「軽く散歩しにいこうよ。
ここよりうんと涼しいよ。
ちょこっと山の方に行くだけで、気温が違うと思うよ~。
気持ちいいと思うよ~」
と、おとんが「軽く散歩」しようと誘ってきた。
「軽く」歩くくらいなら、よいか。
一日予定もないことだし。
駅前に行くような服装に
いつもの肩掛けバッグを持っていくと、
「そのバッグより、こっちの方がいいんじゃない?」
とウエストポーチを持ってきた。
この時点で、おかしいなあ、と気づくべきだった。
バスで山の方まで登っていく。
降りた停留所付近から、ずいぶん急な階段が続いていた。
「ここが一番の難関だから!ここさえ登っちゃえば平気!」
仕方ない、がんばって一段一段登っていった。
するとあっと言う間に、草木が生い茂る山の中。
思っていた軽い散歩と様子が違うぞ、と思い始めたけれど、
おとんはずんずん歩いていくから、後を追う。
藪を押しのけ、蚊を振り払い、山道をぐんぐん歩く。
一番の難関だったはずの階段よりも難関な登りが続く。
途中に公園が出てきて、一息入れることに。
公園に看板があって、見ると、
「〇〇山ハイキングコース」とある。
散歩ではなくて、ハイキングだよね。
結局、山の上の展望台まで登っていった。
駅前に行くような服装ではなくて、
水着を着てくるべきだったのか、と思うほど汗だくに。
風に吹かれ、眼下にパノラマを見渡しながら
「おとんにだまされた~」と叫んでみた。
結局、暗くなるまで歩き回り
へとへとになって帰宅。
自然の中を歩きとおした一日だった。
おとんが機嫌取りに買ってくれたビールが
とても美味しかった。
8月13日 おかん
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます