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興味深い米国の民族構成

先週木曜日の「奇跡体験!アンビリバボー」で、自分の出身民族を探るためにDNA鑑定を受けたアメリカ人の話をしていた。

さて、アメリカの民族構成を見ると、英語(+スペイン語)が事実上の公用語でありながら、イギリス系(=イングランド系、アングロサクソン)よりドイツ系が多い点が興味深い。ウィキペディアの「アメリカ合衆国の人種構成と使用言語」のページにある各郡の最多の出身民族(国勢調査での自己申告による)の図を見ると、ドイツ系の色が塗られた部分が目立つ。
しかし、
1.ドイツ語を話す(母語または家庭で使っている)人は少ない。出身民族のドイツ系と比べると極めて低い割合。
2.アメリカ合衆国は独立当初は13州(ニューヨークは一時オランダ領)のみで、後にイギリス領、フランス領、スペイン領、ロシア領、メキシコ領だった地域と、テキサス共和国、ハワイ共和国を併合し、現在の国土になったが、ドイツ領だった地域はない。
3.アメリカ人とドイツ人の国民性で大きく異なる点がある。アメリカではファーストネームで呼ぶ範囲がとても広く、ファーストネームで呼ぶのは普通のことという感覚があるようで、初対面でも、その場限りの出会い(テレビ取材など)であってもファーストネームで通す場合が多い。一方ドイツはファーストネームで呼ぶ関係と敬称を付けて苗字で呼ぶ関係を厳密に区別する文化があり、基本的にファーストネームで呼ぶのはある程度親しくなってからで、アメリカのような感覚で初対面でいきなりファーストネームで呼ぶと失礼になる場合が多い(それでも日本と比べればファーストネームで呼ぶ範囲は広いけど)。
これらの点から、アメリカにドイツ系がこれほど多いというイメージはない。しかし、歴史的にドイツからかなり多数の移民が入ってきたのは事実である。

アメリカの食文化は、ドイツの影響を受けたものがあり、ハンバーガー(ドイツの都市「ハンブルク」が語源)とホットドッグはドイツの影響を受けた料理である。
ドイツ系の苗字の人は多い。ドイツ語風の響きでも英語風につづりを変えられたと思われる苗字もある。一方、ドイツ風のファーストネームの人はあまりいない。

出身民族を「アメリカ系(American)」と申告した人も多い。
アメリカ系とする根拠、理由はだいたい以下のどれかに当てはまるだろう。
1.普通に英語を話し、金髪の白人で、英語の苗字を持つ典型的アメリカ人だという意識から(多くは実質イギリス系だろう)。
2.「白人+ネイティブ·アメリカン(アメリカインディアン)」、「白人+黒人(アフリカ系)」、「黒人+ネイティブ·アメリカン」、「黒人+白人+ネイティブ·アメリカン」の混血。アメリカで生まれた新しい民族としての「アメリカン」という意識から。
3.自分がどの民族かわからないため。先祖がどこからアメリカに渡来したかと聞かれてもわからない。
4.複数の民族の血が複雑に混じっているため、特定できない。
「アメリカ系」とした人の割合が高いのは東側の中部から南部にかけての内陸部で目立つ。地域性も関係しているのだろう。先祖がイギリスなどから渡来したということをあまり考えず、アメリカ人であることを重視する地域性なのだろう。

ちなみに、国勢調査での出身民族は、複数選択も可(2000年以降)である。

アイルランド系もイギリス系より多い。アイルランド系とはイギリス領の北アイルランドの人も含む。現在のアイルランドはアイルランド語と英語が公用語だが、約9割は日常的に英語を話し、アイルランド語を話す人は少ない。イギリス領だった時代に使用言語がアイルランド語から英語にとって変わったためだ。アメリカに渡ったアイルランド人も多くはアイルランド語ではなく英語を話していただろう。

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