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【岡山大学】プレート運動はマントルのアセノスフェアの水が駆動する

2023-08-10 12:03:50 | 理工農系
岡山大学と高輝度光科学研究センターの共同研究成果プレスリリースです
 
 
2023(令和5)年 8月 10日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
 



<発表のポイント>
  • 当研究チームが独自開発した短周期振動発生技術を駆使して、マントルのリソスフェア(プレート)及びアセノスフェアの柔らかさの指標である、地震波減衰特性(Q-1)を高温高圧下で決定することに成功しました。
  • マントルの岩石に水が存在すると地震波の減衰が大きくなり、大きな速度低下が起こることが明らかとなり、地震学の観測を説明することができました。
  • 古い冷たいプレートがスムーズに動くことができるのは、アセノスフェアが水を含んで柔らかくなっていることを示します。


◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の惑星物質研究所の芳野極教授の研究チームと公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)の肥後祐司主幹研究員らの共同研究グループは、高温高圧下で岩石を強制的に振動させ、地震波のエネルギーが失われる減衰という現象をその場観察することに成功しました。

 また、マントルの岩石に水の存在することにより、マントルのより深部のアセノスフェアが柔らかくなり、プレート(リソスフェア)がその上をよりスムーズに移動できること明らかにしました。

 プレートテクトニクス理論においてアセノスフェアが柔らかくなる理由はよく理解されていませんでしたが、本研究では高圧下で広範囲の周波数にわたる振動実験によって、マントルの岩石の地震波の減衰に対する水の影響を明らかにすることで、アセノスフェアに水が存在することで、海洋リソスフェアとアセノスフェアの境界におけるせん断波速度の急激な低下と、古い海洋プレートの下のアセノスフェアにおける周波数に依存しない減衰の両方を説明することができました。

 これらの研究成果は、2023年7月31日(現地時間)、米国の科学雑誌「The Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載されました。

 

図1.リソスフェアとアセノスフェアを示す概念図。海洋プレートは中央海嶺で生成され、冷却しながら海溝で沈み込む

図1.リソスフェアとアセノスフェアを示す概念図。海洋プレートは中央海嶺で生成され、冷却しながら海溝で沈み込む

 

図2.本研究の実験の測定結果と地震観測結果との比較。 アセノスフェアの小さな周期依存性とリソスフェアの大きな減衰の周期依存性の違いは、アセノスフェアの水の存在により説明できる

図2.本研究の実験の測定結果と地震観測結果との比較。 アセノスフェアの小さな周期依存性とリソスフェアの大きな減衰の周期依存性の違いは、アセノスフェアの水の存在により説明できる

 

図3.本研究から明らかとなったリソスフェアとアセノスフェアを横切るS波速度のプロファイル。 水が存在するときには、シャープに速度が減少することが分かる

図3.本研究から明らかとなったリソスフェアとアセノスフェアを横切るS波速度のプロファイル。 水が存在するときには、シャープに速度が減少することが分かる



◆芳野極教授からのひとこと
 地球を掘っていくとあっという間に1000℃を超え、ものすごい圧力がかかった極限の世界となります。我々はそのような状況を実際に実験室に再現して楽しんでます。装置開発から10年を経てようやく成果を出すことができ感無量です。惑星物質研究所で、みなさんも我々と地底探検をしてみませんか。
 

芳野 極 教授

芳野 極 教授



◆論文情報
 論 文 名:Effect of water on seismic attenuation of the upper mantle: the origin of the sharp lithosphere–asthenosphere boundary
     (和訳:上部マントルの地震波減衰への水の影響:シャープなリソスフェアーアセノスフェア境界の起源)
 掲 載 紙:The Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)
 著  者:Chao Liu, Takashi Yoshino(芳野極), Daisuke Yamazaki(山崎大輔), Noriyoshi Tsujino(辻野典秀), Hitoshi Gomi(五味斉), Moe Sakurai(櫻井萌), Youyue Zhang, Ran Wang, Longli Guan, Kayan Lau, Yoshinori Tange(丹下義範), Yuji Higo(肥後祐司)
 D O I:10.1073/pnas.2221770120
 U R L:https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2221770120


◆研究資金
 本研究は独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(基盤A・24244087, 17H01155,研究代表:芳野極)の支援を受けて実施しました。また、本研究はSPring-8の課題番号2016A1173, 2016B1091, 2017A1733, 2017B1175, 2018A1716, 2018B1071, 2019A1732, 2019B1071で実施しました。


◆詳しい研究内容について
 プレート運動はマントルのアセノスフェアの水が駆動する
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20230807-1.pdf
 


◆参 考
・岡山大学惑星物質研究所(IPM)
 http://www.misasa.okayama-u.ac.jp/jp/
・岡山大学惑星物質研究所 地球内部物理学(HACTO)
 https://www.misasa.okayama-u.ac.jp/~hacto/top_j.html


◆参考情報
・【岡山大学】惑星物質研究所 三朝国際学生インターンシッププログラム(MISIP)を4年ぶりに再開! ~7か国8人の学生が最先端の研究プロジェクトを実施~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001542.000072793.html


◆参考動画
 岡山大学惑星物質研究所紹介(YouTube 4:53)
 https://youtu.be/UQtAxdYGI0k



 

岡山大学惑星物質研究所の位置(googleマップより)

岡山大学惑星物質研究所の位置(googleマップより)



 ◆本件お問い合わせ先
<研究に関すること>
 岡山大学惑星物質研究所 教授 芳野 極
 〒682-0193 鳥取県東伯郡三朝町山田827
 TEL:0858-43-3737
 FAX:0858-43-2184
 https://www.misasa.okayama-u.ac.jp/~hacto/top_j.html

 高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター 回折・散乱推進室 主幹研究員 肥後祐司
 TEL:0791-58-0802(3721)

<SPring-8/SACLAに関すること>
 高輝度光科学研究センター 利用推進部 普及情報課
 TEL:0791-58-2785
 FAX:0791-58-2786

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

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 岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
 岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
 「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
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 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001559.000072793.html
  
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 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学である岡山大学にご期待ください

 

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001588.000072793.html

 


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