今回はいつもとはちょっと趣向を変えて、オランダの田舎町のご紹介です。
■ザーンセ・スカンス
日本の明治村のように各地に残っていた地方の古い家屋と風車を保存したザーンセ・スカンスは家屋の屋根や壁が、この地方独特の
深い緑に塗られていることから”緑の町”と呼ばれています。
アムステルダム中央駅からオランダ国鉄の各駅停車で20分、ザーンデイグ・ザーンセ・スカイス駅下車、駅前の大通りを東へ進み、ザーン川を
渡るとザーンセ・スカンスの街が見えてきます。17世紀頃の木造住居を移転させたこの街はには、この地域独特の緑の壁と白い窓枠の家が並んで
おり、今でもそこに人々が暮らしています。ザーン川に沿ってはいくつかの風車も残されていて、風を利用して穀物や顔料の原料となる岩を挽いたり、
種から油を搾ったりしているところを見学することもできるようになっています。
■トールン
中世にこの町に住んでいた修道女に敬意を表した住民が、家、教会などを全て白く塗り込めたという伝統から、今では“白い街”と呼ばれています。
アムステルダム中央駅から南方向へおよそ1時間40分、ヴォールトの駅で下車し、そこからルーモント往きのバスに乗ってさらに30分ほど行った
ベルギーとの国境にも近い所にある街です。
イタリアやギリシアのエーゲ海の島々によく見かける石灰を塗って白くしている街とは異なり、トールンの街の白色は白いペンキを塗ったものと
なっています。町の中心には修道院教会が建ち、お洒落なカフェで頂くパンケーキも最高です。
さらに町の北、1.5kmほどの所にはKapel onder de Linden(リンデンの樹の下の礼拝堂)と呼ばれる小さな教会が立っています。
礼拝堂は1673年に建てられており、1291年に天使たちによってイタリア、マルケ州ロレートの町に移されたと言われている、マリアの家を
モデルにした、いわゆるロレートの礼拝堂となっています。文字通り樹々の下に建つ清楚な礼拝堂ですが、トールンの街からここまで足を運ぶ観光客は
ほぼ居ないようです。
■ハールザイレンス
デ・ハール城の小さな城下町であるハールザイレンスは、デ・ハール城と同じく窓枠が赤と白の模様に塗り分けられているため、“赤い街”と呼ばれています。
小さな広場の周りにわずかな家やレストランが並ぶ本当に小さな町ですが、ここからロス・チャイルド家が所有している豪華なデ・ハール城まで
1kmほどとなっています。
ユトレヒトの街からオランダ国鉄の各駅停車で3駅目のフレウテン駅まで行き、そこからバスでハールザイレンスの街の小さな広場まで移動します。
広場を中心にごく僅かな家並みが点在しています。
ハールザイレンスの街から20分ほど歩けばネオ・ゴシック様式のデ・ハール城です。元々は14世紀の城ですが、長く荒廃していたものがロスチャイルド家の
私財によって19世紀末から20世紀初頭にかけて修復されています。広大な庭園と華麗な城は一見の価値ありです。