山女楽が3泊4日の山行から帰還。
今回の山は、甲斐駒仙丈ケ岳。
写真の楽は化粧っけがなく、自然な笑顔で映っている。
自然な笑顔緑色の木々青い空、その中で唯一違和感を醸し出しているもの。
それは、山の風にさらさら揺れる、楽の紫色の髪の毛。
紫色の髪の山女は、鎖を掴んで岩場をよじ登っていた。
楽たちの歩く山道からずっとずっと雲海が広がっていた。
いやあ、おかんは心配していました。
雨ですし、土砂崩れとか、滑落とか、いろいろ。
元気にほっぺを真っ赤に日焼けして帰ってきた楽を見て、
心から安心しましたよ。
一方楽は、いつも通りのむっつり顔。
山から下りると途端にクールになってしまう。
「いやあ!おかえり~!おかん心配してたよう!本当におかえり~!!」
「うっせ」
・・・・だから男子の先輩に怖くて話しかけれないって言われるんだよう。
山ではなく、水際に立たされている善は苦戦中。
期末テスト二日目が過ぎ、どうやら、連戦連敗勝ち知らず。
今朝、三日目へと出陣していった。
あんまり連敗続きなのでかわいそうで、今朝は一緒に古典を勉強してあげた。
在原業平。伊勢物語。芥川。
何度も求婚して連れてきたお嫁さんが、道中のあばら家で鬼に食べられちゃうお話。なんてこった。怖い話だ。
箱入り娘さんは、道端の葉につく露を見て、
「あれは何?真珠なの?」
と男に聞く。
そんな風に何にも知らないから鬼に食べられちゃうんですよ!
しかし、普通に鬼がいる昔の世界は、危険だなあ。
などなど、ぶつぶつ言いながら、善を手伝ってみた。
活用表を見ながら、動詞をまとめる。
楽にも質問したりして。
「私だってわからないよ。何せ、1年のとき古典は赤点しか取ったことない」
この姉にして、この弟。
さてさて、国語に関しては、今朝の30分の準備だけが善の武器。
善のよくやっているスマホ戦闘ゲームを連想してしまう。
スマホ画面に荒廃した戦場が広がっている。
オンラインで参加しているゲーマーたちのキャラクターが走っていく。
善のキャラクターも走っている。
善の装備の少なさは、軍を抜いているはず。
「あいつは経験値が少ないな。ゲームはじめたばっかりだな」
ゲーマーたちは即座に判断するだろう。
そうなのです。
期末テスト前の勉強経験値、ほぼゼロです。
ゲームの戦闘では、苦戦して勝ったほうが楽勝で勝つよりも、
高い経験値を得られるそうだよ。
がんばれ、水際族。
おかん
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