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おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテです。

”赤ちゃんのパカッとケータイ” が来院しました。

【申告要望内容】

 電池を入れるところが錆びています。

【初診】

 フィッシャープライスの折りたたみ電話です。ボタンを押すと5つの呼び出し音やメロディが流れます。持ち運びのためリングも付いています。

 白く見える裏側が電池ボックスです。

 

 

 ボタン電池を3個入れるのですが、緑青が噴きとてもひどい状況です。長い間放置されていたのでしょう。

  

 

 電極端子が特殊なため腐食した電極を再生しなければなりません。腐食を落とすため”さび取り職人”を使用します。中性でなかなかのスグレモノです。腐食の程度がひどいので一晩つけおきしました。

 腐食の程度が軽ければ紫色なのですが、今回はご覧の通り真っ黒になりました。

  

 

 腐食の程度がひどいものは、メッキ膜にもダメージを与えているので素地が現れています。メッキの剥がれているものは、真鍮ブラシで表面を整え接点グリスを塗布して導通と防錆をします。

 

 電池から漏れたアルカリ液は、基板パターンの絶縁目的のソルダーレジストにもダメージを与えていました。無水エタノールで基板上の緑青を拭うとソルダーレジストも剥がれてきました。

 このままにしておくと、パターンの腐食や近接の導体と短絡するなど二次災害につながるので、ソルダーレジストを塗布しました。

 ところが、このパターンが基板の固定ねじの直ぐ近くにあり、このままねじを締め付けるとねじと短絡したり、パターンを傷つけたりする可能性があります。この場合ねじと短絡しても他にパターンがないので問題は起きないと思いますが、パターンを傷つけるので放置できません。プラスチック板でワッシャーを作り絶縁と保護をしました。

 もし近くに他のパターンがあると、短絡したり離れたりして現象が安定せずドクター泣かせの現象となり得ますので、認識が必要です。

  

 原価低減のために基板のサイズを大きくしたくないのはわかりますが、疑問に感じます。

 もう1本基板の固定ねじがあり同様にパターンと干渉しますが、パターン幅も広くダメージ痕跡も無かったので、対処はしませんでした。

 

 液漏れの影響はこれだけでなく、スピーカの配線接続部のパターンの剥離や、内部配線の芯線の腐食で半田がぬれなかったので、スピーカと配線も交換しました。

 スイッチの導電ラバーと櫛形パターンの汚れもありましたので、無水エタノールで清掃をしました。

 電池を入れて元気になりました。

 

【治療後記】

 フィッシャープライスのおもちゃです。私の感想ですが、ここのおもちゃはドクター泣かせのメーカーです。理由は、接着固定されており分解ができないおもちゃが多いのです。安全性確保のためと思われます。それだけに今回の止めねじと基板パターンの近接については、少々がっかりでした。

 電池の入れたまま放置は、止めましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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