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逃げると潤う

中国で海外へ脱出する若者が増えています。専制主義体制から逃げたい、もっとお金を稼げる国に移住したいというのが主な理由で、海外脱出することを「潤」というスラングで呼ばれています。「潤」をピンインで書くと「rùn」で、英語で「逃げる」を意味する「run」と「潤う」を掛けたダブルミーニングです。
日本での報道における「潤」の読み方は「ラン」(英語のrunのカタカナ読み)、「ルン」、「ジュン」(日本語の音読み、又、中国語の発音も「ジュン」に近い。「ルン」に近い発音の人もいる)の3パターンがあるでしょう。私が最初に聞いたのは「Mr.サンデー」という番組で、「ラン」と言ってました。
中国以外でも強権政治の国や紛争が起こっている国、将来の動向に不安がある国で同様の傾向があり、たとえばウクライナに侵攻しているロシアでも国外脱出する人が多い。ウクライナでは18歳から60歳までの男性は動員に備えて出国禁止だが、国外脱出した男性は60万人以上いて、やはり戦争の恐怖から逃れて潤った人生を送りたいと思うことに性別関係ありませんね。台湾でも台湾有事への懸念から海外脱出する人が増えています。

「逃げる」というとマイナスイメージが多いですが、嫌なことや恐怖、不安、束縛があって、逃げずに我慢しても自分のためにならないと思ったら思い切って逃げた方がいいと思います。たとえば連絡を絶って嫌な人との付き合いをやめるとか、多くの人が進む進路だけど自分は嫌だから違う進路を進むとか、あっていいと思います。「逃げるが勝ち」という言葉があるように、逃げることによって「勝ち組」になれることだってあります。逃げることによって嫌なこと、恐怖、不安、束縛から解放されて幸せになれる。まさに「逃げる」は「潤う」に通じると言えます。「潤う」と言えば「もうける」や「利益に恵まれる」という意味で使われることがありますが、ここでは「嫌なことや恐怖、不安、ストレスから解放されること」、「幸せになること」、「自由を謳歌すること」などもひっくるめて「潤う」と言うことにしましょう。

ハンガリーのことわざに「逃げるは恥だが役に立つ」というのがあります。日本の漫画とテレビドラマのタイトルにもなりましたね。「恥ずかしい逃げ方をしてでも生き抜くことが大切」という意味です。逃げて恥をかいたり、逃げたことを他人から非難されたりしても、自分の境遇が潤えばいいじゃんっていう発想もありだと思います。

逃げるのに勇気が要る場合もありますが、そんな時勇気を持って逃げることに成功したら、それはすばらしいことではないでしょうか。

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