通勤途中の、とある十字路。
そこには、いつも花が飾ってある。
小さな石塔と、造花の花。時々、本物の花も飾ってあることがある・・・
通るたび、ふと、かならず見てしまう
詳しいことは分らない。でも、おそらく、若い人が
そこで交通事故で亡くなったんだろう
いつだったか、若い男女が数人、手を合わせている姿を見たことがある。
写経した紙が張られていたり、季節ごとに花が変えてあったり
父親とおぼしき人が、よく、手入れをしている姿も見かけていた。
その十字路に花が飾られるようになったのは、いつからだったのか・・・
数年以上前・・・だった気がする。
今日、久しぶりに、父親の姿を見た。
日よけ用の、釣り人がよくかぶる菅笠姿。
背中が丸くなり・・・自転車から降りる所作は、確実に彼が年を重ねていることを示していた。
彼の上に積み重なった年月。
どんな思いで、あそこをきれいにし、石を磨き、花を飾り
何を祈り続けていたのだろう・・・
彼は、たぶん
自分が動けなくなるまで、あの場所に通い続けるのだろう。