おもちゃ病院さど Doctor_Rの治療カルテです。

ちっちゃくたって イタイワニーが来院しました。

【申告内容】

 分解したら、戻せなくなりました。

【初診】

 ねじが全て外された状態で来院されました。さぁ、錆びついた頭に注油しながら組み立てパズルの開始ですが、全ての部品は揃っているのでしょうか?

ねじは、全部で6本ですが、1本だけ長さが異なります。

 

動きの機構説明です。

上あごを開けてからゲームの開始です。13本ある歯のいずれかを押すとワニがガブリと噛みつきます。どのようなしくみになっているか探索です。

①上あごを開けると、あごがロックされます。

 

 

・部品Bが左方向に引かれて部品Bの爪が部品Aの歯車を回します。部品Aは、軸に対し自由に回転できるのでその都度回転角度が変わります。ロシアンルーレットのシリンダを回しているのと同じです。(ちょっと物騒ですが<(_ _)>)

 

②上あごを開けると、”当たりの歯”が決まり、歯と歯を押下した時にロックする部品Dを初期位置にセットします。

歯の様子は、次のようになります。部品Dは、歯を押下した時に歯をロックする働きをします。カムとリンクは、歯と部品の初期位置にセットしたり、ワニが噛みついた後にロックされた歯を解除する働きをします。

 

 

③歯を押下した時に、当たると次のようになります。

歯が部品Aの両端にある突起部を押すと、スポンジで浮いている部品Cを押し下げます。

すると回転軸を支点に下がるので、あごロック箇所が下がりロックが外れます。バネが勢いよく口を閉じます。

なお、回転軸の形状が半円状になっているのは、回転軸受穴に対し遊びを設けロックおよび解除の動作を容易にするためと思われます。

 

動作のしくみが理解できたところで、本業の治療箇所があるかと眺めるとひび割れ箇所が見つかりました。

 

ステンレス線で縛り、エポキシ接着剤で補強しました。

最後に上あごの取り付けです。

 

上あごにある突起とスリットを勘合させて完成です。

一通りしくみを考える中で、病巣となりそうなのが

・バネ回りの力のかかる部品の破損

・上あごのロック箇所の摩耗によりロックができなくなる。

・上あごの突起とスリットが摩耗によりスリップして、上あごが開いてロックした状態にできない。

・可能性は低いと思われますが、バネ代わりに使用しているスポンジの劣化による当たり位置でも、口を閉じない。

などが有るでしょうか?全国のおもちゃ病院のドクターのみなさんは、もっと別な病巣をご存じのことと思います。

 このおもちゃは、とても楽しくよくできたおもちゃだと思います。各社から発売されており、大きさも色々あるようですが基本的なしくみは同じだと思います。

元気になりました。

【治療後記】

目に見えるしくみのおもちゃは、治療していても楽しいものです。

 

 

 

 

 

 

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