お好み夜話-Ver2

歓迎、子供店長

「リキくん」は、公文やピアノのお稽古の帰り、妹の「サキちゃん」や、パパとママと一緒に来店してくれる。
いつも必ず「そばめし」を食べる。
しかも大盛りで。

「ボクが来たら、すぐに作っていいからね」

と、しばらく前から言いつけられていて、店へ入ってくるとすぐ、焼いているところをカウンターから覗き込むようにして監視する。

仕上げにタレをジュッとかけると、満足そうに笑って自分の席へ戻って待つ。

オヤジはいつも思うのだが、小学1年生の小さなお腹の中に、よくまあ大盛りの「そばめし」が入っていくものだと bikkuri

「リキくん、そんなにそばめしを気に入ってくれてうれしいよ。だからさ、いっそのこと子供店長になって宣伝してくれないかなぁ ? 」

すると「リキくん」は小首をかしげて、もっと大きくなってからやってもいいと言う。

「う~ん、大人になってからじゃあ子供店長はできないんだよなぁ。どう、今なら時給300円でオヤツもつけちゃうから」
「時給って、なに ? 」
「1時間働くと、300円もらえるってこと」
「じゃあ、2度間だったら ? 」
「600円。ね、悪くないでしょ」
「うーん、かんがえとく。ボクもいそがしいから」

多少脈ありだが、子供の心は気まぐれだ。
次に来店した時にはころっと忘れているだろう。



次の日に、「ヨシくん」がお父ちゃんとお母ちゃんと一緒に来てくれた。
「ヨシくん」も「そばめし」が大好きで、必ずオーダーしてくれる。

出来上がるのを待ちながら、お母ちゃんと話している「ヨシくん」を見ていて、ちょっと前から思っていたことを打ち明けた。

「おぢさんさ、前からヨシくんが子供店長に似ているなぁと思ってたんだけど、自分でもそう思わない ? 」

すると「ヨシくん」満更でもなさそうに小首をかしげて考えている。
そしてお母ちゃんが言った。

「やっぱりそう思いますか ? 最近よく人から言われるんですよ」
「うん。顔だけでなくて、声も似てるよね」
「CM流れると、思わず見比べちゃうんですよね」
「ほら、ヨシくん。お父ちゃんもお母ちゃんも似てるって言うし、おぢさんとこで、子供店長やってよ。時給300円とオヤツもつけちゃうから」

「ヨシくん」、おやつにちょっと心が動いた。

「小学校2年生になってからじゃ、ダメ ? 」
「だめだよ、今が旬なんだから。2時間モグランポで遊んでいるだけで、なんと600円おこづかいがもらえるんだよ。しかもおやつ付き。赤いブレザーも用意しちゃうから」

「ヨシくん」小さい頭で一生懸命考えた。

「じゃあさ、火曜日と木曜日はだめだけど、月曜日と金曜日なら大丈夫かもしれない」

たまたまカウンターでそのやりとりを聞いていた、「ツッキー」がすかさず言った。

「じゃあ、オジサンはヨシくんがいるときに来よう」

もはや「ヨシくん」、妄想が頭の中を駆け巡り、ニコニコしながら「ボクが子供店長になったら」プランを話し始めてしまう。
「ヨシくん」上機嫌であります。

しかし、子供の心は気まぐれだ。
次に来店した時には、ころっと忘れているだろうなあ be

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