おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテです。

エウロパサウルス? が来院しました。

【申告内容】

 ひだり後足が動かなくなりました。

【初診】

 

 ゼンマイで歩く恐竜です。後足がぷらぷら状態です。他の3本の足は動きます。内部はカムとリンクで動いているでしょうから、リンクが外れているかリンクの結合ピンが折れているかが想定されます。

 内部を検査します。

 

 前後の足をつなぐリンクとつながる後足のピンが折れていることがわかりました。ピンにΦ1.0の穴を開け、Φ0.8の芯を入れ接着しました。

 

    

 これで、治療は終了です。

【おまけ】

 歩行のしくみを考えてみましょう。

 左右の足の動きを分けているのは、ギヤの回転軸に偏心している円板のカムで実現しています。

  

 後足は、振り子運動のように前後に動くだけです。前足は,円運動による足の上げ下げと共につま先の上げ下げをしています。

 

 つま先上下ピンとそのピンが摺動する溝により前足の動作が行われています。

 

 

【治療後記】

 今のおもちゃの多くは、電池を使用するそのおもちゃ用のマイコンとソフトウェアで動くものです。ですので動作のしくみが目ではわかりません。具合が悪くなれば、”壊れた”でおしまいです。この恐竜のように動作のしくみがわかるおもちゃでないと子ども達のなぜだろう?という疑問に発見の喜びはありません。おもちゃドクターの多くもこのような考えをお持ちの方が多いのではないでしょうか。まだまだ、生き残ってほしいおもちゃです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント一覧

toyclinicsado_doctor-r
お褒めの言葉、ありがとうございます。木に登っちゃいますよ。

私たちの病院も少しでも廃棄されるおもちゃを減らし、子ども達に喜んでもらえるように今月から開院場所を2箇所に増やしました。また、市役所経由で、子ども達の保育施設などへの案内掲示依頼など若い人への認知度アップを開始しました。
コロナ禍で患者さんが減りましたが、これから少しでも治療して元気になるおもちゃが増えることを、期待しています。
大泉茂幸
ドクターRさんの修理記録はどれも凄く細かくて几帳面に書かれていて感心しています。でも、なかなか真似ができないです。

子どもにとっておもちゃは教材だと思うんですよね。仕掛けが理解できる範囲であることが重要だと思いますし、それをヒントに自分のおもちゃを作ることができればいいですね。
toyclinicsado_doctor-r
電子化されている多くのおもちゃの治療内容は、電池端子の錆び、配線切れ、押しボタン、スイッチの接触不良、モータ固着などですが、修理内容を記入するだけならば、錆びを落としました。配線を再半田しました。接点を清掃しました。接点復活剤を塗布しました、モータを交換あるいは、手で回してエージングしました。で終わってしまいますが、それでは、私は魅力を感じられないのです。記録としては、もちろん尊重はします。なぜならそれぞれのおもちゃの弱点箇所がわかってくるからです。
そのような思いで、できるだけしくみや、結果に至った理由を考えられる範囲で私見や苦労談も入れながら書いています。

個人的にはイワヤさんの電子回路で動いていないギヤ、カム、リンクそしてふいごで動くワンワンが好きなのです。しくみの見えるおもちゃが楽しいのです。しくみがわかってこそ病巣を突き止められるのです。そして、手術方法を考える楽しみも生まれ病気が良くなると、最後に”ありがとう”のご褒美が待っています。
間違いなく私は、古い人間ですね。(^_^;)
大泉茂幸
僕も「子どもの科学心を育む」ことを目標におもちゃ修理をやっています。修理の過程を見せて、おもちゃの仕掛けや修理の技術に興味を持って貰いたのです。しかし、その思惑通りには行きません。ドクターRさんの仰る通り、おもちゃは電子化、特にマイコン制御化が進んで、子どもの理解の範囲を超えているからです。僕は、幼児にマイコン制御を理解させることができません。親御さんにも解って貰えません。単に「修理屋さん」になってしまうことが歯痒く思います。
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