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とみしゅう日記

 AとBと僕とは、実は最近になってから親しくなった。
 かれこれ10年近くの仲になるわけだが、一緒に飲んだり、遊んだりというのはここ1年くらいのことである。
 人間関係というものは、単に年月の長短で計れるものではない。
 改めて、そんなことを思っている。

 TOKIOというグループについては、もちろんその存在は知っていた。ジャニーズを代表する男性グループの一つ。メンバーの各々が楽器を手にし、音楽を奏でる。
 かつて同様の活躍を果たした男闘呼組ほどハードではないけれども、TOKIOもまたロックバンドと呼んでもいい活躍を果たしていると言っていいだろう。

 彼らのアルバムを、ここ2ヶ月で2枚買った。“glider”と“TOK10”がそれ。後者は、最近オリコンチャートの1位に輝いている。
 その前に“Ambitious Japan”のシングルも買った。これは、掛け値なしに名曲だと思っている。
 “glider”では、“花唄”と“Green”が良かった。
 “TOK10”では、“君だけに”と“flower”がお気に入りだ。
 Aからは“5 ahead”を借りた。“カンパイ!”や“メッセージ”といった、聞き馴染みのある曲が入っていた。これもいいアルバムだった。

 彼女たちのおかげで、今まで積極的に聞こうと思わなかった歌手のCDを聞くことができ、僕の中の「世界」を広げることができた。
 こういうことがあるから、人生って面白い。

 二人のお気に入りは、城島茂。通称・リーダー。
 バンドとしては、ギター担当。バラエティ的には、いじられ役担当。
 Bがリーダーのことを語る時、心の底から嬉しそうな笑顔になる。
 そういう表情って、決して悪くないなと思う。うん、悪くない。

 僕らは、そうして飲み屋やメール上で、それぞれのTOKIO観を語り、彼らのレギュラー番組について感想を述べ、少しずつ「その日」に向けて、気持ちを盛り上げてきた。

 そして、9月11日の朝を迎える。

 東京駅のホーム。
 3人がけの指定席に、A、B、僕の3人が座っている。
 大阪に着いたら美味しいものを食べようと、朝食の量も減らし、ついでに口数も少ない。
 Aが買ってきた「るるぶ大阪」を、全員熱心に読んでいるからだ。

 大阪着は、14時近く。パックツアーの弊害で、これはやむを得ない。
 問題は、何を食べるかだ。我らのツアーを最初に飾る、記念すべき昼食。
 ほどなくして、お好み焼きがその栄誉を担うことになった。

 その直後、我々は熟睡に入る。
 それぞれが、忙しい1週間を過ごしてきた。
 その疲労を少しでも癒すため、ライブへの英気を養うため。
 僕らは眠る。

 のぞみが新大阪のホームにつ到着する。
 僕らは鞄を手に、御堂筋線への乗り換え口を目指す。
 寡黙な僕らは、しかし心の内では同じことを思っている。
 「早くお好み焼きを食わせろ!」と。
 こういうことに、男女の差はないものだ。

 ホテルのチェックインがもどかし思える。
 胃腸が、何かを脳に訴えてくる。
 粉を溶き、具を混ぜ、鉄板で焼く。
 単純で、しかし迷宮のごとく奥深い、料理。それがお好み焼き。
 などと、たとえ森本レオがいい声でナレーションをしたところで、僕らにそれを聞く余裕はない。
 るるぶを片手に、道頓堀の街へと繰り出す。
 
 1時間後。
 僕らの胃袋には、お好み焼き3枚、たこ焼き16個が収まった。
 3で割ると、お好み焼き1枚。たこ焼き5個と3分の1。
 自分としては、腹一杯を超えるほど食べたつもりだった。
 が、不思議とまったく胃にもたれる気配がない。これには驚いた。

 満足ついでに、ジャニーズショップを覗く。
 僕はこの手の店に初めて入ったが、拍子抜けするほど品数が少ない。
 メインは生写真。それで7割強。残り3割弱のうち、大半がKinKi Kidsだった。
 TOKIOのグッズは、ほんの数点。今日、本当にこの地でライブをやるのか? と思わされたほど。
 結局、誰も何も買わずに、大阪城ホールへと向かうことにした。
 
 <つづく>
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