私の小さいころ、母は始終イライラしていた。
思い浮かぶ母の顔は、いつも怒っている。
運動会の徒競走で4位になって肩を落とす私に、
母は一言。
「恥ずかしい」
なんとか母に認められたかった。
そのうち、
私は良いところしか母に見せないようになっていった。
点数の悪いテストを隠したりして。
本当は、ありのままの私を見ていてほしい。
でも、ありのままの私ではだめなんだ。
母の存在は、小さな私にとって、
大きくて大きくて、ちょっと怖かった。
けれども、それは今は昔の話。
今の母は、とっても小さくて、
にこにこ笑うおばあちゃんだ。
介護サービスは受けたくないし、
お掃除は大嫌い。
病院も行きたくない。
今でも私を困らせることはあるけれど、
私が訪ねていくと、にこにこ玄関先まで出てきて、
「おかんちゃん!よく来たね~」
テレビを見ながら一緒にお昼を食べて、
あれやこれやと話して、
そのあとは私がせっせとお掃除する。
荒れ放題の部屋を汗だくで掃除する私に
母は何度も声をかける。
「おかんちゃん、コーヒー飲む?」
「おかんちゃん、アイス食べる?」
帰る私を見送って、
母はいつまでもいつまでも手を振っている。
「おかんちゃん、ありがとうね~。また来てね~」
大きな怖いお母さんから
小さなにこにこのおばあちゃんになった母。
なんでもっと私を愛してくれなかったの?
なんで本当の私を見てくれなかったの?
と泣きたくなっていた頃もあったけれど、
私の気持ちも
河の流れのように、刻一刻と変化してるよう。
母には、心安らかに暮らしていってほしい。
好きな韓流ドラマを楽しんで、
飼い猫ちゃんを可愛がって、
平和に日々を送ってほしい。
時々、一緒に時間を過ごそうね。
一緒にお昼を食べよう。
7月15日 おかん
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます