渋谷区立松濤美術館「装いの力 異性装の日本史」を観たのでございます。
https://shoto-museum.jp/exhibitions/197iseisou/
(展示室以外は写真撮影可)
日本の各時代の異性装の様相を、絵画、衣裳、写真、映像、漫画などで通覧し、「装いの力」について考察する展覧会。
前期・後期で一部展示替えがあり、今は後期でございます。
構成は以下の8章。気になった作品もリスト順に。
ささ、まずは地下1階の第1会場からじゃ。
【1章:日本のいにしえの異性装】
《日本武尊》三代・山川永徳斎 昭和時代初期(20世紀)
ヤマトタケルの人形。髪をおろして少女に変装し、右手に持った剣を振り下ろした姿。
《玉水物語》江戸時代(17~19世紀)
室町時代頃の御伽草子。この物語、けなげな狐(玉水)が切なくて好きなのじゃ。
展示は、狐が姫君を見初める場面。
【2章:戦う女性-女武者】
《巴御前出陣図》法橋関月 江戸時代(18世紀)
鎧姿で長刀を肩にかけ、馬にまたがる凜々しい巴御前。
よく観ると、左手に鏡を持ち、右手の小指で紅をひこうとしておるらしい。
ホールのパネルに、作品の一部分が使われておりまする。
【3章:“美しい”男性-若衆】
《若衆文案図》葛飾北斎 天保11(1840)年
色鮮やかな振袖を着て野郎帽子をかぶった女形の役者が、軒先で庭の菊を眺めて寛ぐの図。
《白縮緬地衝立梅樹鷹模様 振袖》江戸時代(18世紀)
重要文化財。豪華な衝立にとまる鷹狩り用の鷹たちを、縮緬地に友禅染と刺繍で表した振袖。
美青年が着ているところを見てみたい~。
【4章:江戸の異性装ー歌舞伎】
《女歌舞伎図屏風》桃山~江戸時代(17世紀初頭)
右側に京の名所、左側に2カ所で上演されている女歌舞伎の賑わい。
《つき百姿 水木辰の助》月岡芳年 明治24(1891)年
元禄期を代表する女形・水木辰之助が、空色地の綺麗な振袖を着て、夜桜を眺めるの図。
【5章:江戸の異性装ー物語の登場人物・祭礼】
《里見八犬士之内 犬坂毛野》豊原国周 慶応元(1865)年
艶やかな女装姿の毛野が、満月の水辺で敵を討つ場面。
《風俗三十二相 にあいさう 弘化年間廓の芸者風俗》月岡芳年 明治21(1888)年4月
うりざね顔の美人。孔雀の羽根柄の着物。
ホールのパネルに、作品の一部分使われておりまする。
《新吉原仁和歌 女作浪花湊 つるや のふ》歌川豊清 文化9-文政3(1812-20)年
腰に刀、背中に尺八を差した女伊達。着物も帯も市松模様でオシャレ~。
お次は2階、第2会場へまいるぞよ。
【6章:近代化社会における異性装】
《東京日々新聞969号》落合芳幾 明治3(1870)年3月
《大阪錦画新話5号 女装の男が巡査に捕まる》長谷川貞信 明治時代
明治時代に制定された異性装禁止の条例で、男装や女装した人々は拘束されたんじゃのぅ。
《光》(華宵便箋表紙原画) 高畠華宵 大正末~昭和初期(20世紀)
少女歌劇の男役的な少女の水彩画。
《澤村田之助》橘小夢 昭和9(1934)年
歌舞伎役者・澤村田之助の妖艶な表情と姿。
作家の皆川博子は、写真よりもこの役者の真の姿を映し出していると評したそうな。
《童女の姿になりて》石井林響 明治39 (1906)年
女性の装束を身につけたヤマトタケル、柔らかな衣装に厳しい表情。
《いかり肩スーツ》田中千代 昭和20(1945)年
クラシカルなジャケットとAラインスカートの、ウールギャバジンの黒スーツ。
ジャケットは3つボタンでウエストを絞ったデザイン、上衿ラペルから見返しまでと、左右の4つのポケットの縁に黒ベルベットのトリミング。
お供のEが、着てみたいと申しておった。
《街頭所見(セーラー服の三人)》丹羽阿樹子 昭和戦前期(20世紀)
セーラー服姿の3人の女学生。そういえばセーラー服は元は海軍の制服じゃから、異性装じゃのぅ。
【7章:現代の異性装】
《リボンの騎士(少女クラブ版)》手塚治虫 昭和28-31(1953-56)年 『少女クラブ』連載
デジタル出力2点。リボンの騎士の絵は知っておるが、アニメもマンガも観たことないゆえ、物語が気になりまする。
《ベルサイユのばら》池田理代子 昭和47-48(1972-73)年 『週刊マーガレット』連載
原画2点を観られて嬉しいぞよ。生まれたてのオスカルと、近衛隊士となって馬に乗るオスカルじゃ。
【8章:現代から未来へと続く異性装】
《セルフポートレイト(女優)/バルドーとしての私・2》森村泰昌 平成8(1996)年
ホールのパネルに作品が使われておりまする。
奥の小部屋には、DIAMONDS ARE FOREVERのインスタレーションがございました。
2階ロビーのお写真撮影コーナー。このパネルだけフラッシュを使用しても良いのじゃ。
DIAMONDS ARE FOREVER《神々の黄昏》記念撮影パネル 令和4(2022)年
フラッシュをたくと・・・ひぇ~~~!
古事記からドラァグクイーンまで、異性装の日本史、興味深うござりました。
ただ、第8章に関してはちと偏った感があり、もう少し幅広い内容で観たかったと申しますか何と申しますか・・・(以下略)
会期は10月30日まで。
さて、ミスタードーナツで、秋のオヤクソクの「さつまいもド」を食べますぞ。
食べたかった密いもドの密いもブリュレと焼き密いも風が品切れで、ほくいもドのスイートポテトと大学いもをば。
え~い、全種類持ってまいれ~!
★本の話
「十二国記」30周年記念ガイドブック、発売直後は近場の書店はどこも売り切れじゃったが、やっと読んだのでございます。
十二国記シリーズは数え切れないほど読み返したが、また最初から読み返したくなったぞよ。
ネズミが出てくるまでは辛いがの。
新作の短編集も待ち遠しいぞよ~!(できれば更夜と「おおきいの」も出てきて欲しい)