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子ども2人不登校でした

回想その9〜懲りない男Y〜

私は男女交際というものは、
『付き合ってください』と言われて、それを承諾して初めて始まるものだと思っていた。

私はYから付き合って欲しいと言われたことはない。もっともそう言われたら断っていた。

毎日一緒に帰って、時々喫茶店に入ったり、日曜日に電車で出かけたり、手までつないだら、私たちは第三者から見たら『付き合っている』と思われても仕方がない。

(違う。私はYとは付き合っているわけではない)

いつ、どの時点で、どうすればよかったのだろう。私はYが初めて声をかけてきた時まで遡って考えを巡らせた。
ついて来ないでと言えばよかったのか。
喫茶店へ行くべきではなかったのか…

日曜日に一緒に電車で出かけた後、Yはますます図に乗ってきた。

Yの友達の〇〇が何組の〇〇さんと一緒にラブホテルに行ったと私に言ってきた。

私は不快になった。

Yはこうも言った。

『俺はオアズケを食らっている犬だな』

私はYが嫌になった。

嫌になり出すともう止まらなかった。

どうやったらYに『私たちが付き合っていない』ことを分かってもらえるだろう。

私は悩んで勉強が手につかなくなった。

高2の時は順調に上昇していた校内順位が高3から下降し始めた。

(あいつのせいだ)

私はYのせいにしたが、高3になって他の生徒たちが真剣に勉強し始めたからだということも分かっていた。




私はYがいつも待ち伏せして合流してくる道を避けて、遠回りして帰ることにした。

あいつは今日も待ち伏せしているだろう。約束したわけでもなんでもないのだ。あいつが勝手に付いてくるだけなのだ。

どの道から帰ろうと私の勝手だ。可哀想なんて思ってはいけない。
私は心に言い聞かせた。

最初からこうすれば良かったのだと思う反面、どうしてあいつのために私が遠回りしないといけないのかと腹が立った。

しかし、Yは懲りない男だった。

避けられているというのに、電話をかけてきて、私のことを好きだと言った。

私は自分のどこが好きなのかと、以前から不思議に思っていたことを聞いてみた。

Yは最初、目が好きと言った。

そのあと、全部が好きと言い直した。

私はYからそう言われても鬱陶しいだけだった。



私はYに訣別の手紙を書くことにした。

便箋10枚近くに渡って長々と

自分がはっきりした態度を取らなかったので勘違いさせてしまったお詫びを混ぜ

自分はあなたと付き合っているつもりはないし、この先も付き合うつもりはないと書いた。

手紙を書くのに何時間もかかった。

こんなことしている場合じゃないのに!!

なぜ受験が迫っているのにこんなことに巻き込まれているのかと思うと、腹立たしかった。


手紙はYの家に郵便で送った。

手紙を受け取ったYは電話をしてきて、

「手紙は燃やした」と言った。

あんなに何時間もかけて書いた手紙を一瞬で燃やされたのかと少し悔しかったが、

よく考えればそんなものを後生大事に取っておかれてYの子孫が見つけたりしたものなら私も恥ずかしいから、燃やしてくれてよかった。



それからも、しばらくの間は学校から遠回りして帰っていたが、元の道に戻した。

Yはもう現れなくなった。

学校では会うけれど、もともとクラスの中ではお互いに知らん顔していた。

男女で会話する人はほとんどいないという変わった学校だった。

私とYのことも同級生にはあまり知られていなかったと思うが、Yは自分の友達には私と付き合っていると話していたようだ。

Yはまだ懲りていなかった。

「クリスマスにプレゼントを渡したい」と電話してきた。

家の前の公園で待っている。プレゼントを渡すだけで帰るから、これで最後にするから少しだけ出てきて欲しいと言った。

私は断った。

しかし、Yは出てくるまで何時間でも待っていると言った。

勝手にすればいいと思った。

私は家を出なかった。

2時間経ったか3時間経ったか分からないが

少し気になって家の前の公園に出てみた。

さすがにもういないだろうという予想は外れ、制服を着て首にマフラーを巻いたYの姿を見つけた。

外は寒かった。

馬鹿じゃないかと思った。

受験生なのに、こんな大事な時期に何やってんだ。

Yは私にプレゼントを渡すだけで本当に帰って行った。

YがくれたプレゼントはRの文字が連なったブレスレットだった。

私のイニシャルはRじゃないのになぜRなのかと不思議に思った。それがロベルタというブランドのマークだと知ったのはずっと後のことだ。



それ以来Yは電話もして来なくなった。




やっと勉強に身を入れることができると思った。

しかし共通一次まであと1か月くらいしか日にちは残されていなかった。






続く

コメント一覧

uparin
レイさん
お気遣いありがとうございます。
もう35年も前のことなので、懐かしい思い出です。
冬空に何時間も…みたいなことは長男が高校生の時にやってました😓
高校生男子、若さで突っ走っちゃうのかな〜
母親の立場としては心配よね。
Lei
おはようございます。
良かった、、当時のuparinさんは、本気で悩んでいたのに、、青春だなんてと思ってしまいました。
ただ、冬空に何時間も、、、これ、息子がやりそうで心配です💧
以前、似た様な事があったので。。。
今年18歳、、成人。何かしたら実名がでます。不安です💦
さて、続き、待ってまーす。
uparin
@rin082209221107 りんさん
コメントありがとうございます♪
高校時代、懐かしいですよね。
Y君は何だったんでしょ〜
今ならストーカーと言われても仕方ないですよね。冬の屋外で何時間も待たれるなんて、ちょっと怖いでしょ。
私はわりと手紙を書くのは好きなのですが、あんなに長い手紙を書いたのは後にも先にもこの時だけですね😅
よほど言いたいことが溜まっていたのだと思います。この頃は子ども時代の続きで自分の意見や気持ちをあまり言えなかったので…。抑えていたものが吹き出した感じかな。おばさんになった今は誰にでもバシバシ言いたいことを言いますが。
でもY君のおかげで、異性に優柔不断な態度を取ってはいけないと学びました。

続きが楽しみと言っていただいて、ありがとうございます。
uparin
@tochika さん
コメントありがとうございます。
Y君は受験しました。クリスマスの時期にそんなことをしていたY君なのに、学部は違えど私と同じ大学に現役ではいりました😓全く勉強しているように見えなかったのに、ガリ勉だった私は何だったんだという感じです💧

とちかさんはハンドボール部だったんですね。部活に打ち込んで、三年生の大会後から受験モードに切り替えって、青春ですよね!!
rin082209221107
uparinさんの回顧録を読みながら、
自分の高校時代を思い出したりして、
本当に懐かしい。
uparinさんが勉強を頑張ってた姿を羨ましくて。私は 早々に諦めて 中途半端にしか勉強しなかった。あの当時、文系女子は学校の先生になるぐらいしか明確な目標を持っている人はいなかったような気がするわ。
それにしても Yくん 。高校生というよりは中学生みたいな感じ。uparinさんが優しいから、ついつい ぐいぐいいっちゃって。
よく耐えてたのねー!便箋10枚も綴れたのは、よっぽど書くことがあったのね!すごいわ。
続き 楽しみにしてます~!
tochika
uparinさん、こんばんは。
3年生の年末...クリスマスになってもYくんは
uparinさんしか見えていなかったのですね。
彼は大学受験よりも恋愛だったのでしょう。
もしかして受験しなかったのかな?

uparinさんには迷惑でしたね。
迫る受験と迷惑男Yくん。
振り返るとこれも青春の思い出なのですね。

私の高校生活は部活動(ハンドボール部)に明け暮れた3年間でした。好きな女子はいたけれど特に何もありませんでした...これも青春かな。
真面目系の生徒は恋愛は2年生までで3年からはは受験勉強。チャラ男、ヤンキー、ギャルたちはまる三年間遊んでいるような学校でした。(ある意味、奴らが羨ましい??)

私は三年生の部活動(7月に最後の県大会)が終わると気持ちを一気に受験モードに切り替えて猛烈に勉強しました。
国立を目指していなかったので、英数理しか勉強しませんでしたので範囲を絞れて効率が良かったかも知れません。
(後に退学して、国立に行きましたけど...(#^.^#))
uparin
レイさん
こんばんは😊
全然気を悪くしてませんよ。
むしろ、ありがとうございます。
当時は本当に悩んでいたんです。
でも今思い返してこうして文章にしてみると、青春だったんだなぁと思います。
私も、このY君がいなければ何もない高校時代でした😅
Y君以外の男子とは全く喋ったことがなかったので、今思えば貴重な存在でした。
当時の私にとっては鬱陶しい存在でしたが、Y君から好意をもたれることでボロボロだった自己肯定感は少し上がったと思います。
Lei
こんばんは^_^
1番大事な時期に、気のないY君からの懲りない誘いとアプローチ、成績も落ちてきてと、焦りも出て、辛かったですね。
どうしたらいいか分からなかったんですよね。

でも、、
気を悪くしたら、ごめんなさい。
少し羨ましくも思ってしまいました。
私は、学生時代にその様な経験もなかったし(片思いばかりだし、男子と喋るもほぼなかったし)その後の美容専門学校も、、、消し去りたいというか、学生時代の事、何もなさすぎてほとんど覚えてないんです。
だから、青春だなって思ってしまいました。
この続きによっては、本当にごめんなさいになってしまうかもしれませんが💧
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