著者は京都大学理学部数学科卒業し東京大学大学院で法学政治学科を学んだ異色の人。やはり政治的な方向に興味があったらしい。私は三島由紀夫の幼少時から培われた芸術文化が流れる文学そのセンスが好きで、日本の国を憂うなどには全く興味はない。著者は三島と共通の理念を持ち彼に傾倒し三島作品をその方面から論じているので、私の求めているものとは違った。”豊饒の海”は学のない私は(仏教の輪廻転生ぐらいは理解できるが)ドラマティックでありながら異様な雰囲気に興味があった。”金閣寺””仮面の告白”そして”禁色”の三島由紀夫が好きで晩年は精神的におかしくなったのでは…としか思えない。