お好み夜話-Ver2

小バーバー2号が走りまわる

かあちゃんのお掃除グッズコレクションは今に始まったことではなく、何十年も前に遡る。

かといってそれほどきれい好きというわけではなく、四角い部屋を丸く掃くタイプで、どちらかと言えばオヤジの方がよっぽどお掃除上手だ。

いやホント。

しかしお掃除グッズを買ったことでその気になるので、手に入れた当初はうるさいぐらいに、朝でも夜でも自分が思い立ったときに一生懸命やる。

そして何ヶ月か経ったときには、今まで指一本触れさせてもくれなかったお掃除グッズは何処かへ消え失せ、毎度のごとくクイックルワイパーでシコシコやってるという有様だ。

今までにテレビショッピングとかなんとか通販のお掃除グッズに、いったいいくら注ぎ込んだのかまったく不明だ。


5年ほど前、「バーバーくん」が故郷へ帰る事になったとき、なぜか彼のションベンみたいなアパートにあったお掃除ロボットをかあちゃんが譲り受けた。

そりゃあもうかあちゃんの喜びようったら、息子を貰い受けたようにいとおしんで、丸いカブトガニみたいなちょこちょこ動く機械に毎日部屋をお掃除させていた。

そのお掃除ロボットが蛇の舌みたいにチョロチョロブラシを出して、さして広くもない障害物だらけの部屋を動きまわってお掃除しているとき、オヤジも小僧も立ち入り禁止でただ為す術も無くその様子を見ているだけだった。

そんなご主人様より偉そうに部屋中を走りまわるお掃除ロボットに「小バーバー」という名をつけて、「オラオラ隅の方にゴミが残ってるよ、このボケッ !! 」とか、「ヘン、椅子の足にぶつかってやんのマヌケ」などと難癖をつけて、快く思ってなかったものだ。

そんなことが数ヶ月続き、かあちゃんのお掃除熱がやや覚めた頃、部屋の隅で丸くなって寝ている(まあもとから丸いのだけど )「小バーバー」の上に、ポンと新聞や雑誌の束を乗せた。

それほどの重量でもなかったが、帰ってきたかあちゃんはそれを見るなり烈火の如く怒り、「小バーバー」の電源をいれたがうんともすんともいわない。

そしてそれっきり「小バーバー」は死んでしまったのである。

かあちゃんは意気消沈し、次の瞬間子を奪われた母のごとく、ものすごい形相で責められた・・・。

そりゃぁオヤジが悪かったですよ。

でも、四角い部屋を丸く掃くくせに、丸いお掃除ロボットに四角い部屋を掃除させなくったっていいだろうが・・・。


子を奪われた母の執念は深く静かに数年沈潜していたが、数週間前その情念を蘇らせた男がいた。

ジャパネットタカタの高田社長その人であった。

頭のてっぺんから発せられたような独特な声で「お得です❗❗」と言われて、かあちゃんの目が妖しく輝いてしまったのである。

そしてしっかりカタログでも値段を確認して、とうとう注文してしまった、お掃除ロボット「ルンバ」を😲


昨日その「ルンバ」こと「小バーバー2号」が届き、早速かあちゃんはお掃除を開始した。

床に置いてあるあらゆるものをテーブルの上に乗せて、「小バーバー2号」の走路を作らされたオヤジは、ゴミのようにシッシッと追い払われた。

2階のフローリングを走り回る「小バーバー2号」のウイーン、ガシャコン、ガシャコンという喧しい音を聞きながら、早く終わってくれないかなぁと身を縮めていたが、やがて音が止み、かあちゃんが来てみろというので階段を上がると、「小バーバー2号」の体内から大量のゴミが取り出されていた。

どうだ💪と誇らしげなかあちゃん。

一仕事終えた「小バーバー2号」は、自らエサを求めるように尻から壁ぎわに置かれた充電器にドッキングした。

フゥゥゥムッ、ホンモノのバーバーと同じでメシはしっかり食うのだな。


そしてそれからというもの、朝も夜も「小バーバー2号」は我が家を走り回っているのである。

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