お好み夜話-Ver2

悪夢プラス1

そこは六本木にある雑居ビルのワンフロア。
玄関を入ると横にダダ~ッと広く、フロアの端と端では人が豆粒のように見えるほど。

正面に受付カウンターがあり、その奥ではネクタイ姿の人たちがデスクワークに励んでいる。
営業部や総務部、経理部などがワンフロアの横一列に配置されており、入り口側の通路を窓際に進んでゆくと、吹き抜けのような広いスペースに出る。
そこは洒落たイスやテーブルが置かれた飲食コーナーになっている。
ラウンジのようにも、来客用の接待スペースのようにも思えるが、実は完全に飲食店として営業しているのだ。

なぜそう断言できるかというと、ワタシがスーツ姿で接客を取り仕切っているからだ。
夕方から夜になる時刻で、店内は混み合っている。
中央の席から上品な老夫婦のお客様が立ち上がり、金を払って通路を進み、営業部や経理部を尻目にフロアを遠ざかって行った。
入れ違いに、半径500m四方にまで存在を知らせるような強烈な香水を振りまき、トチ狂った孔雀のようなド派手な服を身に着け、唇の端からヨダレを垂らしそうな惚けた顔つきの、20代前半の娘がふたりドカドカとやって来て席についた。

娘たちは揃って高々と足を組み、いやらしい匂いのするタバコをくゆらせ、あたりをはばからない大声でくっちゃべりはじめた。
ワタシがテーブルを片付け、お冷やを持って行っても、まるで眼中にないように会話を途切れさせず、早く消えろとばかりな冷ややかな視線を送ってくる。

「ご注文は ? 」
「あー、コーシー、ふたぁつ」 (遥か昔の「桃井かおり」口調で)

「アメリカのコーシー」と言わなかったのがせめてもの救いだが、しょせん味など関係ない。
蚊や蝿も落ちるような匂いをプンプンさせていて、味などわかる訳がない。

とりあえず「コーシー」を持って行くと、娘たちは意味不明の会議を終えたらしく、

「もういらなーい」

と言って、席を立って出て行こうとする。
「コーシー」を飲もうが飲むまいが、オーダーした以上はお代を払ってもらわねばならない。

「550円です」
「えー、なんでー。飲んでないじゃぁーん」
「うざいよねー。かんけーねーし」

そのままズンズン出て行こうとするのをなだめ、道理を説明して代金を頂こうとした。
やがてしぶしぶ娘のひとりが、恥ずかしいようなブランド物の財布から紙幣を一枚取り出して突き出した。
“ちっ、1万円かよ・・・” と、顔に出そうになるのをこらえて、お釣りを取りに行こうとしてはじめてその紙幣を見た。
symbol5ase
中国の「人民元」だった。
唖然としてその100元紙幣を、裏表にして見た。
どうせコピーでもワタシにはわからないが、これはもらうわけにはいかない。

「なんでー、おカネじゃん。なんか文句あんの」

キレそうになるのをまたまたこらえて、日本のお金を頂きたいと訴えた。
すると娘たちは顔を寄せ合って、ヒソヒソ声でなにやら打ち合わせ。

「なーにみてんのよ」
「アタシたち、おカネもってないと思ってんの。ざけんじゃないよ」
「かんじわりぃー。しょーひしゃせんたーに電話すっぞ」

すごい bye しょーひしゃせんたーの存在を知っているんだ。
それに電話のかけ方も知っているんだ。
どこで人民元を入手したんだろう?
ひょっとして中国人なんだろうか?

マシンガンのような悪態を聞きながら、そんなことを考えていた。
やがて娘たちはもう知っている悪態がなくなったのか、ふくれっ面でカードを差し出した。
今度は受け取る前によぉく見た。
案の定クレジットカードではなく、どっかのスーパーのお買い物カードだった。
「ニコニコポイントカード」と書いてあった。
いい加減にしろ !! だ。

会社とお店の入り口付近で、その娘たちと揉めているというのに、誰も無関心で聞こえないふりだ。
しだいに馬鹿らしくなってきて、ネクタイを緩めため息をついた。

叫びたい。 
怒りたい。
怒鳴りたい。
熱くて、不快だ。

うーん、と息をすったら、目覚めた。
久しぶりの、悪夢。
4時に寝て8時半に目覚めた。
途中2回トイレに起きたから、正味2、3時間しか寝ていないのにこの悪夢だ。
会社のストレスと、店のストレスが合わさったような、後味の悪さ。
もう今日は、映画でも見に行ってしまおう。
それがいい。

iMacを起動して、映画の時間を調べようとした。
普通に起動したが、マウス操作がまったくきかない。
キーボードは使えるようだ。
とりあえずファインダーを強制終了して、再起動をかけようとした。
だめだった。
電源を強制終了した。
つながっているすべての線を抜き、セーフモードで起動した。
問題なく起動したが、マウス操作は受け付けない。
もう一度強制終了して、以前G5でやったことのある、電源ボタンを押したまま電源コンセントを差し込み、起動した。
ファンが唸りをあげて回りだしながら、起動した。
あせりまくる、悪夢プラス1。

アップルのサポートに電話。
過去の経験から、アップルケアに加入していたので、こんなとき利用しなけりゃ意味がない。
症状からいろいろ試し、問題なく起動し、別のマウスを使って復帰した。
以前のiMac G5と現在のIntel Macでは、電源ボタンの扱いも違っていて、やってはいけない操作をしてしまったらしい。
それから、ワイヤレスマウスの具合が悪かったみたいで、もしまた同じ症状が出たら、無償交換してくれることで落ち着いた。

悪夢に目覚めた後の、朝Macは要注意だ。

それにしても、なんであんな夢を見たんだろう・・・・

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