日本屈指の歌劇団の主宰・原さくらが、東京公演を終え大阪公演を控えたわずかな間に姿を消した。看板歌手の失踪に頭を悩ませつつも、いつもの気まぐれだろうとたかを括っていた劇団員たちは、公演当日、コントラバス・ケースの中から彼女の死体を発見する。昭和12年秋のことであった――。探偵小説の金字塔<金田一耕助>シリーズと共に、<由利鱗太郎>シリーズの名名篇。表題作など3篇を収録。
信濃の名士との婚礼を間近に控えた有爲子は、母の不貞の子と判明し、破談を申し渡された。衝撃を受けた父はその場で倒れ、帰らぬ人となる。真実の父親を探すため、有爲子は東京を目指すが、車中でお釜帽をかぶったもじゃもじゃ頭とよれよれの袴姿が特徴的な男と出会う━━。横溝正史唯一の家族小説は、運命に翻弄され続ける一人の女性の生涯を描いた圧巻の大河ロマン。連載完結後、約80年未刊だった幻の作品がついに文庫化!
推理小説以外の作品も書いてらっしゃったんですね。知りませんでした。