お好み夜話-Ver2

ポポポポ~ンな夜

つい先日の、夜のことである。

昨年12月以来お見限りだった「悪魔のあっくん」が、地震でオヤジが自信をなくしているんじゃないかと危ぶみ、魔法のことばをポポポポ~ンと連呼しながらやって来た。

横浜でも被害があったけれど、幸い彼の家は家具が倒れたぐらいで無事だったという。

しかし、ガス漏れがあって困ったそうだ。

きっと無駄にガスを吸って、頭がポポポポ~ンとなってしまったのかもしれない。


無駄にテンションが高く、

「おかわリクガメ」

「おいしイワトビペンギン」

などと放射線防護の生ビールを飲んでいると、ウワバミの女王様「Cちゃん」がやって来て、ふたりで益々ポポポポ~ンとビールを飲むのであった。

それは久しぶりに見たウワバミの悪魔どものサバトのようであったが、もはやオヤジはかつてのように自ら悪魔に変身することはなく、魔法のことば

「あいかわらズンドコベロンチョ」

と唱えてポポポポ~ンなのだ。


しばらくして、松本の「ジョニー」からオヤジのiPodtouchにFaceTime通話があり、生後2ヶ月半の「エレンちゃん」の笑顔に会えた。

松本も小刻みな地震が続いているとのことだが、被害はないそうだ。

「エレンちゃん」を抱っこする「ヒカルママ」に、

「お母さんらしくなったね」

というと、なぜか慌てて胸を隠そうとした。

「どうしたの」

と聞くと、オッパイをしまってなかったかと思ったんだって

これまた相変わらずポポポポ~ンな天然 ママであります。

「それじゃまたネコザメ」

と、魔法のことばを告げて通話を終えると、今度は店の電話に、仙台の「バーバーくん」から連絡だ。


「東京は水が飲めねーって、ニュースでやってたから、大丈夫かと思って」

ひぇ~~~、被災者に心配されてしまったぜ

しっかりしろ、金町浄水所


「バーバーくん」はすでに仕事を再開しているといい、プロパンガスが使えるので、風呂にも入れるんだそうな。

それは一先ず安心だが、夜は治安が悪く、女性の一人歩きは危険な状態だという。

彼曰く、まるで「北斗の拳」の荒廃した世界のようだとのこと。

まあ考えてみれば、被災した人々がみんな善良な人ではないわけで、ヤクザ者や最悪なバカヤローもいるのだから、この機に乗じて悪さをするヤカラがいるにちがいない。

マスコミが報じない、醜悪な行為があるようだ。

東京で同様な被害がおきたら、「こりゃぁエライこっチャバネゴキブリ」


そうこうしている間にも、2匹のウワバミ共は杯を重ね、「悪魔のあっくん」は終電を気にしてお帰りになり、毎日の通勤でクタクタのお疲れになった「スチャラカ旦那」も妻を見捨ててお帰りになり、野放しになった「Cちゃん」は、
お掃除ビールも飲み干したのにまだ物足りないなどと息巻き、オヤジの魔法の言葉

「おやすミドリガメ」

も効果がないので、「碧夢」へ行った。


すると看板の電気は消えているどころか、店内が真っ暗だ

飲み横の他の店は電気が付いているのに、なぜに「碧夢」だけが計画停電


いい感じで酔っ払ったカップルがケラケラ笑いながら、灰皿やお皿にろうそくを点けまくっていた。

マスターによれば、先の地震で建物のどこかに支障が出たのか、客席の天井から水漏れがして漏電してしまったのだという。

まあ同業者として、気休めにもならない

「お気のどクマネズミ」

というほかなく、いい意味でいえばロマンチックな、悪くとれば怪しいカウンターで、さらにイカガワシイ占い師みたいになった「Cちゃん」と生ビールを2杯飲んだ。

そして終いにゃ

「いいかげんにしてクロサイ」

と、ベロベロのウワバミの女王様を強制連行して自宅まで送り、

「またまた飲んでシマウマ」

と、自分に魔法の言葉をつぶやくのであった。

こうしてポポポポ~ンな夜が、明けていくのでありました

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