楽善な日々

新社会人となった楽と、大学生善、おとん、そしておかんの日々を綴ります。新しい街に引っ越して、新しいスタートを切りました。

息子の挫折

2022年07月03日 | 2022年日記
カンカン照りの日々が永遠と続くかと思いきや
今日はどんより曇り空。
時々、涙のような通り雨が降るそんな一日。

息子が浪人生活にちょっと疲れてしまった様子。

毎朝予備校に向かって、夜遅くに帰宅する日々。
「調子はどう?気持ちは前向きなの?勉強は順調なの?」
聞きたいことは山ほどあるけれど、
あまり焦らせたくもないから、なかなか聞けずにいた。
善も、勉強のことは話したがらなかった。
夕飯を食べながら、善の笑顔を見て安心する日々。

一人で抱えて、一人で踏ん張って、
机に向かっていたんだね。

模試の結果がなかなか伸びない。
善は落ち込んでいないかな、大丈夫かなと
私は善の背中を見ながら、心配することしかできなかった。

そして、今日。
なかなか予備校の自習室に行こうとせず、
家のいたるところで、寝転がっている善。
扇風機を回して、風にあたりながら、何か考え事をしている。

「どうしたの?善、行かないの?」
どうやら部屋のベッドに移動したようだ。
見に行くと、
広い肩幅を小さく狭めて、
長い背中をくるんと丸めて、
筋肉質の脚も同じく丸めて、
小さくなってベッドの上にいた。
覗き込むと、目をそらしたけれど、目が真っ赤。
涙が見えたような。

おとんも様子を見に行っては心配そうにしている。
「おかん、善どうしたの?大丈夫かな?」
小声で聞いてくる。

体中の気合を総動員して、
一人で懸命に支えていた1本の柱が、折れそうになっているのかな。
勉強してもしても結果に出てこない虚しさに、
懸命に抗っていたのだけれど、折れそうになっているのだろうか。

私は、善の気持ちと連動するように、
元気がなくなってきてしまった。
おとんが、なんとか口説いて、鎌倉散策に連れ出すことに。
お姉ちゃんの楽も「私も行く!」と。
おかんは体調不良でお留守番。
おとんと楽に任せた。

善に教えてあげたい言葉がある。
アインシュタインが言っている。
「挫折を経験したことがない者は、
何も新しいことに挑戦したことがないということだ」

善はきっと、今まで勉強というものに真剣に挑んだことがなかったんだ。
高校受験でも、そこまで真剣ではなかったのかもしれない。
今回初めて、真剣に勉強と向き合って、挫折を味わっている。
それは、ちゃんと心から勉強と向き合った証拠だよ。
と言ってあげたい。

鎌倉を歩き回って、
帰りのバスでは、熟睡してしまったらしい。
善の寝顔の写真がおとんから送られてきた。
少しは元気になったかな。

ほしよりこさんの「きょうの猫村さん」という漫画に
猫村さんが、人の歴史について独り言を言っている場面がある。

「今日も明日になれば昨日・・・
明日もまた明日になれば今日・・・
おとといのおとといの
おとといのず~っとおととい・・・」

「おとといのおとといのおとといのず~っとおととい」
に生まれた善の歴史は、
一日ずつ増えて行って、ここまで来た。
カンカン照りの日もあれば、
涙雨の曇り空もあるけれど、
一日一日を生きていって、これからも善の歴史はできていく。
そして、
家族は側で見守っている。

これを書いているうちに、善とおとんが帰ってきた。
二人はこれから、プールに出かけて行って、
一時間ほど泳いでくるらしい。
どうやらかなり元気になった様子。
楽は友達と遊んでくるそうな。
こちらも元気なことで。

ほっと安心。


7月3日   おかん


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