【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

新しいパソコンで弥生会計を使うには?

2014-05-08 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
新しいコンピューターに『弥生会計(やよいの青色申告) 14』を移行したい

弥生会計の「よくある質問」のトップです。

XPのサポート終了によりパソコンの買い替えが進んでいることからこの質問が上位にあるのだと思います。しかし、新しいパソコンへの移行は弥生会計の特質を十分理解していなければ行えませんので、XPのサポート終了という特殊事情がなくてもこの質問は上位に来る(ユーザーを悩ませる)と思います。

★インストール(弥生会計の設定)とデータの移動を区別して考える

これがコツです!

エクセルやワードではアプリケーションとデータの違いをユーザーは認識して使用しています。ユーザーはデータ(ファイル)を複数のパソコンの間で(例えば職場と自宅のパソコンの間で)自由自在に移動させて使用しています。

しかし、弥生会計ではこのようなデータの使い方をしているユーザーはほとんどいないと思います。そのような使い方をする必要がないことが主な原因ですが、弥生会計そのものがアプリケーションとデータの違いをほとんど認識せずに使える構造になっていることも原因です。

弥生会計のユーザーのほとんどがデータはひとつであることから、弥生会計を起動すればそのひとつのデータが起動するような構造となっています。ですから、ユーザーは「データを選択する」という操作は不要で、データの存在を認識することなく弥生会計を使用できるのです。(複数の会社の経理処理をする会計事務所の場合には複数のデータを使用しなければなりません。弥生会計のデータは会社ごとに作成されます。)

★バックアップ
弥生会計のサイトを熟読し、まずは旧パソコンでデータのバックアップをしてください。「これが確実に!」できていなければ後の作業はできません。また、最悪の場合にはデータを消失してしまいます。

★ライセンス認証
最近ではほとんどのこの方式がアプリケーションで採用されています。旧パソコンで弥生会計のライセンス認証を「解除」しなければ新パソコンでは弥生会計を認証されません。

★新パソコンでは「会社に関する情報」の設定は不要
新パソコンに弥生会計をインストールしても、会社名や事業年度の登録は不要です。旧パソコンでバックアップしたデータを新パソコンに「復元」すればいいからです。

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■新パソコンへのインストールはできたけれどもデータが復元できない

大変なことです!

旧パソコンを廃棄していなければほとんどの場合は何とかなります。弥生会計のサポートセンターに相談してください。

■会計事務所に依頼している場合には会計事務所に任せる

それに限ります。少なくとも、移行作業前のデータは会計事務所に渡しておくべきです。

【弥生会計14】本当にコンバートできたのか?【確かめたい!】

2014-04-11 19:30:00 | 会計ソフト(弥生会計)
今年4月からの消費税率アップによって、弥生会計ユーザーは否応なく14へのバージョンアップをしましたが、弥生会計14をインストールしただけでは新消費税率に対応しません。13以前のバージョンで作成したデータを14にコンバートしなければなりません。データを14用にコンバートしたならば、次のとおりの変化が生じているはずです。そうでない限りは、新消費税率に対応していないということです。

弥生会計14を起動します。

画面上部のメニュー、あるいはナビゲータの導入で「事業所設定」を選びます。

画面中央の「事業所データ情報」の「ファイル名」が「*****KD14」となっていれば、無事14にコンバートされています。ちなみに13はKD13です。07はKD4です(KD07ではありません)。

★14でも13以前のデータが動く
★コンバート後もコンバート前のデータは動く(削除されない)

これが恐ろしいのです。
ですから、コンバートしたならばコンバート前のデータは削除しておくことです。「エクスプローラ」でファイルを表示すれば、どのファイルがコンバート前のデータかは一目瞭然です。

●ファイルはどこにあるの?
「事業所設定」「事業所データ情報」「フォルダー名」で調べることができます。

≪ご注意≫上記の説明はWindows7と弥生会計AE(会計事務所向けの弥生会計)を前提としておりますので、それ以外の環境では状況が異なる場合もあることをお断りしておきます。

弥生会計14にコンバートする(コンバートしなければ消費税率8%に対応しない)

2014-04-08 10:30:00 | 会計ソフト(弥生会計)
弥生会計は14から新消費税率(8%)に対応していますが、そのためには弥生会計14をインストールするだけでなく、旧バージョン(13以前)で作成したデータを14で動くようにコンバートしなければなりません。

このコンバートが思いのほか複雑で、旧バージョンの種類や14の設定によってコンバートの方法が異なり「コンバートしたつもり=実は新税率に対応していなかった」という危険性にさらされてしまいます。以下で、弥生会計サイトの所定のページをご紹介させていただきますので参考にしてください。

『弥生会計(やよいの青色申告) 14』へデータコンバート(データ変換)する方法

★旧バージョンで平成26年4月以降の取引を入力している場合

「申告のときにまでにコンバートすれば(とりあえず4月以降も旧税率で入力しておいて)」

このやり方はできないようです。14にコンバートしてもすでに入力が済んでいる4月以降の仕訳は新税率に自動的に変更されないようです。詳しくは、下記ページの「注意」をご覧ください。

『弥生会計 (やよいの青色申告)14』をインストールしても税率5%の計算はできますか。

クラウド会計ソフト(ランニングコストが・・・)

2014-01-31 19:31:00 | 会計ソフト(弥生会計)
クラウド会計ソフトがサービスを本格化し始めています。

クラウド会計ソフトのメリットは、なんといってもデータの紛失が防止されているということでしょう。会計ソフトのデータは膨大な数の仕訳の集積であることから、誤ってそのデータを紛失した場合の復元は不可能です。しかし、多くのユーザーはこの点に非常に無防備で、会計ソフト導入以降一度もデータのバックアップをしていないユーザーもめずらしくありません。クラウド会計ソフトの場合には、データのバックアップが既定のサービスに組み込まれています。

会計ソフトは会計や税に関する法律の影響を受けることから、これらの法律の改正に応じてバージョンアップをしなければなりません。ユーザーによってはバージョンアップの必要性が理解できず、法律が改正される前の会計ソフトをそのまま利用していることがあります。クラウド会計ソフトの場合には、ユーザーの意思とは無関係にバージョンアップが行われますので法律の改正から取り残される心配がありません。

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クラウド会計ソフトの最大の弱点は利用料というランニングコストが発生するということです。現段階では最低でも利用料は月額千円程度で、フリーメールやSNSのように「広告収入」で運営できるほどのユーザー数がいないので今後の無料化もまずは期待できません。

結局、クラウド会計ソフトを利用するかは利用料に見合うサービスを受けられるかということになります。ユーザーの期待は「初期設定」「仕訳」「入力」・・・「税務申告」でしょうが、この点は従来の会計ソフト同様、「仕訳は自己責任で」「税金のことは税理士に」です。

クラウド会計ソフト、「幻」で終わるかもしれません・・・

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★会計事務所(税理士)の立場として

クラウド会計ソフトを利用して顧客とデータを共有すれば大変便利です。「まずは顧客が入力をして」「次に会計事務所が必要な修正をする」という作業がスムーズに行えます。従来型の会計ソフトならば、「顧客から会計事務所にデータを渡す」「会計事務所から顧客に修正事項を連絡する」「顧客でデータを修正する」という煩わしいプロセスを経なければなりませんでした。

会計事務所としては、クラウド会計ソフトを導入したいです!

しかし、報酬に上記のランニングコストを上乗せすることはそう簡単ではありません。かといって、会計事務所で負担するのは苦しいです。

仕訳を教えてほしい(仕訳の難易度と重要度)

2014-01-31 19:30:00 | 会計ソフト(弥生会計)
会計ソフトを使用している人から「仕訳を教えてほしい」と「気安く」頼まれます。期待に応えたいんですが、仕訳には即答できる仕訳もあれば、しかるべき調査や判断をした後でなければ決まらない仕訳もあります。

■簡単な仕訳
仕訳の基となる基礎資料(請求書や領収書など)もシンプルで、事実関係も明瞭である場合です。例えば、電気料金を預金口座から引落すという通知が来て実際に引落とされた場合です。

■複雑な仕訳
事実関係は明瞭であるけれども、基礎資料(請求書や領収書など)にボリュームがある場合です。要するに複雑な取引です。例えば、自動車をローンで購入した場合です(さらに既存の自動車を下取りに出した)。基礎資料の情報量も多く、しかも「解読」が必要となってきます。

■判断や選択を要する仕訳
金額や勘定科目の決定は簡単ですが、同一の事実関係で仕訳が複数考えられる、仕訳をする日付に迷う、さらには仕訳そのものをすべきかどうかの判断が必要といった場合です。

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★会計ソフトは仕訳を無差別に扱います
会計ソフトは入力された仕訳を無差別に集計するだけです。仕訳が判らないときは、適当に勘定科目を決めて「貸借を一致させて」入力すればそのまま処理します。会計ソフトを導入するに当たっては、この点に注意が必要です。

★仕訳を教えてくれる人
わからない仕訳があれば直ぐに教えてくれる人が身近にいるのが理想です。しかし、「税務署は敷居が高い」「税理士は報酬が高い」「経理に詳しい友人には懐具合(事業の状況)を知られたくない」ということから一人で悶々と悩んでしまいます。結局、仕訳の正否が判明するのは税務調査のときということになります。

★仕訳を教えてもらうには
まずは、教えてくれる人に会計ソフトのデータを見せ会社と経理の概略を把握してもらいます(質問にも答えなければなりません)。次に、教えてほしい仕訳に関する取引を告げ、その人が求める基礎資料を提示しなければなりません。このようなことはネット上の「Q&Aサイト」では無理です。仕訳の問題は「リアルの世界」でしか解決できません。ネット上をさまよっていても解決しないのです。