仕込みの朝

クリニックで倒れてから一週間経った。

退院以来ずっとオヤジに付き添っていたかあちゃんは、先週はいろいろ用があって昼間出かけていた。

なので昼食は自分で作っていたのだが、手が震えて包丁は危なっかしく、キッチンに立っているだけで貧血を起こし、坐ったり横になったりして休み休みで、なんとか調理をこなしていた。

こんな状態でも食欲はあり、次から次へとつくりたいもの、新メニューのアイデアが湧き上がってきて、でもそれができないもどかしさで歯噛みし、ため息をつくばかり。


土曜日、ほしい食材があったから、かあちゃんが買い物に行くのに付き合って近所のスーパーまでゆっくり歩いて行ったが、靴を履いて道路を歩くだけで腹筋に力が入り、家の中で歩くのとは使う筋肉が違うのか、足の付け根や腿がワナワナ震える。

買い物して帰ってくる4、50分で息が上がり、膝はガクガク貧血寸前だった。

これほど体力が落ちているのにあらためて愕然とし、これではとても駅へ行き電車に乗るなんて危なっかしくてダメだ。


救難発信をしたおかげでたくさんの方から連絡をいただき、しだいに声の掠れと口が硬直して言葉が出なくなる状態が少なくなってきた。

そしてどなたと話していてもふいに涙が出そうになるのを止められない、嬉しさとありがたさと、申し訳なさと不甲斐なさがないまぜになって、ホッとする心地よい疲れを感じる昨今。


緊急事態宣言が解除になり、今日から飲食店も長い長い意に沿わない不遇から、賑わいを取り戻すべく営業を活発化することだろう。

モグランポも店主がこんなじゃなきゃその流れに乗ったろうに・・・。

いやいや、こうしていても明日への一手は打っている💪

入院中に手配した東京都の感染防止点検は、一ヶ月以上も経ってようやく先日係の人が店にきて認証を受けた。

すぐにコロナ対策リーダーのサイトから点検済証をダウンロードしてプリントアウト、店の外に掲げた。

認証バッジは混み合っているため二週間ほど発送にかかるというが、それもこれからの飲食店営業には欠かせないアイテムの一つだから取っておくにこしたことはない。


次なる一手はトイレのリフォームと椅子の座面の張り替え補修。

これもネット経由で手配して、現場にはかあちゃんがいれば問題ない。

何もかもこのオヤジの具合いで先延ばしにしていたが、もはや先へ進まなければ明日は来ない。

内装工事はもう少しアイデアを練る必要があるから来月になろうが、納得がゆくまでかあちゃんと話し合って決めていくつもりだ。


キッチンに立って調理をするコツを、フラつく前に休むタイミングを覚えて、今朝は6時ごろから仕込みを開始した。

先ずは基本の出汁をとり、生地を(お好みの生地だけでなく、新しい試みの生地)練り、材料を加工した。

休み休み作業を進め、ネタを揃えて午後になり、あとは明日にすることにしてコーヒーをいれた。

試作したものがいくつモノになるか？誰かに試食してもらい批評してもらうことも今後は必要だし、もう少し体力をつけて口がワナワナしないように日々訓練。


来月初っ端にはコロナワクチンの2回目の接種で、その前にクリニックで厚生労働省の追跡調査のための血液検査を受けるが、また気を失わなければいいのだが・・÷。

2回ワクチンの接種を受け証明書をもらうことも必須だから、倒れている場合じゃない。


う〜ん、しかし不確定要素が多々あるな😑

ま、なるようにしかならんぜ。

毎度おなじみ「ケ‐セラ‐セラ」だい‼️