お好み夜話-Ver2

工作のお時間

「分度器を貸して」

かあちゃんにそう言われて机の引き出しを引っ掻き回し、あっちこっちをひっくり返してみたが見つからない。

ついでに出てきたのが、各種のインレタ、スクリーントーン、曲線定規に平行定規に三角スケール。

お勤め人時代に、簡単な図面や企画書を書くのに使っていた道具たち。

あれから20年近く経ち、インレタもスクリーントーンもすっかり乾涸びてしまっているのではないか。

もうどれもすっかり使うことなく、忘れ去られて埋もれていたアイテム・・・・・。


それにしても、どこを探しても分度器がない。

いったいかあちゃんが分度器を何に使うのかといえば、「東京マラソン」で仮装するかぶり物を作るために必要なのだという。

やっと重い腰を上げて、製作に取りかかろうというのだ。

オヤジからすれば、分度器ごときなくても何とかなりそうな気がするが、せっかくやる気になっているのを水を差すのもどうかと思い、

「100均で買ってきたらいかがでしょう」

と言ってやった。

するとさっそくその日に小僧に買いに行かせたが、分度器を買ってかえってきた小僧が一言、

「これならオレが持ってますよ」

と言いやがった

そうならそうと早く言えっての


にわかコスプレーヤー夫婦は、そうしてシコシコ内職のように布を切り、ライオンボードを加工し、目をしばしばさせながら針に糸を通し、無口で作業を進めている。

年内中にけりをつけて、本番までには耐久テストをしなけりゃならないから、あんまり時間はない。

出来上がれば絶対に目立つのは間違いないが、途中で壊れてみっともないことにならないように、しっかり作り込まなければならない。

せっかくの休日を、寝食を忘れて作業に打ち込む脳天気夫婦なのであった。

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