あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

桃源郷で解毒

2015-12-26 | 本(文庫本)
三浦しをんさんの『神去なあなあ日常』を読みました。

クリスマスが終わると、本当に「今年もあと少しで終わり~」って気分が押し寄せてきて、何となく焦る。別に焦らなくても良いだろうけど、焦る。何故だろう。不思議ね~。
そして今年の読書も、前回にヤバい作品を読んでしまったので、何となくこのままじゃダメなような気がして…。いや、別にあの作品がダメってことじゃなくて、私の気持ちがもっとhappyなものを求めていました。
ということで、三浦しをん作品で受けた衝撃は三浦しをん作品で解消しようと。そういうことで選んだのが本作でありました。

高校卒業後の進路もはっきりと決まっていなかった横浜で生まれ育った勇気は、本人の意思など関係なく、ほぼ強制的に三重県の「神去(かむさり)」という村で林業の研修を受けることになった。携帯の電波もちゃんと入らない村だが、そこは四季折々の美しい自然があり、何でも「なあなあ」で生きている村人たちがいた。林業の先輩になる金髪でガタイの良い強烈なキャラクター・ヨキの家で、これまた強烈なキャラクターの繁ばあちゃんと、ヨキの嫁・みき、飼い犬のノコと暮らすことになる勇気。そして勇気の雇い主・清一の義妹・直紀さんとも出会う。

老人率の高い村で、勇気が直紀さんに恋するって青春ストーリーもあるのだけど、やはりここは描かれている美しい山の自然、昔から日本の山を守ってきた人たちのこと、山岳信仰……、いろんなことを気付かせてくれました。都市部で長年暮らしているうちに忘れてしまっていた感覚。田舎のおばちゃんが教えてくれたことがあったな~、って思い出したり…。
本当に素直に「良い話だな~」って穏やかに感動できました。48年ごとに行われるという祭りのシーンは、ここだけ穏やかな「なあなあ」の村のテンポではない疾走感があり、一気に読めてしまいました。
スギ花粉にやられない季節に行ってみたくなる村の話。秀作です。

よかったよ~、ちゃんとhappyな読書で今年を締めくくれて♪
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