宮部みゆきさんの『よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続』を読みました。
「はい、待ってました」の大好きなシリーズ。が瓢箪古堂にお嫁に行ったおちかちゃんから聞き手役を受け継いだ三島屋の小旦那・富次郎ですが、彼なりの「聞き捨て」がすっかり馴染んで板についてきたようです。
「賽子と虻」…呪いをかけられた姉を助けるために、その呪いを飲み込んだ弟・餅太郎が連れてこられたのは、博打好きな神様たちが賭博に興じる不思議な世界だった。
「土鍋女房」…水神様の住まう粂川で三笠の渡しの船頭をやってる喜代丸。妹のおとびが渡しの待合所で見つけた不思議な土鍋を喜代丸は持ち帰る。
「よって件のごとし」…仲睦まじい商人風の老夫婦。穏やかに語る夫と目の見えなくなった妻が、かつて体験した村で起きた「ひとでなし」にまつわる顛末。
3つの話すべてが面白くてたまりませんでした。
とくに好きなのは最初の「賽子と虻」。摩訶不思議な世界に行ってしまった餅太郎を何かと助けてくれる賽子(さいころ)が健気で可愛いし、博打をする神様ってのも滑稽だし。不思議すぎておっかない世界なはずなのに、決して嫌な感じがしません。結果、悲しい展開になるのですけど、現実の世界に戻って笑うことができなくなった餅太郎にある提案をします。これが思わず膝を打ってしまったほどお見事で「やるじゃん、富次郎!」となりました。
そして最後の表題作は、登場する男たちがとにかくかっこいい。とくにリーダー格の侍の頼もしさといったら、まさにヒーローでした。さらに怪物のいる死地に向かうのに「自分が行くからお前は残れ」と言い争うタフな父と息子とか、肝の据わった件見役などなど、彼らが揃って「ひとでなし」に立ち向かうところなんて、まるで「アベンジャーズ」ですよ。ハリウッドのヒーローものみたいなカッコよさ。ひとでなしの出てくるシーンはかなり気持ち悪いのですけど、それを凌駕する爽快さがあります。
百物語以外に今後の展開が気になる三島屋さんの変化も。
まずは富次郎の兄、奉公に出ていた伊一郎が三島屋に帰ってきます。そしておちかちゃんがもうすぐお母さんになります。富次郎はおちかちゃんの出産に障りがあってはいけないと、しばらく百物語をお休みすると決めます。
百物語もここまでで37。まだ先は長いので、読者としてはおちかちゃんの無事の出産と、百物語の再開をウキウキしながら待ちたいと思います。
「はい、待ってました」の大好きなシリーズ。が瓢箪古堂にお嫁に行ったおちかちゃんから聞き手役を受け継いだ三島屋の小旦那・富次郎ですが、彼なりの「聞き捨て」がすっかり馴染んで板についてきたようです。
「賽子と虻」…呪いをかけられた姉を助けるために、その呪いを飲み込んだ弟・餅太郎が連れてこられたのは、博打好きな神様たちが賭博に興じる不思議な世界だった。
「土鍋女房」…水神様の住まう粂川で三笠の渡しの船頭をやってる喜代丸。妹のおとびが渡しの待合所で見つけた不思議な土鍋を喜代丸は持ち帰る。
「よって件のごとし」…仲睦まじい商人風の老夫婦。穏やかに語る夫と目の見えなくなった妻が、かつて体験した村で起きた「ひとでなし」にまつわる顛末。
3つの話すべてが面白くてたまりませんでした。
とくに好きなのは最初の「賽子と虻」。摩訶不思議な世界に行ってしまった餅太郎を何かと助けてくれる賽子(さいころ)が健気で可愛いし、博打をする神様ってのも滑稽だし。不思議すぎておっかない世界なはずなのに、決して嫌な感じがしません。結果、悲しい展開になるのですけど、現実の世界に戻って笑うことができなくなった餅太郎にある提案をします。これが思わず膝を打ってしまったほどお見事で「やるじゃん、富次郎!」となりました。
そして最後の表題作は、登場する男たちがとにかくかっこいい。とくにリーダー格の侍の頼もしさといったら、まさにヒーローでした。さらに怪物のいる死地に向かうのに「自分が行くからお前は残れ」と言い争うタフな父と息子とか、肝の据わった件見役などなど、彼らが揃って「ひとでなし」に立ち向かうところなんて、まるで「アベンジャーズ」ですよ。ハリウッドのヒーローものみたいなカッコよさ。ひとでなしの出てくるシーンはかなり気持ち悪いのですけど、それを凌駕する爽快さがあります。
百物語以外に今後の展開が気になる三島屋さんの変化も。
まずは富次郎の兄、奉公に出ていた伊一郎が三島屋に帰ってきます。そしておちかちゃんがもうすぐお母さんになります。富次郎はおちかちゃんの出産に障りがあってはいけないと、しばらく百物語をお休みすると決めます。
百物語もここまでで37。まだ先は長いので、読者としてはおちかちゃんの無事の出産と、百物語の再開をウキウキしながら待ちたいと思います。