お好み夜話-Ver2

45年前の手紙

高校1年生の2学期、担任だった新任の女の先生に「学校を辞めたい」と言って困らせた。

理由は一言「つまらない」から。

さんざん説得されて涙ぐまれて、不貞腐れた気持ちがしぼんでしまった。

友達がいないということもなく、校内に好きな女の子がいたわけでもなく、ただなんとなく学校が嫌で働きたかった。

2年生になりクラスが変わり、まだ学校にいる意味が見出せなくて、17歳の夏、もう東京に戻らないつもりで自転車で四国に向かった。

先日他界した叔父を頼ったり、野宿したりして四国に入り、お遍路さんと一緒のルートで海沿いを走り、高知県に入ってから手紙を書いた。

中学の頃から好きだった女の子に一方的に「この旅でキミにふさわしい男になる」的な、今じゃ「キモい」の一言で片付けられちまうような青臭くて赤面モノの長文を何度か送った。

旅の途中でいい出会いもし、四国を一周して小豆島に渡って山を越えようかというところで、自転車のフレームで一番肝心なトップチュープが折れてしまった。

もうこうなったら自転車は走れないので、急遽あちこち電話して岡山まで出ればなんとか対応できるとメーカーと掛け合って船で岡山へ渡った。

そして全て無料でフレームを変えてギアを変えて、行きより格段にグレードアツプされた自転車で帰ってきた。


昨夜、高校の悪友たちが店に来てくれた。

まあいつものメンバーというヤツで、高校2年生からずっと付き合いのある気心の知れた連中なのだが、飛び入りで1年生の時のクラスメイトだった野球部キャプテンのSくんが参加。

話しているうちにSくん、このオヤジが自転車で日本一周したと勘違いしていることが判明。

あの当時そんなに仲良しだったわけでもなく、クラスも変わって疎遠になっていたし、よくまあ45年前のことを覚えていたねと問うと、なんと?!このオヤジは好きな女の子だけでなく、旅先からSくんにもハガキを書いていたのだと判明。

ぜんぜん忘れていた・・・。

ということは、Sくんだけでなくいろんな人にも青臭い手紙を送りつけていた可能性がある。

ひとり旅の寂しさを紛らわそうとしていたのだろうか・・・。

一番印象に残っているのは、足摺岬の突端まで汗だくになって上ってきたら、売店のラジオから「拓郎」の「シンシア」が流れていて、いてもたってもいられずにベンチに座って手紙を書いた思い出がある。

あの時、誰彼かまわずハガキも書いたのだろうか❓

でもつき合いのある連中からはそんな話しは聞いたことがなく、今はどこでどうしているのかわからない初恋の子は、そんな手紙はとっくに捨てているだろうし、ハナから「キモい」だったかも知れず・・・。

もしそんなものが残っていた日にゃ、カッチョ悪くて穴があったら入りたい気持ち・・・。

青春のバカヤロウ、って感じだね。


おじいちゃん、おばあちゃんたち、ありがとうm(_ _)m

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