【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

1年ぶりに使う会計ソフト

2014-01-22 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
経理処理(仕訳と記帳)は取引が発生した都度行うことが原則です。取引発生から月日が経つと記憶も薄れ、さらには証拠資料も紛失してしまっていることも多いからです。しかし、現実にはこの「鉄則」を守ることができず、遅れ遅れに、最悪の場合には税務申告の期限間近になるまで経理処理をしないこともあります。

■バージョンアップの要否

会計ソフトで経理処理を行っている場合には必ず検討しなければなりません。会計ソフトは、開発された時点の税制(申告書の様式や税率)、会計制度(決算書の様式や内容)を前提に作られているからです。

「制度(法律)」ですので自身の都合で選択することはできません。ワードやエクセルのようにバージョンを選択するということはできないのです。保有しているソフトが現在の制度に適合していない場合には、必ずバージョンアップしなければなりません。

■前年度の最終確定データ(繰越処理を行う)

これは非常に重要なことなのですが、前年度のデータを紛失している、あるいは当年度のデータを新たに作成しているというケースが「非常に!」多いです。

前年度のデータを利用するのは「能率」の問題ではありません。会計の世界では現在と過去が連動しています。たとえば、現金残高は前期末と当期首(初め)で同じでなければなりません。純資産は資本金+創業来の利益合計でなければなりません。

現在と過去を結びつける作業、それこそが「繰越処理」にほかなりかせん。繰越処理はどの会計ソフトにも必ずある機能です。この機能がないものは会計ソフトではありません!

■本当に前年度の最終確定データか?

会計ソフトのデータ(ファイル)は複数作成することが可能な場合があります。そのような場合、どれが最終のデータであるのかを確認しておく必要があります。「最終のデータ」とは税務署に提出した決算書のことです。この数値は「不動」なのです。

【最終データは会計事務所が持っている】
こういうケースが少なからずあります。要するに、顧客側では決算修正仕訳前までのデータを入力し、あとは会計事務所(税理士)に任せるというケースです。会計事務所に依頼している場合には注意してください。

■サポート契約は続いているか?

ソフトメーカーのサポートには期限があることが普通です。会計ソフトの場合も、すでに期限が切れている場合には新たにサポート料を支払って申込みする必要があります。

弥生会計14(旧消費税率にも対応)

2013-10-27 20:30:00 | 会計ソフト(弥生会計)
弥生会計14が発売されました。今回のバージョンアップは「本当のバージョンアップ」です。大勢に影響のないマイナーチェンジではありません(06R2→・・・・→09・・・・→12→13)。バージョンアップをしなければ来年4月1日以降を含む事業年度(課税期間)の消費税計算ができなくなります。ですから、必ずバージョンアップをしなければならないのです。

「来年4月1日の直前に」バージョンアップをしてもよいかもしれません。しかし、長らくバージョンアップしていない場合には操作方法が大幅に変わることもありますので戸惑うと思います。ですから、早めにバージョンアップすることをおすすめいたします。

★旧消費税率にも対応しています

平成26年3月31日までの日付の取引は「5%」で計算してくれます。心配する必要はありません。事業年度の全てが5%の期間、例えば「平成25年4月1日から平成26年3月31日」であっても問題ないということです。

★平成26年4月1日以降の取引であっても5%のものもあります

話題になっている、住宅の平成25年9月末までの駆込み契約など、いわゆる「経過措置」です。これにも対応しています。入力時に手動で税率を選択できます。

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消費税関連の帳票(弥生会計14の場合)

2013-10-18 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
弥生会計14には消費税の計算機能があり、その計算機能に関する各種帳票が作成されるようになっています。この各種帳票はユーザー自身が消費税の計算プロセスを確認する手段であるとともに、税務調査の際に消費税の計算プロセスを説明する手段でもあります。

■科目別税区分表
「集計」「消費税集計表」で表示することができます。この表を見れば、勘定科目ごとの消費税の処理状況を一覧することができます。消費税の扱いが間違っている場合、例えば、「対象外」を「課税売上」や「課税仕入」にしているなどをすかさず発見することができます。経理担当者、会計事務所、税務署の調査官などは、この表を大変重要視します。

■消費税集計表
「集計」「消費税集計表」で表示することができます。上記の科目別税区分表を消費税の扱い別、「課税売上」「課税仕入」などの別に集計した表です。

■消費税申告書
「決算・申告」「消費税申告書作成」で表示することができます。印刷すればそのまま税務署に提出することができます。消費税の申告書は「消費税申告書」と「付表2」から構成されています。この申告書が、上記の科目別税区分表と消費税集計表に連動していることはいうまでもありません。

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★月次決算で入念にチェックしておく
上記の帳票は月次決算の段階でチェックしておく必要があります。科目別税区分表で入力段階での消費税の扱いに誤りがあれば速やかに訂正します。消費税申告書でその月までの消費税額を把握しておけば、年度末に消費税の納税で慌てる必要はありません。

★総勘定元帳や仕訳日記帳の「税区分」
これも非常に重要です。個々の仕訳の消費税の扱いを明らかにする証拠であるからです。総勘定元帳や仕訳日記帳を印刷するに当たっては必ず表示されるように設定してください。

会計ソフトの消費税計算機能(弥生会計の場合)

2013-10-16 17:00:00 | 会計ソフト(弥生会計)
会計ソフトには消費税の計算機能が備わっており、この機能を使えば税務署に申告納税する消費税の計算が行えます(税務署に提出する申告書も作成できます)。消費税の計算機能は、決算書(試算表)の作成機能と同じようにデータを入力すれば「自動的に実行」されますが、入力の段階で誤れば、誤ったまま消費税の計算がされてしまいます。

消費税の計算機能を活用して正しい消費税を計算するには、消費税の計算機能の仕組みを知っておくとともに、「目視」によるチェックを怠ってはいけません。以下、弥生会計14AE(会計事務所用)を前提に消費税の計算機能の仕組みと操作方法を説明させていただきます(簡易課税は選択していないとします)。

■消費税は個々の取引を集計して計算されます

税務署に申告納税する消費税は課税期間(会社の場合には事業年度、個人事業者の場合には暦年)に「受取った消費税」から「支払った消費税」を差し引いて計算します。この計算をするには「消費税を受け取る取引」と「消費税を支払う取引」を集計しなければなりません。

■各勘定科目の消費税の扱いはあらかじめ決まっている

各勘定科目にはあらかじめ消費税の扱いが設定されていて、仕訳をすれば勘定科目別の消費税の扱いに応じた集計がされます。例えば、「売上」ならば消費税を受け取った、「仕入」「交通費」「水道光熱費」ならば消費税を支払った、「受取利息」「給料」「法定福利費」「保険料」ならば消費税とは無関係といった具合です。

■消費税の「既定の扱い」を「手動で選択」しなければならない場合もある

各勘定科目の消費税の「既定の扱い」を手動で修正しなければならない場合があります。例えば、交際費という勘定科目は既定では「課税仕入(消費税の支払い)」ですが、香典や祝金を支払った場合には「対象外(消費税とは無関係)」という選択をしなければなりません。家賃も、従業員の借上げ社宅の家賃ならば「対象外」としなければなりません。このような処理が必要となる取引は案外多いです。

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★科目設定の「税区分」
勘定科目の新設や名称変更をする「科目設定」という画面に「税区分」という項目があります。これが、既定の消費税の扱いです。「課税売上」「課税仕入」「対象外」など思いのほか扱いの種類は多いです。

★入力時の税区分
「振替伝票」「預金出納帳」「現金出納帳」など、いずれも「税区分」という入力項目があります。ただし、通常は入力の必要はなく、既定の設定を変更する場合にのみ入力します。

弥生会計14(本当のバージョンアップです!)

2013-10-13 12:15:00 | 会計ソフト(弥生会計)
弥生会計が「バージョンアップ」されます。

弥生会計は毎年のようにバージョンアップをしてきましたが、実際には大勢に影響のないマイナーチェンジにすぎませんでした。しかし、今回の「14」は「本当の!」バージョンアップです。2006年(平成18年)に会社法が大改正され決算書の様式が大きく変わった「06R2」以来、なんと7年ぶりの大幅なシステム変更です。来年(2014年・平成26年)4月1日から消費税率が引き上げられますが、「13」以前の弥生会計は旧税率でプログラムが作られているので消費税の計算機能が役立たなくなります(ユーザーによる税率変更はできません)。

今回の弥生会計14には、新消費税率対応以外、次のような新たな機能の付加があります。

■弥生メッセージセンター(弥生会計に関する最新情報を素早くキャッチ)

従来は弥生会計に関する最新情報を知るには弥生のサイトを閲覧する必要がありましたが(従来もクイックナビゲーターには表示されていました)、14からは弥生会計を起動すれば「弥生メッセージセンター」が起動し最新情報が表示されるようになりました。これで、手動でサイトにアクセスする煩わしさから解放されるだけでなく、最新情報を逃すことによる不利益やリスクを回避できます。

■弥生ドライブ(クラウド!会計事務所とデータの共有)

「出来る範囲内で入力して、あとは会計事務所に追加と修正をしてもらう」

このような場合、「会計事務所へのデータの手渡し(メールなど)」→「会計事務所で追加と修正」→「会計事務所から追加と修正後のデータを受け取る(メールなど)」→「そのデータを上書きする」という操作が必要でした(この操作が上手くできない人がけっこう多いです)。弥生ドライブを活用すれば、ネットワーク上で(弥生のサーバで)会計事務所とデータを共有するので、この煩わしい作業が省略されます。

【今しばらく安全性の確認が必要?】
近時、各種サーバへ外部からの不正侵入によるデータの流出や改ざんが頻発していますので、今しばらくこのサービスについては様子を見るのが賢明かもしれません。特に、いわゆる「クラウドサービス」に不慣れな場合は、安全性が十分に確認され、使い勝手も向上するまでは待つべきだと思います。