お待たせいたしました!『大河ドラマフリーパス①』

2010-03-03 | 日記
 ある日のことでした。私がいつものように大河ドラマのブログを書いていると、家の外に人の気配を感じました。何かとても気になったので外に出てみました。しかし、家のまわりには誰一人として人はいません。夜だったので暗く静まり返っていました。「なんだ気のせいか」と家の中に入ろうとしたその時です。ポストに一枚の手紙が差し込んであるではありませんか。きっと何かの勧誘のDMかと思い、でも今頃誰がいれたのか気になって恐る恐るその手紙を見て見ると、差出人の名前が書いてありません。「どうせ誰かのいたずらだろう」と思い、テーブルの上に置きました。そしてブログの続きを書いていました。しかし何か落ち着かなくてその手紙の中身が気になってきました。それで思い切って封を開けてみました。するとそれは手紙ではなく、中になにかのチケットが入っていました。よく見るとタイトルに「大河ドラマフリーパス」と書いてあって、その下に小さく「10月10日零時映画村発」と書いてあります。「10月10日といえば明日、そして零時といえば夜中、夜中発なんてありえない」と思いながらでも、すてることもできずにまた、テーブルの上に置いていました。ちょうど明日は休みなので行こうと思えばいけるのですが、こんな夜中に出て行って何かの事件にでもまきこまれればとかいろいろ考えながら時間だけが過ぎていきました。気がつくと11時45分です。後15分しかありません。でも何よりもきになったのがこのチケットのタイトルです『大河ドラマフリーパス』というからには、大河ドラマのロケを見る事ができるのかなと勝手に想像して、本当にロケが見られたらという好奇心が先立ち行ってみることにしました。もし何もなかっても後悔するよりはましかと思い、映画村まで急いで走っていきました。途中誰も出会うことなく、12時5分前に映画村に着きました。
ところがそこには誰もいません。でも後5分あるからどうせだったら待っていようと思い近くのバス停のベンチで腰を掛けて待っていました。するとその時です。真っ暗だったその場所に突然まぶしい光が現れ、その光の中から大きな一台のバスが出現しました。恐る恐る近づいてみると、中から背の低いぽっちゃりした車掌さんが私の前に来て、こう言いました。「大変お待たせ致しました。どうぞ中にお入り下さい。」丁寧にお辞儀をして、とてもはっきりとした声で挨拶をしました。私はなにがなんだかわからずに呆然として立っているのがやっとでした。しばらくして、我に返るとただ自分の好奇心のみにつき動かされて、そのバスにのりこんでいきました。しかし、そのバスの中には誰一人として乗客がいず、ただその車掌と運転手がいるだけです。私はそこで、この車掌さんに聞いてみました。「このバスは一体どこに行くんですか」ところが、車掌さんは私の質問を無視してこう言いました。「乗車券を拝見致します。」私はいいようのない不安にさいなまれて、その場に言葉なく固まってしまいました。               つづく