前回からのつづきです。
僕が楽器を買おうと思った理由のひとつ、それがT-SQUAREの「Omens of Love」です。
09 T Square Omens of Love Live The Legend 2016
1985年にリリースされて30年以上たちますが、おそらくは「宝島」と並んで吹奏楽の定番となっている曲だと思います。
タイトルを和訳すると「恋の予感」。
覚えやすくて、爽やかで、ノリが良い。誰からも愛される楽曲ではないでしょうか。
僕も、この曲の存在は以前から知っていました。
しかし、前回のTRUTHと同様、主旋律はキーボードで演奏されているものだと勘違いしていたのです。
僕がOmens of Loveのライブ映像を動画で観たのは、実は今年になってからでした。
その時に受けた衝撃を、どう説明すればいいんだろうか…
僕の中で、シンセサイザー=鍵盤楽器orコンピューターでした。
事前にMIDIデータなんかを準備しておいて、自動で演奏させる。
または、鍵盤を使ってリアルタイムで演奏する。
シンセサイザーには、その2択しかないと思っていたんです。
ところが!
まさか、吹いて演奏する管楽器にシンセサイザーがくっついたものが存在するだなんて…
自分の中の常識のひとつが、ガラガラと崩れ落ちたのです。
それをきっかけに、僕はこのOmens of Loveに恋をしました。
恋愛に理由はいりません。ただただ好きになったのです。
ずっと前から知っていたはずなのに、僕はこの曲のことを何も知らなかった。
知ろうともしなかった。
イコール、その程度にしか興味がなかったのです。
でも、ある時を境に、その意識は変わってしまった。
大げさではなく、寝ても覚めてもこの曲のことが気になって仕方なくなってしまったのです。
Omens of Loveにはライブ盤を含めていくつかの音源があるのですが、この3ヵ月は毎日いずれかのバージョンを聴いています。
聴くたびに僕の心はときめきます。
なんてステキな曲なんだろう、と。
もし…もしも、この曲を自分も演奏できたとしたら?
できるのか? 何の楽器経験もない自分が?
音楽の才能なんて欠片もない自分が?
僕から見て楽器ができる人は「選ばれし人」なのです。
天賦の才能を持って生まれた人だけができること、していいこと。
僕のような才能のない人間には、近寄ることすら許されない世界。
そんな凡人である僕が、それでも一度だけプレイヤーとして音楽に最接近した時期がありました。
大学生の頃、バイト代で1台のマシンを買いました。
YAMAHAのQY8というシーケンサーでした。
30,000円を切る価格ながら、音源+シーケンサー+リズムマシンが一体化されていました。
音符を手入力し、いくつかのパターン(イントロ、Aメロ、エンディングなど)を組み合わせることで、さまざまなスタイルの音楽が楽しめたのです。
自分のような「能無し」でも、この機械を使えば音楽を作れる!
音符を手入力し、いくつかのパターン(イントロ、Aメロ、エンディングなど)を組み合わせることで、さまざまなスタイルの音楽が楽しめたのです。
自分のような「能無し」でも、この機械を使えば音楽を作れる!
そう意気込んで買ってはみたものの、自分で作曲できる能力などはないため、市販の楽譜(初心者向けのピアノ楽譜が多かった)を買っては、1音ずつ入力し、いろいろとパターンを変えては悦に入っていたものです。
自分で作った曲ではないけれど、メインのメロディは自分が入力して、限られたテンプレートの中からとはいえ自分の好みでアレンジできる。
これは本当に楽しかった。
とても気に入っていたマシンだけれど、確か大学の先輩に貸したきり、行方不明となってしまいました…
それ以来、音楽を本気で演奏をしようと思ったことなど一度もありませんでした。
そんな僕が、平日でも仕事を終えてからの30分〜1時間くらいをずっと個人練習にあてるようになったのです。
そのきっかけのひとつが、このOmens of Loveに対する強い愛情であることは間違いありません。
さて…
ここまでの記事で何度か顔を出してきたキーワードがあります。
それは「吹奏楽」。
楽器経験が皆無だった僕ですが、実は吹奏楽とは浅からぬ因縁があるのです。
【つづく】