お好み夜話-Ver2

未だ初夢を見ず

大晦日に「シゲちゃん」にカットしてもらったとき、店の社長から、枕の下にしいておくといい夢を見られると云う紙をもらい、伊東温泉でも我が家に戻ってからも、ずっとその紙を枕の下にしいているのだが、まだ初夢を見ていない。

思えば去年の大晦日、「ジョニー&ヒカル」と共に浅草寺へ初詣に行き、明け方千住に戻って荒川の土手からご来光を望み、さらにビルの間から富士山まで拝めて、“ 今年はいい年になるぞ ”なんて思いつつ寝たら、なんと初夢に
全裸の「チェリー・ブロッサム・キューティ・クミ」さんがお出ましになり、その直後に目覚めると、激しい頭痛に襲われ、元日から「モミモミ先生」の針治療を受け、以後3月ぐらいまで絶不調だったのだ。

もちろん、東の女王様全裸の「チェリー・ブロッサム・キューティ・クミ」さんに邪な想いなど抱こうはずもなく、「悪夢」などといってしまったら恐ろしいことになるのだが、じつは一昨年も、西の女王様「Cちゃん」の全裸のご乱行を初夢で見てしまったものだから、いささか気をつけていたのだ。

西の女王様「Cちゃん」の全裸のご乱行は、まさしく強烈な「悪夢」だったので、教訓として再びここに記しておこう。


2008年1月の
初・悪夢


正月明けてから、全然眠れないのである。
たまにウトウトッとしても、すぐに眠気が取れて、それからあーでもない、こーでもないと考え始めたら最後、もう眠れないのだ。
店のことやら、いろんなことが頭の中に渦巻き、手足に汗をかいて、いてもたってもいられずに起きてしまう。

(中略)

今夜は眠ろう。
グイッと大量のナイトキッヤップを引っかけて、今日を強制終了しようと、ビールから初めて、日本酒、芋焼酎と次々とボトルを空にして、ようやく午前様にアクビが出たので、このタイミングを逃さず歯を磨き、一応枕元にスタンドと少々お堅い本を用意して、布団に潜り込んだ。
いい感じだ。
トロトロと眠りの使いがやってきて、本の文字がぼやける、本を持つ手がガクンと萎える。
スタンドなんて打っちゃっておけ、本に栞なんて挿まなくたっていい、寝ろ !!

寝た。
何度も夢を見た。
一番最後の朝方の夢だけが強烈に記憶に残った。
というか、あまりの不条理さにそれで起きてしまったのだ。
以下は夢の話である。
ほんとうに夢だけの話なのである、念のため。

コートのいらない夜だった。
どこで飲んだのかはわからないが、駅の方からご機嫌ちゃんの千鳥足でオヤジがやってくる。
商店街はがらんとして、雨上がりの水たまりがそこかしこにある。
その水たまりにわざとビチャビチャと入りながら、鼻歌を歌っている。
連れは何人かいるようだ。
大声でバカ話をしながら、肉屋さんの前の路地を曲がろうとして立ち止まった。
路地の中程の空中に、モヤモヤと何かが渦巻いている。
それはハエか、カか、アブかハチか、とにかく羽音をたててとぐろを巻き、黒い塊のように蠢いている。

「ようし、しょうがねぇ ! 」

と、たぶん言ったのだと思う。

靴を脱いで、そのモヤモヤと蠢くものに投げつけた。
そして服を脱ぎ、下着も脱いで素っ裸になり、ひとまとめにして手近な家の塀の上に置いた。
そして、唸りをあげて飛んでいる“何か”に向かって、全力疾走で飛び込み、突破した。
だが、黒く蠢いて飛んでいる“何か”は、パッと2つに割れて道を開けただけで、オヤジを追いかけもせず、怒った様子もなく、再び同じ空中で黒々とまとまった。

「ヤッホー ! 」

と、たぶん言ったのだと思う。

路地の入口から手を振ってお出ましになったのは、蟒蛇の女帝「Cちゃん」であった。
彼女と飲んでいたのか、それともたまたま通りがかったのか、それは不明だ。
だがオヤジと同じテンションで、
「ウヒョッ」とか
「アピョ~ン」とか、
いかにも絶好調のときの女帝が口走りそうな擬音を発し、ニコニコと手を振るのである。

黒く蠢いている“何か”を、彼女は全然気にする様子もなく、まったく躊躇いもせず、服を脱いで全裸になってしまった。

「いきまーす」

と、たぶん言ったのだと思う。

スキップするように走ってきた女帝は、黒い塊に向かって、なんとヘッドスライディングを敢行したのである。
そしてそのまま地面の水たまりに突っ込んだ。

そのときオヤジはハッとして、脱いだ服を塀の上に置き忘れたことに気がついた。

「キャハッ」

と、たぶん言ったのだと思う。

全裸の女帝は泥水を滴らせてご満悦。

オヤジはもう一度黒く蠢いている“何か”を突破して服を取ると、昔の人が川を渡るかのように頭の上に服を乗せ、再び“何か”を突破して女帝と並んだ。

深夜の路地裏で、若くない男女が全裸で、一方は頭の上に脱いだ服をターバンのように乗せ、もう一方は全身から泥水を滴らせて、ハイテンションでカラカラ笑っている図を想像してみてほしい。

なんと、おぞましい・・・。

蟒蛇の女帝「Cちゃん」も、自分の服が路地の入口に脱ぎ捨てられていることに気付き、再びスキップまじりに黒い“何か”に突進、またもやヘッドスライディングで水たまりへダイブ !

「キャホー」

と、たぶん言ったのだと思う。

泥水を滴らせた全裸で、激しく手を振るのであった。


気持ちのわる~い、うなされながらのお目覚めでありました。

フロイト博士の解釈によりますと、すべて性の妄想、欲求不満のように片づけられてしまうでしょうが、まちがってもそんなことはございません。

いくら店や税務署やら、政治や原油の件で、頭がグチャグチャのヘロヘロで怒り狂っていたとしても、あなた、まさか女帝に対して邪な妄想を抱くなんてことは、これっぽっちもありませんですよ。
そんなことがあれば、ほれ、こうして公の場にこんなことを晒すわけはないでしょうが。

これを見た女帝がなんていうか、考えただけでも恐ろしい・・・。

「あんたさぁ、アタシに喧嘩売ってんの ? 」

だが、女帝の言いそうなセリフを先回りして書いてしまうという技を、長い間の修行の日々で身に付けた。

まあ、そういうことで、ひとつ穏便に、どうか、ひとつ・・・。





ああ、またまたこんなことを曝してしまった。

本日、西の女王様・全裸の蟒蛇こと「Cちゃん」ご一行の予約を承りました。

年明け2日目の水曜日なので、定休日にせずに営業しております。

いらっしゃる皆様が、このブログをご覧になっていないことを祈りつつ、そろそろ開店準備にとりかかるとしませう。

もし万が一、これを見た方が店にいらっしゃっても、けっして、けっしてこのことはご内密に・・・・。

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