務省は説明をするかもしれないが、なら、それを条文上明確にするべきで、大臣が勝手に決められる総務省令で、放送事業者の範囲を決めるというのは、表現の自由にかかわる法律としてはあまりに不明確だ。
※1:電波監理審議会に放送の不偏不党に関する調査権限を与えるのは先走りでは?(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/e923dbee33b2871e8019a927225981bd)
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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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◆改正法案:http://www.soumu.go.jp/main_content/000058204.pdf
改正の問題点その1は、放送の定義だ。
改正後、2条1項は次のようにされる予定だ。
【「放送」とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。)の送信(他人の電気通信設備(同条第二号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)を用いて行われるものを含む。)をいう。】
そこで、電気通信事業法2条1号をみると、【電気通信 有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることをいう。】とある。改正後には、テレビ、ラジオだけでなく、ケーブルテレビやインターネットなども「放送」となるわけだ。
【●訂正●直接受信とは、プロバイダーを経由するようなものは含まない、ようです】
【したがって、以下の文章は後日、全面的に訂正・修正をします。しかし、大臣による業務停止がケーブルテレビで実現した場合、「放送」と「通信」が融合する際には、ケーブルテレビとほとんど類似の機能を有するインターネットTVも同じような規制をかけられる可能性が大きくなることは間違いないでしょう。】
【また、電波監理審議会に関する懸念は、この点とは関係ないです】
よって、ニコ動やUstも「放送事業者」となる。場合によっては、一定以上のページビューのあるサイトの運営者も「放送事業者」となりかねない。
そして、具体的に何が起きるか、それが第2の問題だ。
改正後の174条1項は次のようにされる。
【総務大臣は、放送事業者(特定地上基幹放送事業者を除く。)がこの法律又はこの法律に基づく命令若しくは処分に違反したときは、三月以内の期間を定めて、放送の業務の停止を命ずることができる。】
ねっ、ニコ動などが放送法に触れたら、業務停止を命じることができるわけです。本当だったでしょう。
行政がインターネットサイトの業務を停止するってことは、活字でいえば出版差し止め、ってことだ。裁判所で公正に審理してもらってようやくなしうるもんだ。
ところが、これを裁判所の手続きではなく、大臣の独断でできるようにしようっていうわけだ。
大問題だ~。
でも、なぜ、テレビが騒がないんだ???
よ~く条文を読むと、【特定地上基幹放送事業者を除く。】とある。なんだ、特定地上基幹放送って? 改正法2条2項をみると…。
【「基幹放送」とは、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)の規定により放送をする無線局に専ら又は優先的に割り当てられるものとされた周波数の電波を使用する放送をいう。】
…う~ん、なんだかよく分からないが、既存のテレビ局が含まれるのだけは間違いないようだ…。
え、ということは、テレビ局は、業務停止の例外なんだ。じゃぁ~テレビが騒ぐはずがないわな~。
と、ここまで来ると、皆さん、改正後放送法174条1項の「放送事業者」とは何かが気になるでしょう?
2条26項【「放送事業者」とは、基幹放送事業者及び一般放送事業者をいう。】
2条23項【「基幹放送事業者」とは、認定基幹放送事業者及び特定地上基幹放送事業者をいう。】
2条21項【「認定基幹放送事業者」とは、第九十三条第一項の認定を受けた者をいう。】
93条1項【基幹放送の業務を行おうとする者(電波法の規定により当該基幹放送の業務に用いられる特定地上基幹放送局の免許を受けようとする者又は受けた者を除く。)は、次に掲げる要件のいずれにも該当することについて、総務大臣の認定を受けなければならない。】
2条22項【「特定地上基幹放送事業者」とは、電波法の規定により自己の地上基幹放送の業務に用いる放送局(以下「特定地上基幹放送局」という。)の免許を受けた者をいう。】
2条25項【「一般放送事業者」とは、第百二十六条第一項の登録を受けた者及び第百三十三条第一項の規定による届出をした者をいう。】
126条1項【一般放送の業務を行おうとする者は、総務大臣の登録を受けなければならない。ただし、有線電気通信設備を用いて行われるラジオ放送その他の一般放送の種類、一般放送の業務に用いられる電気通信設備の規模等からみて受信者の利益及び放送の健全な発達に及ぼす影響が比較的少ないものとして総務省令で定める一般放送については、この限りでない。】
133条1項【一般放送の業務を行おうとする者(第百二十六条第一項の登録を受けるべき者を除く。)は、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書類を添えて、その旨を総務大臣に届け出なければならない。】
はぁ、はぁ、読むだけで疲れる…。
基幹放送事業者っていうのは、どうもテレビやケーブルテレビを差すようだ。
そこで、一般放送事業者とは何かを確認すると、これは…なんと、【総務省令で定めるところ】とされている。つまり、何が一般事業者かは、総務大臣が決める総務省令で決められるということだ。
以上のことから、今回の法改正で、総務大臣が勝手にインターネット事業者(あるいは場合によっては、一定数以上のページビューのある発信者)を「一般放送事業者」と定義づけたうえ、その者に、登録もしくは届け出をさせ、何らかの法違反を理由にして、事業停止にできる、発信停止にできるっていうことだ。
が~ん、民主党になって、記者会見開放など、情報が公開される方向に進んでいると思ったのに…。
たとえば、改正後も放送法には、「公安および善良な風俗を害しないこと」(新4条1号)、「政治的に公平であること」(同2号)という規定は残る。
したがって、それらに触れるぞ、って、ニコ動、Ust、2ちゃんねるなどを業務停止にすることも可能なわけだ…。
いやいや、あなたが運営するサイトも、一定数以上の訪問者があれば、それをもって一般放送事業者とされ、業務停止を命じられる可能性もある…。
そして、それを無視した場合、【六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処】せられる(185条)。
この恐ろしい制度を仮に政府から独立した「独立行政機関」が担当するならまだしも、総務大臣が直接担当するわけだから。
そして、それを監督するはずの電波監理審議会も結局、何らの独立性も担保されることなく放置…どころか、※1で述べたとおり、権限強化の方向だ。
ひどいのは、改正概要に(http://www.soumu.go.jp/main_content/000058201.pdf)、上記のことがまったく説明されていないことだ。
もしかしたら、官僚が忍び込ませて大臣にまできちんと報告されていないのかもしれない。
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★追記★
放送法改正してもニコ動などは、放送事業者にはしないと、総務省は説明をするかもしれないが、なら、それを条文上明確にするべきで、大臣が勝手に決められる総務省令で、放送事業者の範囲を決めるというのは、表現の自由にかかわる法律としてはあまりに不明確だ。
※1:電波監理審議会に放送の不偏不党に関する調査権限を与えるのは先走りでは?(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/e923dbee33b2871e8019a927225981bd)
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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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