激しい揺れに道ゆく人は皆立ち止まり、老婆は立っていられずにその場にうずくまり、電線は波打ち信号機は激しく左右に揺れ、一瞬街のノイズが消えて静寂が不安を煽った。
ほどなく緊急自動車のサイレンが鳴り響き、車はノロノロ進みはじめた。
明治通りを三ノ輪駅へ急いで歩いて行くと、地下鉄の入り口に人々が途方に暮れたようにたむろしている。
こりゃ電車は止まっているかもしれないと思い、日光街道を千住まで歩いていくことにした。
ヘリが上空を飛び過ぎ、パトカーや救急車が走り去る中を早足で千住大橋を渡る。
目で見える範囲では倒壊した建物や火災をおこしている建物は見当たらず、隅田川の流れもとくに異常はないように思えたが、川に囲まれた千住地区はどこかの堤防が決壊したらひとたまりもない。
スマホで小僧を呼び出し、すぐに自宅に戻るように言い、かあちゃんに電話したが通じず、とにかくまず店に戻るべく急いだ。
途中でかあちゃんから連絡があり無事を確認したが、作業所のルールを無視して勝手に小僧を自宅に帰したことをみっちり怒られた。
我ながら焦っていたのだろうが、途中で何があるかもわからないのに小僧を1人で帰したことは軽率だった、反省😔
あれから小僧はデタラメ地震ニュースを朝・晩ブツブツ言うようになった・・・。
さっきかあちゃんから、小僧が手術室に入ったとメールがきた。
手術時間は5時間くらいだという。
無事終わって出てきたらまた連絡をもらって、今度はオヤジが手術室に入る番。
手術をする左目の上にマーキングされて、間抜け面な3月11日朝。
