霧降高原で降りたときには、5m先はぼんやり、10m離れたらなにも見えなくなってしまうほどの濃霧が立ち込め、それでもリュックをかついだ登山者は天空階段を上ってゆく。
とくに寒いということもなく、用意したウインドブレーカーを着なくても大丈夫。
階段の下でかあちゃんとストレッチをして、鹿侵入防止のフェンスを開けて上る。
1445段の頂上が見えるはずもなく、3度目の正直も通用しない天空回廊。
そりゃそうだ、台風一過だとしても標高は1400m以上ある高原だし、その名も霧降だもんね。
300段くらいまでは軽快に、500段を過ぎるとハアハアゼィゼィ、雨は時折パラパラ細かいのが落ちるだけで階段は濡れていないところもある。
700段を過ぎてちょっと息を整えるのに小休止、かあちゃんの姿は200段ほど下でよく見えない。
登山者や観光客を追い抜き、駆け上がり、歩き、小休止、膝がわらい、心拍数は上がり、1400段に達したときには雨だか汗だかわからないほどビッショリ。
1445段を上って、さらに小丸山展望台までの12段を登りきり、バス停との高低差は240m、距離にしてたったの1.6㎞。
なのに、10㎞を全力疾走したみたいに息が上がり脚がヘタッた。
3、4分遅れてようやくかあちゃんが上ってきて、息も絶え絶えに給水。
晴れていればスカイツリーや東京タワーまで望めるロケーションだが、物の怪が出てきそうな濃霧でな～んも見えない。
これまでに3度この階段を駆け上がったが、今回が一番堪えた。
こうして年々ダメになってゆくのでしょうか・・・。
じっとしててはさすがに凍えてしまうから、気を取り直して上ってきた階段を下り、途中からゆるやかな九十九折の斜面を駆け下る。
軽装の観光客が呆れたように道を開けるのを尻目に、上りの大変さは嘘のように快適に駆け下り、3.08㎞。
レストハウスに到着すると、きっとバスが着いたところだったのだろう登山者がいっぱいで、そのほとんどが高齢者、濡れ鼠で駆け下ってきた我ら順高齢者を奇異な目で値踏みし、和気あいあいと霧の中へ出てゆく。
トイレと給水を済ませ、日光駅までのひたすらな下り坂を走り出す。
濡れた路肩の白線を踏まないように、まずはかあちゃんのペースで下るが、さすがにこんな日に走っている人はいない。
ロードレーサーのペダルを目一杯踏み込んで上る3人連れにすれ違っただけで、自前の脚で上り下るようなヤツにはこの日は出会わなかった。
レストハウスから約5㎞下ったところにある大江戸温泉物語に通じる橋の手前で、雨が上がり薄日が差した。
そうすると今度は蒸し暑く、セミの鳴き声も暑苦しく聞こえる。
後ろから付いてくるかあちゃんの足音が次第に遠ざかり、聞こえなくなると振り返るのだが、まあ大丈夫だろうとペースを上げて、天然かき氷が食べられるチロリン村に立ち寄ってかあちゃんを待つ。
案の定歩いておりてくるかあちゃんに身振りでここに立ち寄ることを伝え、屋根のあるところへ。
脚が上がらないというかあちゃんと高原の牛乳を分け合い、再び降り出した雨を避けて小休止。
小降りになったところで出発。
日光まではあと半分ほどの行程なので、これからは後ろを気にせずペースを上げて行くことにした。
体を前に倒すだけでスピードにのれる坂道を楽しみ、時速40キロ制限の道を時速10キロちょいで、平地では望むべくもないハイペースで一気に下る。
霧降の滝への分かれ道を駆け抜け、足立区の林間学校の前を通り過ぎ、大谷川の信号で止められるまで走り続けた。
東部日光駅へ近づくとまたもや雨が強くなったが、そのまま一気に大谷川を渡って駅の屋根の下へ駆け込む。
本日の走行距離14.14㎞、6、7分遅れでかあちゃんが到着、JR日光駅の真ん前のホテルの日帰り温泉でさっぱりして、お約束の日光牛のお店へ。
平日はそれほど混んでいないが、さすがに土曜日、15分ほど待ってようやくテーブルに落ち着いた。
土日は混むのでメニューが少なく、目当てのA5ランクのお肉を使ったハンバーガーは平日のみということでがっかり。
かわりにA5のローストビーフ☺️
かあちゃんはA5のハンバーグステーキ。
今度は平日に来よう。
とりあえずの腹ごしらえを終え、続いてお馴染みの素敵な食材屋さんで会津産の馬刺しやら惣菜と丸氷などを買い、快速電車を居酒屋にして戻る。
通路を歩く人はだれもが横目で見ていく、2時間ちょいの走る居酒屋。
仕上げはジャックのロックでいい気持ちちゃん。
花火でめんどくさい北千住をスルーし、終点の浅草まで行って腹ごなしと、自宅へ戻ってのつまみを買った。
こうしてまったく花火の喧騒にあわず、いい休日が過ごすことができた。
8月、9月中にもう一度霧降高原に行こうと誓い、爆睡した。
