お好み夜話-Ver2

イルカを食った少年(第31夜 2005-11-08 15:16)

  
しばらく前からオヤジの関心は「イルカ」一色である。

可愛いイルカちゃんグッズの収集とか、地球環境と海洋動物の関係とか、未来に向けての共存とコミュニケーションの方法とか・・・。

うん。
似合わないことはやめよう。
本当はイルカの肉を「喰らう」ということのみである。

事の発端は数日前の日曜日の夜。
モグでの呼び名「バーバーくん」(床屋さんで働いているから)が後輩と来てくれて、

「マスター、イルカ食べたことあります ?」

と訊かれた瞬間からである。

うぐぐっ、イ・ル・カ?

ない。

クジラやワニやウミヘビや、カメやヤドカリなら食べたことはあるが、ゴムボートや浮き輪や、スクリューや錨は、齧ったことはあるが食べたことはない。

イルカも食べたことはない・・・。

ヒトを食ったようなことは、しょっちゅう言っている。

ちっちゃいクジラでないの ?
なに、ちがう。
後輩の彼は静岡出身で、小学生のときに給食でイルカの煮付けを食べたそうな。
実家でもお母さんが料理してくれたそうな。
オヤジにも静岡に親戚やら友達やらなにがしやらがいないことはないが、そんな話は一度として聞いたことがない。

「バーバーくん」は、いつもそうやって挑むようなことをオヤジに言って、知らなかったり食べたことがなかったりすると、勝ち誇ったような顔をするイケズな若造なのだ。

くやしいから調べた。
YAHOO!で「イルカ 肉」で検索すると577,000件ヒット。(現在は1,920,000件だった。ちなみにGoogleでは791,000件)

次々と見ていき、確かにイルカは全国的に食べられているということがわかった。
その中で最もオヤジ的に信頼に足る情報は、1967年静岡県沼津市生まれのAZUKIさんの
「イルカは美味しい食べ物です!」というサイト。

ごく大雑把に見てゆくと、「うまくない」「最悪」という意見が目立つが、多くの人の意見を総合して判断した結果、

1、イルカを現在最も食べるのは静岡県民らしい。スーパーや魚屋で普通に売られているようだ。

2、縄文時代から食されてきたイルカは、日本全国で食べられているらしい。

3、イルカを美味しく食べるには、新鮮で柔らかい肉を手に入れ、しっかり血抜きをし、アク抜きと匂い消しの薬味となる野菜とともに煮付けるのがベストらしい。

4、クジラと偽りイルカを売っていることがあるようだ。クジラよりイルカのほうが安い。

5、イルカとクジラの区別は結構曖昧だということ。体長での判断は世界の共通認識ではないということ。

6、イルカは水質汚染、水銀汚染の影響をもろに受けているらしい。だから臭い ?

7、海外でも(フロリダとか)イルカ料理を食わせるところがあるらしい。

8、イルカ羊羹、イルカカレー、イルカチョコレートなどなど、イルカ料理もバラエティーに富んでいる。

9、イルカを食うことを知らない人(オヤジのように)が意外に多く、罪悪感、嫌悪感を持つ人、興味津々で一度は食してみたいと思う人(オヤジのように)、「不味い」「二度と食わない」という人と、「旨い」「やみつき」という人と、それぞれの意見は真っ向から対立しているということ。

10、ゲテモノという扱いではないが、今後イルカ料理が津々浦々に普及することはない。

以上のようなことがわかった。
ちなみに、イルカの味噌煮は650円。缶詰は680円とあった。
やはり、地元静岡で食べるのが一番外れがなさそうだ。

しかしその前に、「バーバーくん」の後輩に、正確な情報をお母さんから聞いてオヤジに教えないと、グリーンピースにチクルぞ !と脅しをかけておいたので、しばらく待つとしよう。

しかしこの歳になって「わんぱくフリッパー」を喰らいたいと思うようになるなんて、業が深い。
でも、漢字で「海豚」と書くくらいだから、昔から食っていたろうと想像できる。
欧米人は宗教の足枷とエゴで理解できないだろうが、地球の恵みを大事にありがたく最後までいただくというのは、日本人の美徳であり文化だと思うのだ。

そういやウチのかあちゃんは、まるまる肥えて、喰ったら旨いかもしれないな。
歳をとって肉が堅くならないうちに、ちょいと脇腹あたりをスライスしておいた方がいいかもしれない。
来るべき食糧難に備え、何でも喰らうのだ。
ケケケ、オヤジの身体はほどよく酒が染み渡ってうまいぜよ。


バカですねぇ。
ほんとにバカなオヤジですねぇ。

しかし、去年までモグランポでデカイ面していた「バーバーくん」が、ここへきてやっと登場です。
しかも後輩「フリッパーくん」=「シゲちゃん」の影に隠れてるようにして。
ふーん、あの男、この時点まではまだ少しはおとなしかったのか。

えー、この後目出たく「シゲちゃん」お持たせのイルカの煮付けを喰うことになるので、それもついでに載せてしまいます。


「イルカを食べるオヤジ」(2005-11-09 09:51)


念すれば通ずとはいいますが、最近たびたび思いが現実化しているので、やはり私はエスパーオヤジなのかもしれません。
宝くじ、宝くじ、宝くじ・・・・。

つい昨日アップしたブログで、イルカを食べたいと書いたら、本日届いた。
しかも調理済で。
マジ、びっくり。

プレゼンターは、「バーバーくん」の後輩の彼。
そういえば名前も聞いていなかった・・・。
(「シゲちゃん」です)
取りあえず「フリッパーくん」と呼ばせてもらいましょう。

「フリッパーくん」が近々実家に帰るというので、イルカの正確な情報をお母さんに聞いてほしいと頼んだのだ。
“グリーンピースにチクルぞ”とは言ったが、調理してもってこいなどと図々しいことは言っていないつもり。
よっぽどオヤジが悪逆非道に見えたのかもしれない。
すまないことをした・・・。
次回来たときにはたっぷりサービスしてあげよう。
だが、せっかくの頂き物はありがたく頂戴しませう。

袋に入れられた煮付けからは、ちょっと独特な匂いがもれている。
見ると、クジラ肉のような色をした切り身肉が牛蒡や人参と一緒に煮付けられている。
取り立てて関心がないような素振りでいたかあちゃんは、現物を見た途端、袋から1つまみ取り出し、ぱくついた。
相変わらずお行儀の悪い「油売り」だ。
飲み下して一言。

「クジラ、だ、ね」

なるほど。
かあちゃんの故郷ではイルカウォッチングが最近人気だし、クジラは昔から普通に食べているらしいので、味は馴染みがあるのだろう。
しかし、せっかくの貴重なイルカちゃんを、仕事中の立ち食いなどというお下品な作法で食すわけにはいかない。

とっとと片付けをして、「城ミチル」の「イルカに乗った少年」など口ずさみながら、家へ帰り、身を清め、ちょいと小鉢に盛りつけ、イルカには何が合うかと検討し、日本酒にした。
温めて針生姜を飾り、準備万端。



まずはお清めの1杯。
酒は菊姫の「淳」を冷やで。
(なぜ「淳」かわかる人は、モグランポに相当精通している人ですな)

さてさて、大きめの肉を満を持して1口、ガブリ。
もう1口。

クジラ、だ、ね。
これは。
ただ、クジラよりちょっと独特な匂いが強いかな。
そこがいいのよ、という人と、ちょっとごめんなさい、という人とに別れるというのが理解できた。
煮付け自体の味は、懐かしいお母さんの手料理そのもので、少し甘みが強く、故郷のある青少年は涙なくして食べられない味付けだ。

故郷をもたないオヤジは、ちょっと七味を振ってさらに食べる。
脂身のところはジュワッと濃厚。
比較的肉は硬め。
歯ごたえは酒のつまみにいい、いい、い、噛み切れない・・・。
入れ歯じゃないぞ、まだ。

咀嚼、咀嚼、咀嚼。・・・・・

皮付きの肉を発見。
咀嚼、咀嚼、そ、そ、そ、だめだ、こりゃ。

ウエットスーツを齧っているようで、イルカちゃんの弾力のある硬い皮と肉を食い破るには、サメの歯と顎が必要かも。
酒を飲むのも忘れ、イルカと格闘した結果、手と口の回りは油でベトベト、独特の匂いがヒゲにまとわりつき、クビッとやった酒の味が変だ。

うーん、イルカ食うのはけっこう大変だ。
でも「フリッパーくん」、貴重な体験をさせてもらってありがとう。
今度合ったときに、もしオヤジがイルカ臭かったら、「トリトンオヤジ」と呼んでください。

それと、お母さんにはくれぐれもよろしくお伝えください。
たぶん同年輩だと思いますが、タレントでいうと誰に似ているのか、こっそり教えて頂けたら幸いです。

では。


哀れ名も無きイルカ君は、オヤジの胃袋の中で血となり肉となり・・・
そして3年後。
イルカの祟りか、オバカが極まったのか、オヤジは今までの生活をリセットせざるを得ないカラダになってしまいました。
しかしなんとか再起動できたおかげで、またこのようなオバカなブログを更新できるのであります。

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