【申告要望内容】
マイクの音が途切れたりします。
【初診】
マイクのプラグを触るとノイズが乗ったり、マイクが動作しません。
プラグを触ってノイズが乗る場合は、
・プラグとジャックの接触不良
・プラグ内の接触不良
が疑われます。
ジャックに接点復活剤を塗布しましたが、改善はみられませんでした。
プラグは樹脂封止されているので、プラグは新しくする必要があります。プラグの先端も変形しています。内部を開けて見ます。
プラグを開けて診ましたが、半田付けが外れている様子はありませんでした。プラグからコンデンサマイクまでの導通を確認しますが、ありませんでした。どうやらケーブルの断線があるようです。
コンデンサマイクは、正常に動作していました。ケーブルとプラグを交換します。
プラグ部の半田付け部は、ホットボンドで固定してケーブルの引っ張りに強度をもたせました。
コンデンサマイクもホットボンドで固定し、ケーブルの引っ張り予防もしました。
これで、無事に終了かと思いきや、思わぬ落とし穴がありました。正常にマイクは動くのですがプラグの抜き差しを何度も繰り返すと、マイクが動かない事があるのです。これでは、治療前とほとんど変わりません。何が起きたのでしょう?作成したマイクケーブルは、マイク確認治具では正常に動きます。
本体を開けてみましたが、マイクの配線が切れかかっているようなことも見受けられません。
治療前後で異なるのは、モノラルプラグからモノラルでも使用できるステレオプラグに変更されていることです。
プラグとジャックの接触子との勘合状態など問題なさそうなのですが・・・
何度もプラグを抜き差しして試している間に、マイクが動作しないときはジャックが少し本体に引っ込む状態になっているときでした。
ジャックは、黄色の部品で抜けないように止めているのですが、そこにはジャックと黄色の部品とに隙間がありジャックの引っ込みの原因になっていました。モノラルプラグではGND端子部が長くこの隙間分があってもGND端子に接触できました。ところが、ステレオプラグではGND端子部が短くなり、ジャックが引っ込むとプラグが十分に勘合できずGND端子と接触できなくなり、マイクが動作できなくなっていました。
そこで、ジャックと黄色の部品との隙間をなくすためにスペーサを挟み、ジャックを直接黄色の部品で押さえるようにしました。結果ジャックは、引っ込まなくなりマイクは安定して動作するようになりました。1.5mm厚のスペーサを挿入しました。
【治療後記】
モノラルプラグを使用すれば、マイクケーブルを作り直しました。おしまい。と言うカルテでした。ところが、ステレオプラグを使用したためにトラブルが発生しました。このおもちゃの設計不具合ではありません。モノラルプラグを使用することが前提に設計されているからです。
このおもちゃは、人気があり全国のおもちゃ病院のカルテにも頻繁に顔を見せる患者さんです。もし、今回のようにマイクの調子が悪くなった場合の注意事例として参考にしていただければ幸いです。