お好み夜話-Ver2

41年後の大イタチ


2005年の9月30日に「ヘビ女VS大イタチ 赤門寺決戦」というタイトルでブログを更新した。
オヤジが小学生の頃、赤門寺(勝専寺)に出ていた見世物小屋の話だ。

内容はこうだ。

『見世物小屋の名物はヘビ女だ。

「人外魔境の山中で、大蛇に育てられた哀れなヘビ女」

今じゃ人権擁護団体とか女性のためのなんとか団体が目を光らせているので、とても当時のコピーでは興行できないだろう。
入り口の上に、おどろおどろしいタッチの絵で、ヘビ女の生い立ちが描かれている。
小屋の隙間から、白い身体をうねらせるヘビ女の後ろ姿がちらっと見えて、ガキどもはドキドキしたものだ。
なけなしの木戸銭を、胡散臭い呼び込みの親爺に払い、一列に並んで小屋の中へ。
手すりのある順路に従って、ぞろぞろと小屋の中を見て回る。
鬱蒼としたジャングルのような、はたまた断崖絶壁の岩山のような、南洋の島とチベットの山中を同時に体験できるような装飾と書き割りの数々。
垂れ下がる茂みの間から、哀れ鉄格子の中に入れられたヘビ女が見える。
下半身をすっぽり台の中に隠したヘビ女は、やけに白い身体の前に長い髪を垂らして胸を覆い、うねうねと身体をくねらせていた。

このチープな演出は、いかに当時のすれていない小僧でも、なんかヘンだということを一目で感じさせた。
しかし、昭和のガキは突っ込みもするどい。

「やい、ヘビ女。箱から出て来てしっぽを見せろ!」

だれかが叫ぶと、

「そうだそうだ、出てこい出てこい」

とみんなが囃し立てる。
大人の見物人はにやにやしている。
そこへ,件の呼び込み親爺が飛んで来て,

「ああ、ぼうやたち、そんなことを言うもんじゃないよ。ヘビ女を怒らせたら丸呑みにされてしまうよ」

と必死で取りなす。
あっかんべーや悪態をついて出口へ向かうガキども。
その目の前に立て掛けられている巨大な一枚板。
そして中央に滴れている真っ赤な液体。
キャプションに
「鞍馬の大イタチ」とある。

ぐうの音も出ないガキどもは、“こんなもの見ないでアンズ飴でも買っときゃよかった”としょんぼりして小屋を出るのであった。

後日談。
小屋を撤去する様子を見ていた悪ガキのレポート。
あの、おりの中にいたヘビ女が洋服を着て、くわえ煙草で2本の足で歩いていたということだ。
やっぱりな、と頷き合う昭和のガキども。
今はなき、思い出の一コマでありました。』

なぜこんな過去ログを再びもちだしたかというと、先日「浅草奥山風景」

というイベントを見に行ったら、懐かしの見世物小屋があり、「ヘビ女」は残念ながら出ていなかったが、「大イタチ」や「大かみ娘」、「大ざる、小ざる」が出し物であったので、木戸銭100円を払って覗いて見たからだ。



昭和の見世物小屋とは比較にならないぐらいに、じつに安直な作りのお手軽なコーナー。
当然、一瞬でも胸をときめかせるような代物ではなく、“のすたるじー”をくすぐってくれる口上を、現代風なアレンジも交えて立て板に水でまくしたてる親父が、漫談風に見せてくれるブースであった。


まあこれが「大イタチ」の正体でありますが、昔よりだいぶ高級感があるようで・・・。
合羽橋あたりの銘木屋さんにでも発注したんでしょうか ?

こんな塩梅なので、あとのふたつの正体を暴露するなんてぇ野暮はいいません。
いつか機会があったら、ご自身の目で確認して、昭和のチープでグッときちゃう感じを体験して頂きたいと、かように思うのであります。

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