![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/buta.gif)
幼少期から私は毒子から友蔵の悪口を聞かされて育った。
毒子の洗脳により、子どもの頃は友蔵のことを「悪人」と思わされていた。
友蔵が「善人」だと分かってきたのは私が大学に入った後のことだ。
友蔵は転勤の多い地方公務員。
友蔵と毒子は見合い結婚である。
「こんなに転勤が多いと知っていたら結婚しなかったのに、友蔵が転勤があることを隠していた」
「騙された!!大嘘つき!人生狂わされた」
毒子からこの話を何百回、何千回聞かされたことか。
そして、毒子は友蔵の実家を『田舎の百姓』といつも貶していた。
友蔵は実家の悪口を言われると怒って毒子を怒鳴りつけた。
そんなふうに2人は毎日のように子供の前で大喧嘩をしていた。
口下手な友蔵は毒子のマシンガンのような口撃には勝てない。
だから手が出る。
一度は友蔵が包丁を持ち出したことさえある。
恐ろしかった。
幼い私は一方的に友蔵が悪いと思っていた。
私は毒子を守るために友蔵の背中に爪を立てた。
友蔵のことは大嫌いだった。
続く