【申告要望内容】
レーンとピン並べ部連結部の破損
鬼太郎の腕のバネ構造破損
【初診】
1996年発売のバンダイのボーリングゲームです。
申告内容以外にも破損、紛失部があり大整形術になりそうです。
まずは、本来の姿の確認からです。
①鬼太郎の腕のバネが働いていません。肩は脱臼して腕はプラプラしています。
②ピンセットレバーの折損です。
③投球ブロックが破損しています。
④レーンとピン並べ部の接続部が破損しています。
⑤アプローチ台がありません。
⑥ガーター防止柵がありません。
治療にかかります。
①肩は脱臼治療です。
バネの位置を固定していたピンが折れたため、バネがずれてしまったものです。ピンに芯を通し接着固定しました。
②ピンセットレバーの義肢作成治療です。
3Dプリンターで先端が折れてしまった分部を印刷し、ネジで固定しました。
③投球ブロックの形成術です。
残っているスローイング部を生かし、破損紛失部分を3D印刷して合体させます。投球ブロックと鬼太郎の指先の引っかかり状態を安定させるため、ロックツメの長さを延長しました。
④レーンとピン並べ部の接続術です。
勘合部が破損しピン並べブロックもひどいひび割れが有り、持ち運びなども想定すると接着はもちろん単純に細いネジ止めだけではプラスチックの強度が持ちません。今回は、ネジ止めした箇所のプラスチックに力が集中しないように広くアルミ板でレーン、ピン並べブロックのプラスチックを挟み込んでネジ止めすることにします。また、ひび割れ部はひび割れの左右をアルミ板を介して開かないように固定します。アルミ板は、1mm厚のものを使用しました。固定は、ケガをしないようにネジ頭の高さが低く面積が大きいM4のトラスネジとナットを使用しました。
破断面でケガをしないように結合部の破片を挿入、接着しました。
⑤アプローチ台の作成です。特に作成の希望はありませんでしたが、これがないと投球ブロックを置けないので作成することにしました。
木材で箱組みし投球ブロックのスライドレールをエンドミルで掘り、帰ってくるボールだまりを3D印刷して合体させます。ボールがガーターレーンを戻ってきてボール止めを乗り越えて止まるようにしました。
アプローチ台、レーン、ボールだまりの接続術です。
⑥ガーター柵がありません。
これは、不要とのことで作成しません。
これで治療が終了です。
【治療後記】
この患者さん場合、破損の程度がひどく治療材料費を考えると検討すべき領域かと思います。
楽しませてもらったので、良しとしましょう。ただ、今回ネジ止めでしっかり一体化しているので、今後落下などさせると取り返しのつかない破損になると思われますので、大事に扱ってください。