お好み夜話-Ver2

春眠暁を覚えずのエピソード

明け方の夢で、6時ぐらいに目が覚めた。

フランスの大聖堂(どこかは不明) の屋根の上で、モンマルトルの丘やパリの町並みが見下ろせる絶景に感動し、写メを撮って仙台の「バーバーくん」に送った。

これであの調子コキも、オヤジがフランス人だということがわかるであろうと、カラカラ笑ったら足を滑らせて真っ逆さま・・・・


外を見れば雨が降っていたので、シクシク痛む左足の湿布を替えてまた寝てしまった

次に目覚めたのは10時半、雨は上がっていたが、目をつぶれば瞬く間に眠ってしまう。

春眠暁を覚えずの頃、いくらでも眠れてしまうが、季節に関係なくいつでも眠い人が電車の中には多い。

それで、お勤め人時代のちょっと恥ずかしいエピソードを思い出してしまった。


営業に出て、山手線に乗っていたのだ。

山手線は実によく眠れる。

揺れが心地よい。

ついウトウトして、渋谷で降りるところを乗り過ごしてしまい、次の駅で乗り換えればいいものを面倒くさくなって、このまま1周してしまえと開き直ってまた目をつぶった。

しばらくして右肩にぬくもりと重みを感じてフッと目を開いて見ると、リクルートスーツを着た若い娘がオヤジの肩に頭を乗せて眠っていた。

こちらも寝起きで頭が働かず、セミロングの髪のシャンプーのいい匂いに、まっいいか、と様子を見ることにした。

乗り物で寝た経験のある人ならわかると思うが、身体は揺れに反応して左右にユラユラ、時々我にかえって傾いた身体を立て直す、その繰り返し。

しかしオヤジの肩にもたれかかっている娘は、もうその段階を通り過ぎ、爆睡の状態で身動きもしない。

それに気がついたとき、はてどうしたものか

このままではもう1周してしまいかねない

肩を揺すって気づかせてやろうか、いやいやそれは気の毒、でもそっと声をかけてやろうか・・・などと逡巡していると、娘の頭が肩からずり落ちてきて、かろうじてオヤジの胸のあたりでとどまっている。

この図は、はたから見たらそうとう変だ。

視線を前の席に向けると、案の定サラリーマンがふたり、にやけた顔で成り行きを見ている。

フン、どうすることも I can not だぜ、人ごとだと思って・・・。


その不安定な状態がいつまでも続くわけはなく、ふつうなら本能で身体を立て直すのだが、その娘の場合は不幸なタイミングが重なった。

山手線が急ブレーキをかけたのだ。

その瞬間ガクンと頭が落ち、なんと顔面からオヤジの股間に倒れ込んだ

夜中の飲み会なら
「ヒャッホー !! 」
と叫んでしまうかもしれないが、真っ昼間の山手線の車内でそんな声を上げてニヤケたら、ただの変態オヤジになってしまう。

びっくりして周りを見渡せば、前の席のサラリーマンは思いっきり笑っているし、斜め前の女性は俯いて肩を振るわせているではないか。

当の娘はといえばバネのように身体を起こし、それでも寝起きの虚ろな目にヨダレを口の端からたらし、まったく事態を把握していない顔をオヤジに向けた。

だが電車が停まるやいなや、瞬時に事態を把握したとみえ、どこにそんな瞬発力があったのかと呆れるほどの勢いでドアをすり抜けホームに出て行ってしまった。

さあこの事態、取り残された者はぶしつけな視線にさらされることになるのは言うまでもない。

まして娘の置き土産のヨダレの跡が、しっかりオヤジのスラックスの股間に残っているのだから・・・。


今から20年以上も前の、春の日の出来事でございます。

あの時の娘さんは、ご無事であればもはや中年の域にあるはず。

幸せな生活をおくられていることを、陰ながらお祈りして恥ずかしいエピソードを終わります。

くれぐれも電車での居眠りには注意してくださいませ。

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