あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

予想外の展開と結末

2019-06-22 | 本(文庫本)
薬丸岳さんの『闇の底』を読みました。
ちょいちょい読みたくなる薬丸さんの作品ですが、ここのところ最初に読んだ『天使のナイフ』のような読み終わったときの気持ちにはなれなくて『何故なんだろう?』と思っておりました。それは薬丸さんの作品だけじゃなくて、ほかの作家さんの作品でも『何かちょっと違わない?』と思うこともあるので、不思議なことでも何でもないのですが。
それでふんわりと出た結論が「初期作品なら良いんじゃない?」ということでした。そこから振り返ってみると、第2作、『天使のナイフ』の次に出版された本作をまだ読んでいないことに気づいたのでした。

幼女に対する性的暴行殺人事件が起きるたびに、過去に同様の罪を犯した男が殺される。卑劣でしかない罪に対して殺人で抑止しようとするのは、サンソンと名乗る人物。かつて幼い妹を殺された経験をもつ刑事・長瀬は、処刑人・サンソンを追うのだが……。

実に読み応え十分。一気読みでした。
強引な感じもないし、現実問題として捉えることができて、しっかり考えさせられて、読後は「なるほどねぇ~」と唸らされました。デビュー2作目でこのクオリティ。凄いとしか言いようがないです。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、サンソンの描き方がすごく良いのです。「ひょっとして……」が最後までミスリードされちゃって、結果「そ、そうくるのかぁ~!」になります。サンソンの犯罪に対する考え方はある意味理解できるけど、あんな行動に出るしかなかったサンソンは哀しい。この場合の「目には目を」はやっぱりないから。
そんなふうに考えてしまった読後でした。
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