お好み夜話-Ver2

ヘタレの禁煙宣言

「タカちゃん」はヘタレだ。

なにがどうヘタレかは言わないが、本人が
「ヘタレです」
と認めるくらいヘタレだ。

まあ、ヘタレにはヘタレなりのリクツがあるのもわかるし、こちとら親でも上司でもないから、あれこれ言うつもりもなかった。

が、ヘタレがヘタレを認めた夜、以前から気になっていたことを指摘した。


彼はタバコを吸うと、ヘンな咳をする。

そういう咳をして死んだ男や、「コロちゃん」になっちゃった愚か者を知っているので、いささか気になっていたのだ。

「コロちゃん」というのは、鼻にチューブを入れて酸素ボンベをコロコロ転がしている、下町辺りでたまに見かけるオッちゃんのことだ。

このオッちゃんの病いは、俗に言う「タバコ病」COPD=慢性閉塞性肺疾患であることが多い。

やりたいことやっちゃって、爺さんになってから「コロちゃん」になるのなら仕方ないことと諦めもつくが、彼のような若いうちに「コロちゃん」生活は耐えられないだろう。

第一火気厳禁だし、あんなことやこんなこともできゃしない。

「タカちゃん」は自分でもその咳のことは気にしているというし、他人のタバコのニオイがイヤだとも感じているのだから、この際タバコをやめてみるかとけしかけた。

彼のようなヘタレには、明日からとか、来週からなどという手ぬるい約束では守れるわけはないから、たった今からだと、手持ちのタバコとライターを出させて処分した。



そして生ビールで硬めの盃をし、とりあえずいつ迄やめるかと問うと、「ホリちゃん」の禁煙1周年の来年1月16日までがんばると誓った。

もしそれ迄にタバコを吸ってしまったら、上の毛も下の毛もマルガリータ!!

その罰の執行人は「シゲちゃん」、お願いします。

「シゲちゃん」も今年の7月4日から、「コロちゃん」に怯えて禁煙している。

まあ彼の場合は、やに臭い手で他人の頭を散髪するのは如何なものかという職業的な倫理もあるから、とっととやめた方がよかったのだ。


さあ、「タカちゃん」も「シゲちゃん」もこれで「東京マラソン」に当選したら、気持ちよく走れるに違いない。

これから年末年始という誘惑の多い時期を乗り越えられれば、もうチョットはガマンできるだろう。

しかしタバコ吸いは、たとえ5年吸わなくてもヒョイと吸いはじめたりするものだ。

ま、そのときゃしょうがないだろう。

別にオヤジは嫌煙家 ではないし、タバコの文化も認める。


でもねぇ、どんどん時代はタバコ吸いに不利になってくるぜ。

やめられるんだったら、やめるに越したことはないと思うんだけどなぁ。

どうよ、千住と仙台の調子コキさんたち?

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