あまりに暑いものだから、
活発に動く気力がなくて、
ごろ寝をしつつ、スマホでトークショーを見ていた。
私の好きな、伊藤比呂美さんのトークショー。
「夫婦は覇権争いをしている」
という台詞が面白かった。
うちはどうだろう、覇権争いはあるのかな。
そう思って考えてみると、主義主張の違いがあることあること。
中でも真逆ともいえる性質がひとつあった。
ミニマリスト VS マキシマリスト。
私は昔から物に執着がない。
極端に執着がないので、変人の域に達している。
他の人へのプレゼントを買いに出かけることは好きなので、
自分の持ち物に執着がないということか。
ここ数年は新しい洋服を一着も買っていない。
断捨離をしている母と楽から、何着かもらったくらい。
母が30代のころに着ていた春夏用の7分袖シャツは私のお気に入りだ。
洋服って長持ちするものだなあ。
最近はミニマリストが流行ってきているけれど、
私はずっと昔からそんな感じ。歴史は長い。
バブル景気も、着古したジーンズと何枚かのTシャツと、
ディスコ用の一着で乗り越えてしまった。
ブランド物も、大人になったら興味が出るのかと思っていたけれど、
ずいぶんと大人になったのに、まだ欲しくならないようだ。
バブルの勢いにさえ微動だにしない、変人の域。
おとんが単身赴任しているころは、冷蔵庫には物があまりなかった。
「大変だ!冷蔵庫が空っぽだ!」
としばしば雄たけびをあげていたっけ。
物がなくなってから買う、の繰り返し。
そのおかげで、捨てる食材はあまりなかった。
一方、おとんは物大好き人間だ。
凝ると同じ品物をいくつでも買う。
例えば、帆布のカバンが好き。
今や、いくつ持っているのかさえ分からないくらい。
好きなものに囲まれて、幸せを感じている様子。
本も好き。興味を持つとすぐにネットで購入するから、
家には、本棚に収まりきらない本が、所かまわずゴロゴロしている。
「おとんのせいで家が片付かない!」
と怒られている。
ただ、悪いことばかりでもないようで、
家のいたるところに本が転がっていると、
知らず知らず手に取って、面白いと読みふけってしまうことがよくある。
おとんのおかげで、たくさんの本と出会えた。
楽は、向田邦子を卒論の題材にしたのだけれど、
すでにおとんの本棚に何冊もあって、そこでもまた役にたっていた。
おとんの単身赴任が終了して、しばらくすると、
冷蔵庫に物があふれだした。
おとんは冷蔵庫にぎっしり物があると安心するらしい。
そして、単純に食材を買う行為が好きらしい。
ただ、仕事帰りに気の向くまま買ってくるので、
結果、卵3パック、牛乳3パック、トマト3パックと重なってしまう。
そうなると、悪くして捨ててしまうこともしばしば。
最近は、私が怒るので、だまってこっそり捨てるようになってきた。
結局はばれて、カミナリを落とされるのだけれど。
ミニマリストVSマキシマリスト。
この覇権争いは、永遠に続く。
どちらが勝つのか?
先日、散歩中に店先で売られているガラスの花瓶がかわいくて、
「かわいいね。見てごらんよ」
とおとんに声をかけた。
それ以降、おとんは、どんどん花瓶を買ってくるようになった。
食卓に林立しはじめた花瓶たちを見て、
「まあ、マキシマリストでも、良いのかな」
などと、私の機嫌がよいときは、思ったりもする。
6月27日 おかん