余裕を持って1時間少し前に家を出たが、思っていたよりも早く着いてしまい、ドトールで汗を冷まして給水した。
浅草、上野あたりまで歩いたり走ったりすることは、もうまったく苦にならなくなった。
むしろ通ったことのない道や、気になるお店を発見できる楽しみが増して、天気のいい日は積極的に表へ出たい。
一服すると予約した時間になったので、寿町の交差点を渡って床屋さんに向かった。
マラソンデビューの勝負ウェアを着てオヤジが入って来たものだから、「シゲちゃん」もちょっと驚いたようだ。
さっそくCUTしてもらう。
今はなき（べつにお隠れになったわけではありません。今も仙台でいろんなところがピンピンしていることでしょう）「バーバーくん」や後輩の「シゲちゃん」が上手なのは、刈ったその時はもちろんだが、予め用事のある数日後、数週間後にいい具合に想定していた髪型におさまるようにCUTしてくれるところだ。
町場の床屋さんとしては少々いいお値段だが、それだけの価値はある。
時間をかけてマッサージも入念にしてくれるし、シャンプーされて耳に水が入らなかったのはこちらが初めてだ。
で、気持ちよくて何度もウトウトしてしまう。
本日のテーマ「けっこうへばっていても、そうとは感じさせない髪型」という難題で、オヤジのジャガイモみたいな頭は、「シゲちゃん」の手によりこざっぱりとした。
頭がきれいになると、今度は腹の虫が“グ～”と鳴く。
床屋さんを後にし、かあちゃんと待ち合わせた六区の方へ向かう。
行きにチラッと見た浅草寺の本堂の工事が気になり、かあちゃんとともに見に行った。
一口 壱萬円を寄進するほど信心深くも余裕もないが、2年もかかる工事は大変だなぁ。本堂の屋根を傷つけないように、巨大な鉄骨が組まれていた。
すげぇ
お昼はまだ入ったことのない店にしようということになり、「元祖味噌とんかつ カツ吉」に決めた。
カツに味噌味がついているので、ソースをつけないで食べるのだが、なかなか旨かった。
カツもさることながら、出汁のよく利いたみそ汁がこれまた旨かった。
変わり種のカツが50種類ほどもあるらしく、全制覇するのは容易なこっちゃないね。
腹ごしらえができたところで、お馴染みの「まつり湯」へ。
ジェットバスでよーく足や腰を揉みほぐして、さらにリフレッシュ。
風呂上がりにのんびりしていると、「Kちん」からメールが入り、なにやら相談があるという。
若い娘のメールは内容が意味不明だし、電話でも要領を得ないから、直接聞いてやると言ったら、なんのことはない千住にいるということなので、待ち合わせて「一喜」で一杯やりながら話を聞いた。
用件は、大学の課題を提出するのに、参考資料が必要なので貸してほしいということだった。
オヤジができることならおやすい御用だから、用はそれですんだが、「Kちん」は小さい頃からのオヤジのイメージが出来上がっていて、現在のお痩せになったオヤジがなんだかしっくりこないと言う。
シゲ画伯 作
「おぢさんは、まぁるいかんじだったからぁ・・・」
などと失礼なことを言う。
ほんとにもう・・・、ひとは変わるんだよ !!
まったく、「Cちゃん」もそうだが、性能の悪い液晶モニターみたいに、彼女たちの網膜には未だにおデブの頃のオヤジが焼き付いているのだ。
わすれてくれぇぇぇぇぇぃ !!!
「ところでおぢさん、マラソンて何キロ走るの ? 」
山中湖一周は13.6kmだ、というと、
「なーんだ、中学生の時に走ったくらいかぁ」
フン、そうだ・・・たったそれくらいサ。だけど、あれから35、6年は過ぎているんだぞ・・・。
しかも去年の今頃は、“死んだっておかしくない”などと医者から言われていたんだぞ・・・。
走るなんて、それこそ死んでも思わなかったんだぞ・・・。
生ビールを一気に飲んで、ため息が出た。
でも言われてみれば、たしかにその通り。
中学生でも走れる程度の距離に、なにが勝負ウェアだ。
ちゃんちゃらおかしいね。
だいたい「がんばらない」って決めていたんじゃなかったか ?
競技とか、記録なんてどうだっていいって、走りたい時に走り、歩きたい時に歩き、時には横道にそれ、興味があれは立ち止まり、楽しんで気持ちよく、おいしいお酒が飲めるようにいい汗かくんじゃなかったか ?
「Kちん」から言われて、目から鱗が落ちた。
で、昨日も一昨日も、楽しみながら街や土手を走っている。
山中湖ロードレースまで、あと15日
